昨日は、10月から3ヶ月間通った、みかん収穫の仕事の最終日。

橙色の灯に彩られ、収穫する人たちの明るい話し声が響いていた山はすっかり淋しくなりました。

でも、あのみかんたちは日本中のあちこちに旅立ち、今、あなたが手にとっているかも……と思うと楽しい気持ちになります。

 

高知に引っ越してきた20数年前の冬、夫の仕事が安定せず生活に困っていた時に、4歳の息子連れで雇ってくれたのはみかんの観光農園。

半日ほどの仕事でしたが、息子も小さなハサミで2度切りをしながら、楽しそうに手伝ってくれました。

「いくらでも食べていいきね!」と言われましたが、カートンがいっぱいになったら一つと決めて食べたみかんの美味しかったこと!

帰りには袋いっぱいのみかんを持たせてくれた農園主の方の温かさが、身に沁みました。

 

その次の年からは夫の仕事も落ち着き、冬になるとそのとなり町にみかんを買いに通うようになりました。

 

そして20年経ち、無事に息子が巣立ち、夫婦2人の生活になった頃から、またみかん収穫の仕事に通い始めました。

今度は困っている農家さんの手助けになればという恩返しの気持ちもありますが、何より自然の中で働く喜びを知り、楽しんで働いています。

 

この3ヶ月、みかん山にはハサミの軽快な音と、一緒に働く人たちの笑い声が響き、カラスも遠慮しているようでした。

ここで知り合った人たちとの絆も大切なものになり、また来年会うことが楽しみです。

 

このみかんの色はわたしにとって、移住してきて心細いわたしたち家族を温かく迎え入れてくれた人たちの善意の色です。

みかんを育む日差しも、人の心もあたたかいと知った高知での初めての冬でした。