2019年8月24日(土 )

 

抗がん剤治療9日目

 

今日は会社が休みなので、面会時間に合わせ病院へ。

 

ユウの病室へいそいそと向かっていたら、廊下の先にユウの背中を見つけた。

トイレからの帰り道?

 

そーっと小走りで近づき、後ろから軽くぶつかって

「あら、失礼。」と、他人のフリして言ってみた。

ユウ、本気で驚く。(驚き方、ウケた笑)

 

最近調子がいいから散歩を始めてたらしい。

が、調子に乗り過ぎて今日は歩きすぎ疲れたと。

 

でも、目の前を歩いていたユウのスピードはまた早くなっていた。

確かに調子は良くなってきてるはず!

 

 

病室に戻るとユウがハグしてきた。

その流れで私がキスしようとすると、、なんとよけやがった!

 

顔がニタニタしてる。

こいつめ。今日は絶対してやんない。フンッ

(このあとソッコーしたのだが笑)

 

 

一昨日のレントゲン検査結果を詳しく聞く。

「何センチ小さくなったの?」

 

「知らん」

 

「えっ?なんで」

 

「せんせいも言わなかったし、それにレントゲンだからそんなに詳しくわからんやろ」

 

そこまで話してフト気付いた

「そういえば、そもそも肺がん原発の大きさはいくつだったの?」

 

「うん・・・。あ~、、」 

 

答えない。

なんでそこ濁す?

 

答えたくないんだ。

 

それはつまり、大きかったってことか!?

 

目で「言え」と訴える。

 

「聞いたらウタまた泣くから」

 

「泣かない。言って」

 

「5センチ」

 

ユウが私と目を合わせない。

下を向いている。

 

絶対ウソだ。

 

「本当は?」

 

「6.5」

 

大きい!

泣くというより、呆然とした。

 

ユウの調子が、目に見えて良くなっているので、私はどこかで安心していた。

また現実に戻された。

 

6.5という数字が頭から離れない。

ユウとの会話が上の空になる。

 

ユウがトイレに立つと、急いでケータイでググる。

この病巣の大きさがどんなものか。

そういった関連のサイトをちょっと読んだが、すぐやめた。

恐ろしい文が目に入ったからだ。

 

やはり『癌』は怖い。

改めて感じる。

アッパーカットでノックダウン寸前な私の心。

 

 

ユウがトイレから戻ってきた。

 

何も言わず、ベッドの上に私を向かい合わせに座らせる。

そして私の手を握りしめる。

 

「俺は伝説を作る。あと30年生きる。信じろ。」

私の目をまっすぐに見てそう宣言した。

真剣だ。

 

正直、信じられないけど、このユウの強さが好きだ。

これに何度も救われてる。

 

そして

「退院したら指輪を買いに行こう」と。

 

涙流して喜ぶところだろうが、ちょっと今はそれどこではなかったので

「そうね」ぐらいの返事になってしまった💦

 

(でも嬉しかったのよ)

 

 

 

 

夕方、

ユウのベッドの上であぐらをかき、じゃがりこ食べているところに、カーテンが突然開き、ユウの兄貴が現れた。

 

突然のお見舞い。

奥様も一緒に来られた。

こうやってすぐにお行儀の悪さとか、バレていくんだろうな・・・トホホ滝汗

 

ユウたちは私抜きでラウンジへ行った。

40分ほどして病室にはユウ一人で戻ってきた。

なぜか凄くご機嫌。

浮かれた男の話は面倒くさいから、上機嫌の理由は聞かなかった

 

 

 

 

 

そのあと、ユウのケータイに着信音が。

画面を確認し「同僚だ。ちょっとゴメン」そう言ってケータイを持って病室を出て行った

 

10分ほどして戻ってきたユウは私に背を向ける感じでベッドの淵に腰かけ

「今日、全国支店長会議があって俺の話が出たらしい。それで心配して電話をしてきてくれた」

と話し出した。

声のトーンは一定だ。感情が読み取れない。表情も見れないし。

 

「俺、本当は野望があったんよ。子育てが落ち着いたら前の役職に返り咲くこと」

 

「ちょうどここ2.3日そのことを考えてた。」

 

「たぶんもう無理だ」

 

ポツリポツリと話すユウの背中にいろんな葛藤が見えた。

 

私はユウの背中をさするしかできなかった。

 

 

これから先、まだまだ予想できない事が起き、ユウを取り巻く状況もいろいろ変わっていくと思う。

でもどんな状況であろうとも、要はユウがそこでいかに自分の心を満たしていけるかだと思う。

 

これからの人生はそれを探しながら生きていく。

私は全力で一緒にそれを模索する。

 

ユウは笑って生きていてほしい。

 

そして、ユウは人に何かを与えられる人だと思う。

ユウが何に重きを置くか?だろうが、自分のために生きるか、誰かのために生きるかは、心と体と相談しつつ、ゆっくりとユウ自身が決めればいい。

 

私自身、この先どうなっていくかは分からない。

でも考えてもしょうがないのよね。

 

押し寄せるものに潰されないように、体力と愛だけは常に満タンでいよう。