またもやお久しぶりです。
私と同じ北大で「教育心理学」の授業を取っている人はわかると思いますが、その教授がしきりに「学びの共同体」という概念を強調していますね。教授の伝え方によってすっかり学びの共同体について知ろうとすることすら怠ろうとしていましたが(笑)、昨日少し時間があった時に調べ物をして自分なりに「学びの共同体」について考えました。
そんな折、「日本のジレンマ」という番組(http://www.nhk.or.jp/jirenma/ )でも同じような内容を議論していて共感したので忘れないうちに思考ログを書き残します。
まず、学びの共同体の定義とは
生徒一人一人、また、教師を主人公とみなして各個人の内部における最良のものを探究できる学びを実現する
ということを目的とし、そのための手段として
多様性を認めた全員参加型の議論を行なう
という教育実践の方法です。
それでは、なぜ学びの共同体が必要なのか日本の教育の現状にスポットを当てながら考えます。現在の日本教育において
公教育では「リスクヘッジ的教育」、つまり必要とされる最低限の能力や学力をつけるべきという風潮が社会に蔓延しています。この風潮は当たり前のように見えますがリスクヘッジという言葉は元々経済用語であって、教育にまで経済的合理性を求めている日本の状況がうかがえる一つのファクターとも言えるでしょう。このような状況であるから、個人間の競争の激化はもちろん否めない、さらにはそれによって学習遅延者が授業についていけなく(ついていこうとしなく)なってしまうのです。
この日本の教育現状において言える問題点は大きく分けて2つ。
①個人間の競争の激化によって個人のパフォーマンスのギャップが増大し続ける
公教育が経済的合理性を求めている以上、結果重視の教育観が蔓延しているのは言わずもがなです。だからできる人とできない人の差が増大し、学習モチベーションも同様に変化していきます。それによって高校においては上位校と底辺校での学習モチベーションの差は明らかに拡張してしまいます。これは各高校において「私たちは勉強しても無駄だ」とか「私たちは結果を出さなくてはいけない」といったような同調圧力がそのコミュニティ内でのモチベーションを決定することに起因します。これは
同時に、1人の意欲的生徒がモチベーションの低いコミュニティ内で継続的に学習を続けていくことの難しさも示しています。
②理念はあるのだが実現のための手段が確立されない
現在の教育現場でも「全員参加型」の授業を探究している教師はたくさんいます。しかし、そのような理念はありながらも、理念の実現のための手段がはっきりと提示されてきませんでした。それによって手段を確立するという負担に押しつぶされた教師があきらめてしまうという傾向がありました。さらには、そのような全員参加型授業は子どもの評価が難しいので敬遠されているという現実もまた同時に存在します。
このような状況を打開するために「学びの共同体」が提案されました。
学びの共同体では小グループを作るなどして、チームによるディベートを行ったりします。このディベートによって個人ではなく、グループとしての競争が生まれます。グループの中では全員に適材適所の明確な役割が与えられ、自分の得意な役割にのみ集中してパフォーマンスできるのです。それゆえ、個人間の競争は決してパフォーマンスを上げないけれども、チーム間の競争はパフォーマンスを明らかに上昇させます。これが学力(能力)の向上にもつながります。
さらに、この学びの共同体は全員参加型の授業という理念を実現するのにふさわしい手段であると言えるでしょう。評価を下すのが難しいとはいえども、複雑に多様化する現代社会の中で「定量化できないことも認めていくこと」を少しずつ取り入れていくことは社会において重要かつ必然的に求められる課題であると言えるでしょう。
それゆえ、まず学びの共同体が実現されるためには
「集団で育てる新しい学力観」
がより多くの人の中で共有されることが必然条件であると言えるでしょう。
これらを理解してもきっと教育心理学の授業に対して積極的な態度をとることはできないでしょう。(笑) それはあの先生の説明の仕方もありますが(笑)、道徳教育のジレンマという概念が関連してきます。これは実際の現場でも生じるといわれていることで「正しい(とされる)ことを言えば言うほどそれが胡散臭く感じられてしまう」という現象です。だからこそ、事実を伝えることは簡単でも、正しいことを伝えるのは難しいんです。
ここで問題となるのが、果たして「あなたが」学びの共同体を推進すべき教育実践の方法だと思うか、です。自分が正しいと思って子供に伝えなくては、道徳のジレンマにより子供の反感を買うこともなければ、この方法の意図が伝わることも決してありません。
私が学びの共同体に賛成かどうかはもう少しゆっくり考えて結論を出しここに書くことにします。しかし、教師になることを志す人間として、これくらい知っておいて、考えておいて損はないはずです。とりあえず教育心理学のレジュメを見るよりは意味のある記事を書けたらな、と思って書きました。(笑)
最後になりますが、今回の記事を書くにあたって苫野一徳さん(http://researchmap.jp/ittokutomano )という教育哲学者の方を参考にさせていただきました。もし興味がある人はこのひとの本などよんでみてはいかがでしょうか。
以上。
