昨今の大学入試改革の動きのなかで、よく言われるのが、「暗記から脱却し、思考力を重視」であるが、暗記と思考を二者択一的に対峙させるのはおかしい。
なぜなら、知識がなければ思考できないからだ。だから暗記は必要だ。真空からは何も生まれない。
また、大学共通テストに記述式問題を導入しようという動きも、おかしい。センター試験を解けばわかるが、暗記だけでは対応できないし、導入が予定されていたあの程度の記述問題では思考力や表現力は問えないだろう。しかも、多くの国公立大はすでに二次試験で記述・論述式の問題を課している。
さて、東大入試だ。クイズバラエティー番組等で東大生が活躍しているせいか、東大生というのは暗記力の王者だというイメージがあるかもしれない。確かに記憶力に秀でている人が多いのは事実だろう。
しかし、東大を目指して2年勉強し(落ちたけど)、その後大学教育を経てから振り返ると、当然ながら論述式の試験には暗記だけでは対応できない。暗記した知識を自由自在に操ることができることが必要である。知識を思考に結び付けるには理解が必要だ。逆に理解すれば覚えられる。
つまり暗記と思考は、二項対立的ではなく、相互補完的なのである。だから、「暗記か思考か」ではない。「暗記も思考も」なのだ。