1.25  おじさんはなぜ「巨人軍」が好きなのか成長しなくてよいからである | 短歌&野球

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ぼくのへたくそな短歌と、大好きなプロ野球についての感想を、日記形式でつづります。ぼくの個人的な経験も書いてしまうかもしれません。

佐野洋の古い小説『10番打者』(角川文庫)を掘り出してきて読んでいる。


とにかく面白いし、プロ野球の歴史を楽しみながら知りたい人には最適の本だろう。

書店には並んでないから、Amazonで 古本を探すしかないですが。


第一話は1948年(昭和23)シーズンオフに起きた、南海ホークスのエース・別所昭を巨人が乗っ取る事件が扱われている。


「巨人軍」および「巨人ファン」あるいは「おじさん」というものの成り立ちが手に取るようにわかる。


P30 「巨人ファンの中心は、小中学生だ。それだけに、彼らは一本気なんだ。日曜日に、後楽園の外野席に行って野球を見る。その場合、試合がどんなに凡戦であっても、巨人さえ勝てば満足している。野球技術とか作戦、試合運びといった内容はどうでもいいのだ。ただ巨人が勝てばいい」


つまり戦後のプロ野球は少年ファンの声援と、それにこたえて「勝てばいい」巨人軍ということで、スタートしたのだ。


1948(昭和23)シーズンから日本プロ野球もフランチャイズ制が敷かれた。一応、8球団の本拠地を、巨人、金星が東京、急映が横浜、静岡、中日が名古屋、阪神と南海が甲子園、阪急と太陽が西宮と決めたのである。


すると東日本では実力的にAクラスは巨人だけで、巨人に対抗する強豪チームの南海、阪神、阪急は関西ということになった。東日本では巨人が強いから巨人ファンが増える。


巨人軍が全国的に最強で最高人気球団になるためには、どうしたらいいか。この年、優勝投手となった別所を獲得すればいいということになる。60年前から考えることがおなじだね。


P31 「ことし(昭和23)はじめて、公式戦が地方で行われたが、地方における巨人の人気は、やはりかなりなものだったそうだ。ことに、仙台や北海道では、観衆のほとんど全部が、巨人に応援して、後楽園も顔負けするほどだったという。しかも、地方では小中学生より、おとなのファンが多かったそうだ。こういう話を聞くと、巨人が強くなればなるほどプロ野球の人気が上昇すると、わたしは思うんだ」


な~るほど。東京周辺の少年たちと、同程度の野球理解力の地方の「おじさん」たちが「巨人軍」ファンとして形成されたわけだ。60年前の少年ももう70歳代だし「おじさん」たちはとっくに亡くなっている。でも、「勝てばいい巨人軍」は健在?だから、巨人ファンのガキとおじさんは再生産されていくわけだ。


「ことに、仙台や北海道では、観衆のほとんど全部が巨人…」っていうのは、歴史を感じさせるね。

たしかにそうだった。でも、今は、仙台と北海道は「新しいプロ野球」の本拠地となっている。


その地の「おじさん」は、若いネエチャンが「イーグルスだ」「ファイターズだ」と騒ぎ、自分より野球の中身について詳しく知っているのを、どんな思いで見ているのだろうか。


「おじさん」はぼくのことも「おじさん」と思うらしく、こちらが絶句する名セリフをぼくに言ってくれる。

今年になって最高に絶句した「おじさん」のお言葉。

「小笠原はあれほど活躍したのに、なぜ新人王にならなかったんだい?」