「人生の終焉の前の、いついかなる瞬間が重要にならないともかぎらない」

       アガサ クリスティ

 

新聞の「きょうの言葉」によると、これはクリスティが75歳の頃の信条だそうです。

衰えぬ好奇心と意欲で生涯現役を貫いた彼女のように、新しい明日への期待が心に張りを与え、若さを保ってくれると書かれていました。

 

年齢を重ねると昔からの趣味や習慣に固執しがちになり、新しいことに挑戦しなくなるともありました。

それを打破するために、わたしも60代になってからいろんな新たなことに挑戦してきました。

 

先ず仕事ですが、収穫時だけ働く季節労働者として、一年の前半は苺、秋冬はみかんの摘み取りをして、自然の中で働く仕事を始めました。

 

土や木、植物に触れることは人間らしい仕事に思えます。

みかんを摘みながら農園のお母さんが言われました。

「どんなにAI化されても、これだけは人にしかできない仕事ですからね」

みかんの微妙な色づきを見分け、複雑に入り組んでいる枝から傷つけないように実を切り取る…

ロボットには無理です!

ちょっと誇らしくなりました。

 

日差しとグリーンシャワーを浴びて適度に体を動かすのは健康にも良いことです。

そういえばわたしはコロナどころか風邪もひかず、若い頃より元気になりました。

 

自然災害や、虫や動物との攻防などの苦労はありますが、それらを乗り越えて結ぶ実は愛しい子どものように、明日への期待を抱かせてくれるものです。

 

今日を精一杯楽しみつつ、明日もまた良いことがあるようにと願う、そんな生き方ができたらいいなと思います。

 

今はみかん収穫の最盛期、たわわに実る温か色のみかんが、旅立ちを待っています。