「私たちは個室の時代を生きている」

  坪内稔典(国文学者)

 

「家族がごちゃごちゃに暮らし、プライバシーなどないに等しかった頃、人の心は今よりも小さく軽かった気がする。現代は自分の部屋に入れば鍵をかけることができる。「個」の意識が強まると、心はむくむくと「肥大化」して重くなる。だから現代人は昔より癒しを強く求めるようになっているのではないか」

 

この「きょうの言葉」の「心の肥大化」には考えさせられました。

自分の世界にこもり、自分のことばかりで心をいっぱいにして重くするということでしょうか。

 

「たとえ同じ部屋にいても、各人がスマホに没頭し、周囲を無視して自分だけの世界に浸っている。

個室の中で、自分だけの楽しみに没頭するのは、楽なようでいて実はつらい生き方だ。

喜びや悲しみを分かち合い、互いを頼ることで、人は集団の一員だという自覚を持ち、これが強い安心感につながるからだ」

 

わたしも自分の部屋で楽しみに没頭することが多いけれど、それをつらい生き方にしないためには、気持ちを人と分かち合う時間も作ることが大切だと思いました。

 

「プライバシー」や「個人情報」という言葉が重んじられる今の時代、人とつながりを持とうとすると、また「グイグイくるね」と言われるのがイヤで黙ってしまうこともあります。

お付き合いのさじ加減って難しいですね…

 

個室のない、ごちゃごちゃしている家庭…古き良き時代の遺物にならずに、健在であり続けてほしいです。

その窓から響く賑やかな笑い声を聞きたいなと思います。