「オワLIVE!」 その⑨へ(チカチカさん)





「突き合おうぜ!」

びしゃっ。

「ぎゃあ!」

水(氷入り)が顔面にかかった。
真冬にこれは酷い。

「何ふざけてんの、進ちゃん」

月子はシラけた顔で俺を見ている。
正直怖いくらいだ。

「・・・はーぁ・・・」

大きなため息が深夜のファミレスでこだまする。
久しぶりに会った恋人だというのに、一度も笑い顔は見せない。

「すいませーん、お水おかわりくださーい。すいませーーーん!!!」

ウェイトレスを呼び寄せる。
おっさんがめんどくさそうに水を注ぎに来る。

「オニ盛ポテトと中華そばと餃子と生ビール追加で!
あ、マヨケチャ忘れないで下さいね! ポテトといえばマヨケチャですから!」

何故そんな食う?
そして、どうしてぜい肉がいっこうに胸にいかない?

「何が突き合いたいなの?
今の進ちゃんじゃダメじゃない」
「う」
「進ちゃんってさぁ、もしかしてロリコンだったりして・・・」
「は?」

何だか伺うような目で見てくる。
何だこの居心地の悪さは?
俺があのメスガキどもに手を出すとでも言いたいのか?

「まぁいいけどさ・・・。
・・・それともなに?
あっ! もしかして・・・。
治ったの?」

期待に満ち溢れた視線が注ぐ。
主に下半身に。
そんなキラキラした目を見せられては、正直なことは言えない。

「・・・う、うん。もうバ、バッチリエレクト」
「えっ、ホント?」

月子の表情がみるみるうちに戻っていく。
可愛いリラックマ系女子に戻っていく。
可愛い。
可愛い過ぎるぞ・・・藤崎月子(30)。

「ホントホント、超マジだって。
元気すぎてマジカンベン」

大ボラを吹いているが、致し方ない。
月子がいなくなって俺は本当に辛い日々を送った。
1人で食う鍋がいかに寂しいかを、身をもって思い知った。
1人カラオケもJCやJKにに後ろ指さされて切なかった。
分かったんだ。
勃とうが勃つまいが、俺は月子を愛してる。

「んふふ・・・だったら進ちゃん」

机の下の月子の素足が股間に触れる。

「おわっ!?」

5本の指が妖しい動きでマイサンの防壁を撫でまわしているではないか。

「おっ・・・おま・・・うっ・・・! あぁ・・・」

月子は足すらなかなかいい具合だった。
竿らへんをこうして、袋らへんをあぁして、なかなかいい。

「う・・・つき・・こ・・・」

息子が冬眠から目覚めようとしている!
長い長い眠りから目覚めようとしている!

スタンダ! アハン♪ ウフン♪

遠くの方からあの歌が聴こえる・・・。
何だかイケるかもしれないとか思い出した三谷進一(30)!
どうだ!
寺田マサキ(17)よ!
どうだ!
ゴンザブ(17)!
見たかガキども! 俺だってやりゃあ出来る! やりゃあ出来るんだよ!

「進ちゃん・・・月子、ヘンな気持ちになっちゃった・・・トイレに来て」

足をさっと引いて立ち上がると、耳元でしっとりと囁いた。
まさかファミレスのトイレでナニしようと言うのか?
聖職者だぞ!?
公務員だぞ!?
な、なんというエロさと大胆さだ・・・!

「待てよ、月子」

だが、ここは人間欲を優先させよう。
そして、こういう場合は男が引っ張っていくべきだ。
女に先導されていては男が廃るってもんだ。
俺は

「スチャ!」

と言いながら立ち上がり囁いた。

「・・・来いよ、何処までもクレバーに抱き締めてやる・・・」



5分後。



「うわあああああんん進ちゃんの嘘つき!!!!」

やっぱりダメだった。マイサンイズクール。

なぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだ・・・
なぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだ・・・

「もういい、絶対別れる、今すぐ別れる。
さよなら」

下半身丸出しの俺をトイレに置いて出て行こうとしている!

