レオナルド・ダ・ビンチの「岩窟の聖母」(ルーブル版:1483-1486)です。
中央に聖母マリア、マリアが左手をかざしている右側の幼児がイエス、その後ろに大天使ガブリエル、そしてマリアの右手で支えられている左の子がのちの洗礼者ヨハネです。(聖書ではヨハネはイエスのいとことされている)
この絵には不思議なところが何箇所もあります。
(※これまでにも謎の指摘がありましたが、以下は utageno新説 です)
イエスは二本の指でヨハネを指し、ヨハネはなにか祈っているようにも謝っているようにも見えます。天使は人差し指でヨハネを指さしています。
この謎を解くにはさらに2点の絵が必要です。
上図は「受胎告知」です。
やはり大天使ガブリエルが、少しお腹の大きくなったマリアを指さし受胎を告げているシーンです。ガブリエルの指は二本です。
上図もレオナルドの「洗礼者ヨハネ」
もちろんこれは成人したヨハネです。
ヨハネは人差し指で天を指さしています。
なぜか左手で胸を隠しています。体はふっくらとし顔は女性的ですね。
宗教画では、人差し指で象徴されるのがヨハネ。二本指で象徴されるのがイエスという解釈もされています。
さあ、以上から次の謎解きが考えられます。
謎解き①
実はヨハネは女性でマリアの第1子(長女)。だから1番目の意味の指1本で示されている。
イエスは第2子。だから2番目の意味の指2本で示されている。(utageno新説)
謎解き②
「受胎告知」では天使ガブリエルは、「私は知ってますよ…」と2本の指でマリアの腹部のあたりを示し、少し意地悪な顔をしている。⇒ イエスが第2子という秘密
謎解き③
ここでもう一つの「岩窟の聖母」(ロンドン版:1495-1508)を見てみよう。
ここにも謎があります。
このバージョンではヨハネが十字架を肩に掛けている。
しかし、十字架はずっとのちにイエスが背負わされたものではないか!
(のちのヨハネの運命を暗示)
そして、ルーブル版と異なり、なぜかヨハネの下腹部は布に覆われて(性別を隠して)いる。⇒ ヨハネは女性でマリアの娘という秘密
ここで、もう一度「岩窟の聖母」(ルーブル版)に戻ると、ガブリエルも人差し指でヨハネを指さしていますが、
その手は天使の顔に似合わぬゴツイ男の手に見えます。
そしてガブリエルは背中にオレンジ色の大きな袋を背負っています。
謎解き④
実はガブリエルの背中の大きな袋の中には、なんと、マリアの夫ヨセフが隠れている!(utageno新説)
ガブリエルの右手に見えたのはヨセフの手だった。
つまり、ヨセフは「二人羽織」状態になっており、隠れて、ヨハネ(娘)を指さして“あれが第一子じゃ”と暗に示している。
ガブリエルは少し困惑の表情でこっちを見ています。
<補足>
まてよ、よくみるとガブリエルの左腕も男のようですねぇ。もしもこれがガブリエルではなくヨセフの腕だとすると、深く頭を下げて跪(ひざまず)いたヨセフが手前にいて、その向こうにガブリエルがいるようにも見えます。そうすれば天使の羽根も自然です。(utageno新説)
ややこしいですが、じつはルーブル版の原画も当初はロンドン版と同じ構図だったのではないでしょうか。ロンドン版のほうが構図のバランスが良く見えます。
そして「ヨセフ」がのちにルーブル版に描き加えられたという仮説です。(utageno新説)
なぜこんな面倒なことをしたのか?
“歴史はあとから作られた”
新約聖書の編集者たちは、神の子であるイエスが第2子というのはマズイと思ったんでしょうね。「マリアの処女懐胎」になりませんからね。
ではイエスは誰の子か?
この際そんなの関係ありません。
イエスは偉大で、大工のヨセフは寛大かつ優しい人物だったということです。
もちろん、イエスの弟子たちは聖母の秘密のこと知っていて事実を隠すことにしましたが、レオナルドはさすがに神に嘘をつくのは心苦しかったらしく絵の中にこっそりと忍ばせました。
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ちなみに
この岩窟はシオン(エルサレム)の丘ですが、
レオナルドはその ”ZION” を裏文字で描き込んでいます。(utageno新説?)
お気づきでしょうか。
⇒ 歴史の奇妙な符合 | utageno-atoのブログ (ameblo.jp)