『心理的敏感さに対するレジリエンスの緩衝効果の検討ーもともとの「弱さ」を後天的に補えるかー 平野 真理』

 

この論文のテーマ

 

「生得的にストレスを感じやすい」というリスクを、レジリエンスによって後天的に補うことができるか

 

HSPは些細なストレッサーに敏感に反応し、

簡単に打ちのめされてしまうという特徴がある。

私も

社会人として

「できなくて当然」「怒られてなんぼ」「仕事は覚えていくもの」

ということを当然と思うことができずに

ストレスや緊張を感じてしまっている。

どうしても

怒られたりしてもその経験を糧にして前向きに進んでいける人と

私は違う心を持つ人間であり、

私は心が弱い人間だと思ってしまうのだ。

 

まったく同じストレス状況であっても、そのストレスの感じ方には個人差がある。どうしようもなく心が傷つけられたと感じ、絶望し、生きる希望を失ってしまう人がいる一方で、すぐにその状況を乗り越え、さらにその経験を糧に前進しようとする人もいる。この違いは一般に、いわゆる「心の弱さ」「心の強さ」という言葉で表現されることが多い。

 

論文の中でも

HSPは「ストレッサーを苦痛と感じやすいため、

抑うつ気分を抱きやすく、

自尊心も低い傾向にあり、

もともと傷つきやすい人々である」と言われているが

本当にその通りだと思って、

HSPが自分に当てはまれば当てはまるほど

悲しい気持ちになってくる。

 

HSPは、刺激を感じる閾値が生まれつき低く、環境や物事に対して敏感に反応する人々のことである。全人口の20%程度いると考えられており、乳幼児期よりストレスを感じた時のノルアドレナリン分泌量の多さや、慢性的なコルチゾールの多さなど生物学的な特徴が報告されている。HSPはその敏感さによって、ストレッサーを苦痛と感じやすいため、抑うつ気分を抱きやすく、自尊心も低い傾向にあり、もともと傷つきやすい人々であると考えられる。

 

レジリエンスはもともと「回復力」「逆境に適応する力」

として考えられてきた概念であるが

HSPというマイノリティが抱える逆境に対しても

このレジリエンスを活用することはできるのだろうか。

 

レジリエンスとは、心理的な傷つきや落ち込みから立ち直る回復力のこと

もともとは環境的なリスクが高いにもかかわらず適応する人々を対象に研究が発展した概念

精神病理を持つ両親の子どもであるというリスク群でありながらも、精神病理を発症せずに適応する者がいることから、

脆弱性を持つ人とレジリエンスを持つ人というのが対極にいるのではなく、脆弱性とレジリエンスの両方を持つ人が存在し、その場合のレジリエンスは遺伝的な発症脆弱性や、幼少期の虐待などのリスク要因を修正する可能性が示唆されている

 

HSPは生まれつき持った気質と考えられることが多いため

「それが自分なのだ」と割り切って

うまく付き合っていくしかないと言われているが

レジリエンスの高さは後天的に身につけられるもののため

どんな特性を持つ人間であってもレジリエンスを高め、

より生きやすくなるヒントを得ることができるのではないか

ということだそうだ。

 

レジリエンスは、知能や洞察力、身体的健康、感情調整、忍耐力、ソーシャルサポートなど、様々な要因によって導かれる力であると考えられている。そのため、誰もが保持し高めることができると考えられており、生得的な脆弱性とは対照的に、未来に向けての可能性を多く含んだ特性である。すなわちレジリエンスは、ストレスに対する生得的な敏感さとは違って、後天的に身につけられる力であり、敏感さと同時に持ちうる力であると捉えることができる

 

レジリエンスには2つの要因に分けることができ

楽観性、統制力、社交性、行動力といった資質的レジリエンス要因は

持って生まれた気質と関連が強いことから

これらを変えようとすることは厳しいのだろう。

確かにHSPの私は

将来に対して常に不安を抱いているし

感情や体調に振り回されて自分をコントロールすることができていないし

相性の合わない人は多いと思う。

そのような特性については

人に「考えすぎだよ」と言われたり

「もっと強くならなきゃ」と言われても

変えようとすることは無理なんだ。

 

資質的レジリエンス要因は、

楽観性(将来に対して不安を持たず、肯定的な期待をもって行動できる力)、

統制力(衝動性や不安が少なく、感情や体調に振り回されずにコントロールできる力)、

社交性(見知らぬ他者に対する不安や恐怖が少なく、他者との関わりを好む力)、

行動力(積極性と忍耐力によって、目標や意欲を持ち実行できる力)

の4つの下位因子があり、持って生まれた気質と関連が強いことが想定されている

 

ただ、

問題解決志向、自己理解、他者心理の理解といった獲得的レジリエンス要因は

後天的に学習していき身につける力であると書いてある通り、

これまで私は心理学を学んだり

精神科に通ったり

他者からのフィードバックを積極的に聞き入れたりして

自己理解をすることをたくさん試みてきたし

それを仕事の場においても

子どもたちが自己理解・他者理解することを援助できるように

日々模索してきた。

 

獲得的レジリエンス要因は、

問題解決志向(問題を積極的に解決しようと意志をもち、解決方法を学ぼうとする力)、

自己理解(自分の考えや自分自身について理解し、自分の特性に合った目標設定や行動ができる力)、

他者心理の理解(他者の心理を認知的に理解、もしくは受容する力)

の3つの下位因子があり、発達とともに学習していく力であることが想定されている

 

今回の論文の研究の中では

獲得的レジリエンス要因によって

もともと持つ敏感さを補うことができる可能性を見出すことができなかったよう。

 

「問題解決志向」の標準偏回帰係数のみが有意であ理、問題解決に向かう指向性を育むことが心理的適応感の向上に影響すると考えられるが、その影響は敏感さを補う程の効果は持たないと考えられる。したがって、本研究の結果からは、もともと敏感さの高い人々が、その敏感さを補うほどに強く、心理的適応感を高めるような後天的なレジリエンスの効果を見出すことはできなかった

 

それでも、私はHSPだからこそ持つ特性を生かしていけるように

環境を自らで見出していったり

積極的に援助してもらったり

はたまた何か別の方法があれば

また探していきたいと思う。

 

子どものレジリエンスについて、子ども生来的に持っている気質に合ったレジリエンスが引き出される

例えば、愛嬌があり放っておけない気質を持っている子どもの場合には、他者からのサポートをレジリエンスにつなげることが有効であるだろうし、思考力の高い子どもの場合には、ストレスへの対処法略を積極的に考えることが回復への力となるだろう。そしてそのような能力は本人に自覚されていないことが多いため、周囲の大人がそれらを感知し柔軟にその子どもに対応する必要があると言及している。

レジリエンスを引き出すためには、まず、その人の持つ生来的な能力を援助者がまず把握することが必要であり、その上で、その能力を引き出す臨床心理的介入が求められるといえる

 

[参考]

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep/60/4/60_343/_pdf