空と海の境目が、曖昧で遠い
あまりに静かで
汗がつたう音が、聞こえる
どうしても見たい作品があったので、思い立って別府に来ました
この日は、夏に逆戻り
バスを降りてすぐ足湯があったので、ふらふらと入ってみたら、出た後も、しばーらく汗だくでした
わたしの住んでる福岡から、バスで2時間半
別府は、山と海に挟まれた、どこか知らない街だった
ベップアートマンスの一環というか、目玉かもしれんけど
塩田千春さんの「巡る記憶」というインスタレーションが目的
10月16日まで展示されています
記憶が沈んだ、
もう使われていない古い建物
塩田さんご自身が街を歩き回り、会場を決められたそうで
歩くこともまた、記憶を巡るという作品の一部なんだと思いながら、街をたどって行きました
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20221005/12/uta-utae7712/84/ea/j/o1080060715184120303.jpg?caw=800)
1ヵ所目
築120年の草本商店は、小麦粉の卸問屋だった建物
一段一段が急で、幅の狭い階段を、はしごのように上って2階へ
その空間の密度に慣れるのに、しばらく息をつめた
水がはられた上に、繭のように白い糸が編まれていて
その糸をつたい、水が落ちて
その不規則で、微かな落ちる水の音は
のぞき込む自分が、のぞかれている水の中の自分であるような気分にさせる
さらに3階へあがるとたたみになっており、背筋を伸ばして正座してみる
たたみの向こう側の部屋が、すべて作品になっており、何かの巣みたいだった
錯覚
すごく不思議な気持ちで、座っていました
記憶は見えない
でもこの白い糸は、空間に浮遊する記憶を絡めながら編まれていて
その記憶が、今も続き続けている様を、見ているようだった
白い世界は、水の世界でもあり
空気中の水が、ゆっくり水滴になるように
記憶もまた、雫となり、循環していく
建物をでると、空は青く
時間の軸を戻そうとして、大きく息を吸った
さあ次は、赤の世界へ
②に続いちゃうぞ