お話を進めましょう。
長いです。気張ってお読みください。
年上のお姉さんに遊ばれているという健人の言葉に
かなり動揺したあたし。
だって、一瞬自分のことかと思ったんですもん…
でも、どうやら違うみたい。
ほっとしたのも束の間です。
ってことはその人ライバルじゃないですか・・・
健人が年上好みであることは
すでにリサーチ済み。
それが証明されたってことを、喜べ…るわけない。
動揺を隠し切れないあたしを尻目に
健人は携帯を差し出しました。
「このメールもらった時『あ、振られたんだな』って思ったんよ。」
メールの内容は健人なら、きっといい子が見つかるよ!というもの。
「これで振られたって思ったのに、何かいろいろ絡んでくるんよ。」
「…例えば?(ああもう、聞かなきゃいいのに)」
「泊めろ、とか。ご飯つくりに行ってあげる、とか。」
「ええ~…。それは…かなり積極的な人だね…」
「でしょ。」
「同じ学科の人なん?」
あたしの問いに、俯く健人。
「それ、上にスクロールしてん。」
受け取った携帯を操作して
出てきた名前は、部内の先輩でした。
4年生の、通称センさん。
「え!うそ…センさん…?」
予想外に近い存在にあせってしまうあたし。
元はスイマーだったセンさんは、もう部活を引退されています。
でも「今マネージャーが少なくて大変だから」って
大会とかに、積極的に参加して、手伝ってくださってる先輩。
健人に携帯を返しながら、あたしはまた聞きました。
「でも、センさん…○さんは?」
「別れたんやって。」
「あ、やっぱりそうなんだ…?でも、何か…」
○さんはセンさんの彼氏だった人で、部員でもあります。
でもセンさんと○さんは今でも結構べたべたしてて。
別れたっていう噂はあたしも聞いてたんですがイマイチ信じてませんでした。
あたしの言いたいことを察知してか健人が頷きました。
「うん。俺も切れてメールしたんよ。『そんなん元彼にすれば?』って。」
言いながら、また携帯を操作する健人。
なんか既に混乱して、泣きそうなのを堪えてるあたし。
センさん、明るくて可愛くて、いい人なんですよ。
いい人だなぁって、思ってたんですけども。
そこに、健人が携帯を差し出しました。
光る液晶に羅列された文字は、若干滲んでいましたが、こう読めました。
センは、健人のことが気になってるのに、
どうしてそんなこと言われるのか分かんなくてすごく悲しい。
でも、女の先輩としてアドバイスしとくけど
好きな子に元彼の話しとか、したら駄目だよ?
「でも、おかしいやん。
俺のこと気になってるとか言っても、元彼とべたべたしてる。
あんなん周りがまだ付き合ってると思ってもしゃあないやん。
結局、俺も彼氏もどっちも欲しいだけやん。」
「…。」
「…あいつ、ズルイ。」
健人の抑えた声に、怒りを感じて何もいえませんでした。
「…健人は、センさんのこと、そんなに好きなん?」
聞きたかった。
聞けなかった。
だって、見てれば分かりますもん。
本気になったところで挫かれた、
そういう怒りを今、健人は持て余してるんだと。
「健人は、どうしたいん?」
やっと出た言葉に、健人が顔を上げました。
「こんなん続くのおかしい。切りたい。
でも…
今はセンさん以上の人が見つからない。」
「…センさん可愛いもんねぇ…健人、面食いだね
」
冗談めかして言うのが、精一杯でした。
思えば、この一言かも。
あたしのダイエットの、動機。
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