「ちょ、まて、つき」

パンツを上げて、Gパンのチャックを上げた!
その時

あんぐり

「ぬ゛ぅ゛お゛お゛お゛お゛おおお゛お゛おおおおおおあああああ!!!!!!!???????!?」

挟まれた!
皮が!

「進ちゃん何大声出してるの!」

バカヤロウ!!!!!!!
この痛みが女に分かるか!!!!!
分かってたまるかバカヤロウ!

「うおおお・・・ぬあいいおお・・・」

泣きながらトイレの床でのたうちまわる俺に月子は冷たく言った。

「はぁ・・・進ちゃん、私たち本当にダメかもね・・・」
「・・・な、何故・・・」
「愛がないの。だからダメなのよ」
「そんなことはない・・・!」
「だったらどうするの・・・子どもも作れないじゃない・・・」

何故ダメなのか、自分でも分からないのだから仕方がない。

”今あなたに足りないのは情熱よー!”

はっ!
白鳥の声が頭を過ぎった。
そうだ。
情熱だ・・・それが足りていないんだ。
付き合いが長いせいで情熱の灯火が消えかけているかもしれない。
もう一度、愛の炎を点火させねば・・・!

「待ってくれ・・・月子、最後に、最後にこれを聴いてくれ・・・」

震えながら、Gパンのポケットからipodを取り出した。
これを聴いてもらえたら、きっと俺の情熱が彼女に伝わるはずだ・・・。

「頼む・・・最後まで・・・」

ぽちっ。
再生ボタンを押す。

た~ら~・・・だらら・・・たらら~~♪

壮大なオーケストラのイントロがトイレで響く。

「こ、これって・・・!」
「月子ファントム2011さ・・・」
「進ちゃん・・・!」
「作ったんだ・・・お前の為に・・・歌詞も全部改めたんだ・・・ありったけの想いを詰めた・・・」

静かなトイレの中で、月子ファントム2011の音色が響く・・・。






作:chiruhaさん


(この迷彩がヤバ過ぎる牙を 程よく包んでくれる
愛に生き、愛に死ぬ それが孤高のファンタジスタ)

いらない何も 捨ててしまおう
月子探し彷徨う MY SOUL
YES WE CAN, NO WE CAN'T がまんできない
クレバーに抱いてあげよう

エッジのきかない街がいやだよ 鳥人拳出来ないから
シブヤに向かい交差点渡る 「普通の人」はいいね
ふたりでひとつになれないことをイ○ポだと思わないうちに
少しの≪自主規制≫も許せないせこい人間になってたよ

<RAP>
月子いないと生きられない あいにく品のない銃と女は趣味じゃない
この瞬間、世界の中心は間違いなく俺
大胆と書いてヨーロピアン そう読むのがスタンダード
月子の光がそうするように
チェックにグラデをキかしたら
(魔法をかける5秒前)

来いよ、何処までもクレバーに 抱き締めてやるから
家が全焼しても(実話)いいさ 上品コーデ命
美しすぎる マイ・エナジーで キミを酔わせる 陶酔Day
俺を呼ぶ月子の シンフォニーが聞こえる
腹の底から愛の言葉を 叫んでとびだした 伊達ワルレジェンド
シブヤという街が 俺を介して再び凶暴になる

ブリリアントな 罠がオマエを篭絡するぜ TUKIKO
二人の 行き先? あの空の太陽にでも聞いてくれ

いらない何も 捨ててしまおう
月子探し彷徨う MY SOUL
YES WE CAN, NO WE CAN'T がまんできない
クレバーに抱いてあげよう

(エレガントに舞いクレイジーに酔う
それが俺の 伊達ワルレジェンド・・・)




4:36という長く短いひとときが終わると、月子は言った。

「進ちゃんさよなら」

俺は半裸でてぃん皮挟んだままで置いていかれた。