平成22年度 決算特別委員会 | 碓井法明オフィシャルブログ「本物をやろう!!」Powered by Ameba

平成22年度 決算特別委員会

        

 この度平成22年度の決算が決算特別委員会(委員長平木典道)で審査され、歳入9,4292,300万円、歳出9,3574,800億円で実質収支、359,500万円が内示され、112日の本会議で認定されました。決算特別委員会の総務関係で質問が出来なかったので、私の思いをブログにしてみました。

民主党政権が一丁目一番地として掲げた「地域主権改革」はどうなったのか。とりわけ国から地方に大幅に税源委譲するとした、その約束は何処まで実行されたのか。国の借金は年度末に1千兆円を超えることになるが、同様にますます悪化をたどっている広島市の財政事情について考えてみたい。

 

 国と同様、ますます膨らむ広島市の借金財政に歯止めを! 

 

1015日版の「市民と市政」1450号に平成24年度から27年度までの広島市の財政収支見通しが掲載されました。本市財政の現状について一般会計の決算で市全体の連結ベースの決算になっていないために全体の財政収支が見えない。市債残高については前市長時代の財政健全化計画に沿って投資的経費の縮減による市債発行額の抑制に努めたが、効果は上がっていない。近年臨時財政対策債(国が地方交付税の不足を補うために市に発行させる市債)が増加していることから、市債は一般会計で平成23年度末までに1兆円を超える見込みだという。これは債務を起している全国自治体が共同で担保補償しあうもので、破綻した場合は分担して責任を負わなければならない重要な問題を抱えている。

 これでは借入金の先延ばし、国も地方も巨大な借金体制が深刻さを増すばかりで、本質的には何の治療も施されていないに等しい。

 1020日付の中国新聞によると政府は2012年度から政令市に対象を限定して一括交付金の配分を始める方針を示した。本当に実施されるのか。実施された場合に広島市財政にどのような改善の道筋が見えてくるのか、検証する必要がある。

                  

 

 「隠れ借金」を認識することができる連結決算の開示を! 

 前述のように市は市民に広報で一般会計の決算を示したが、民間並みに連結決算の中身を開示することが必要だ。本体だけでは中身が見えないから、民間でいえば関連会社の赤字分も明らかにすべきだ。

 広報等で示された財政の現状は一般会計の合計額であり、連結決算ベース(地方自治体の財政状況を分析する手法として発生主義及び複式簿記の考え方)で公会計整備の新たな作成方法である「基準モデル」及び「総務省方式改訂モデル」が総務省から示されている。

 広島市は平成20年度(2008年)決算から普通会計、単体及び連結ベースでの財務書類4表(バランスシート、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書)を作成、公表しているのだからこれを機会に決算の全体像を市民に示すべきだ。

 連結ベースで広島市には約2兆円弱の借金がある 

 この度の中期財政収支見通しにおける今後4年間の赤字見込み額(別表)を一般会計でみると、平成22年度の市債の残高は9,818億円(別表事務所作成)となっており、連結ベースの9,361億円(平成22年度を基準として算定)と合わせると19,179億円の借金となる。約2兆円の借金となる。

要は連結ベースでの中期財政収支見通しを作成し、実態的な債務の内容、規模を掌握すべきではないかと思う。

プライマリーバランスも同様に連結ベースでやり直す必要がある。

無題

                 (うすい事務所作成)

プライマリーバランス均衡の考え方は、財政赤字削減目標のつじつまを合わせるために、一般会計のプライマリーバランスの均衡に目を向け、その一方で特別会計において「隠れ借金」を増やすという思惑があったり、あるいは一般会計だけが政治的なコントロールの対象となり、特別会計は政治介入のし難い「別の財布」と化している現状があるとすれば問題だ。

 

 最低限、広島市の財政赤字を増やさないための対策を! 

1.            平成13年度から10年間で発行した市債は5,895億円で、そのうち臨時財政対策債は1,585億円となっており、市債発行額の27%を占めている。

2.            平成22年度の決算では臨時財政対策債は298億円(42%)に膨らんでいる。

3.            「中期財政収支見通し」では計画最終年度の平成27年度の市債残高1981億円のうち、臨時財政対策債の残高は2,947億円となり、平成22年度の約2倍になると予想されている。

4.            臨時財政対策債は、地方公共団体の後年度償還経費を基準財政需要額に地方交付税として算入されることになっているが、国の財政状況を考えると疑問視せざるを得ない。

5.            こうした状況を前提に、自律的な改善策として「市債の実質残高を抑制」する目標を達成する手法として「年度内の市債発行額は、同年度内の元金償還額を上回らない」こととすべきである。

6.            市債発行額は市場公募債で700億円となっているが、このうち200億円が出納整理期間中の最終日(531日)に発行されており、減債基金が出納整理期間中に103億円(毎年はマイナス21億円からプラス15億円)もの積み増しが行われ、借金に歯止めがかからない状態になっている。

 

 

 広島市の外郭組織のさらなる経営効率化を! 

 (広島市土地開発公社の廃止について)

 平成21年度(2009年)までに公社保有地の再取得又は民間処分を目指し、平成22年度(2010年)までの解散を目指すこととしていたが、その時期は徐々に引き伸ばされており、早期の達成が求められる。

 (広島市の指定管理者制度の改革について)

 2003年の地方自治法の一部改正により、地方公共団体は公共施設を民間事業者の手法を活用することにより、管理に要する経費を削減することができるようになった。

広島市の指定管理者への委託は試行的な段階から、次なる新たな段階を迎え、更なる効率的な施設管理への期待と利用運営上の課題が浮き彫りにされつつある。市全体での経費節減効果や将来の目標を設定した上で着実に取り組みを進める必要がある。

今まで築かれてきた利用者と管理者の関係が新たな管理者に代わる場合、一旦途切れることになり、再構築する方法はどのように講じられるのか。従来の施設及び職員が切り捨てとなる危険が生じており、アルバイト、パート職員のみが移行採用され、大量の正社員が解雇されるといった労働法上の問題が生じる可能性があることへどのように対応を考えられているのか。

指定管理期間が短期であるため、修繕や整備の計画が立てにくく、塗装の塗り替え、雨漏り、床改修、タイル張替え、空調設備の修繕など多くの問題が発生していると聞くが、大規模修繕等多額の予算を必要とする工事をどのように進めるかなど多岐にわたる課題があり、早急に解決策を講じていく必要がある。

 最後に、集中と選択による徹底した行財政改革や事務事業の抜本的な見直しはもちろんのこと、現市長の所信表明にあるように「市域における官民の全ての分野で持続的な健全経営を展望し、まちににぎわいを、市民の生活に活気を吹き込む。それが税の増収につながるもの」にしたいものだ。確かにこれまでの広島市は12年間の空白時代といわれ、札・仙・広・福の中で最悪な状態にある。新市長と議会とが車の両輪になって市民の幸せを第一に考え、世界の誰もが広島に住んでみたい、行ってみたいといわれるような中四国での広域連合による中枢都市広島に、又州都広島にしたいものだ。広島の課題は中長期的な成長戦略にある。