前のブログで、HIMARIこと吉村妃鞠ちゃんのヴァイオリン動画について書きました。今でも聴くたびに涙がにじみます。動画に添えられたコメントによれば多くのファンの方々もやはり涙が出るようです。そうだ、これは昔、若きイツァーク・パールマンをレコードで初めて聴いたときの感動だ!この感動は8歳の少女が見事に超絶技巧のヴァイオリン曲を演奏するからというだけではありません。映像で見る彼女の表情は音を慈しんでいるようでとても心に響きます。

 

 この才能がどのようにして誕生したのだろうと音楽素人の筆者が勝手に考えてみました。この天性の聴覚(絶対音感)を持つ子を産み、自分の持つ音楽のすべてを教えたお母さん、そしてその素晴らしい技能を素直に学んだHIMARIちゃんの天分、なによりもHIMARIちゃんにとってヴァイオリンが一番楽しいことだったことが私たちの幸運(恩寵)でした。演奏中は過去の偉大な名演奏者が憑依しているのでは?というコメントもありました。インタビューを聞けば普通の可愛らしい女の子でちょっとホッとしますが、オーケストラとの共演ではチャイコフスキーの長大な協奏曲の楽譜もすべて頭に入っており(当然か)、落ち着いていて寸分も協奏箇所を間違えることはありません。

 

youtubeより引用(部分)

 

 かのコンテストでは他の“天才”参加者たちも見事な演奏を披露しました。とても上手です。しかし彼らの演奏では涙は出ません。一方、HIMARIちゃんに対しては、ロシア人の審査員でさえ涙を浮かべ、「彼女の出現を神に感謝する」とコメントするほどでした。日本語には「琴線に触れる」という表現がありますが、彼女のヴァイオリン(小手琴)は文字通り聴衆の琴線を震わせて感動させるからではないでしょうか。しかも楽器は1/2サイズの子供用ですよ!

 

 映像で見る限り、腕や手はまだ年齢に応じた華奢さで大丈夫かなと思いますが、この、大人と比べて力まぬ力があの優しい音を醸し出しているのではないかとも思ってしまいます。改めて、大人の、例えば諏訪内晶子や五嶋みどりの演奏を聴くと、体全体と腕の筋肉を使いとても力強くダイナミックです。さすがだと感服します。HIMARIちゃんもやがて大人になり、より力強くダイナミックな演奏をするようになるのでしょうね。

 しかし、彼女が8歳、9歳で演奏したツィゴネルワイゼンやチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はこの瞬間が創造した芸術として語り継がれることでしょう。

 

追伸:サラサーテ作曲のツィゴネルワイゼンはロマ(ジプシー)の民族音楽をモチーフにした名曲で、もの悲しい旋律が心を打つのですが、HIMARIちゃんの演奏する第2楽章ではあなたもきっと涙腺が緩みますよ。♬♬♬

 

   ⇒HIMARIちゃんの気合