春秋 視点・論点「2050年の広島を考える」 | 碓井法明オフィシャルブログ「本物をやろう!!」Powered by Ameba

春秋 視点・論点「2050年の広島を考える」

(その1)
驚愕の未来予測
最近、英国エコノミスト誌が出版した「2050年の世界」やNHK出版の「2050年の世界地図」など、長期の未来予測が注目されている。
前者の「2050年の世界」では、世界人口は2050年には90億人を突破。この1世紀で何と3.6倍の人口大爆発を予測。特に21世紀にはアフリカでの人口増加大きく、この地球上の水、食料、エネルギー、地球温暖化等々に「最善の英知」を絞り出さなければ、地球全体が危ぶまれる。
また、2050年には先進国は中国を含めて、何れも高齢化が進行する中で、日本の少子高齢化は、未だ人類が経験したことのない「超・高齢化社会」を迎える。そして、日本のGDPが世界第8位に、人口当たりGDPでは韓国にも抜かれるという。将来世代への「少子化対策」に取り組むと同時に、「超・高齢化社会」は、世界の先頭に立って問題解決に挑戦し、この成功モデルで世界に貢献すべきであろう。

迫りくるニューノースの世紀
次に、後者の「2050年の世界地図」では、地球上の北緯45度以上の極北エリアを「ニューノース」と呼んでいるが、豊富に埋蔵される天然ガスやメタンハイドレードは、我が国も原発依存からの脱却を図るために、新たなエネルギー資源の開発に期待したい。また、地球温暖化に伴う、北極海航路の開設によって、EUに一番近いアジアの国が日本になるので、北海道や日本海側への「国際ハブ港湾」にも期待したい。

(その2)
日本の未来~不都合な真実
問題は、先の「2050年の世界」では、「日本の存在感は限りなく小さく、世界から消え去っていく」と、そんな見方がされている。これには、「冗談じゃない!」というのが正直な感想だ。
これまでの我々は、真実を語れば国民に不安を与えるため、「不都合な真実」を表に出さないで来たように思われる。しかし、我々政治家は迫りくる「メガチェンジ」を覚悟したたうえで、「不都合な真実」から目を逸らすことなく、厳しい未来を国民に訴えていく必要があると思う。
そのためには、「メガチェンジ」の認識のもと、元気な高齢者への「生涯現役社会」の実現への体制整備や、原発事故の反省に立つ新たなエネルギー開発などに、更なる果敢な挑戦が求められよう。

中四国地域の未来~広がる地域格差
2050年には、我が国の人口は現在2012年よりも27%減と予想されているが、これは全国平均。東京都あたりでは5%しか減らないが、中四国地域では4~5割近く激減するのである。限界集落は無人地帯に、都市の周辺でも郊外の団地は空き家だらけとなる中で、東京だけが栄える。そこで飛躍するようだが、こうした問題の抜本対策こそが、道州制へのメガチェンジだと認識している。

広島の未来~問われる存在感
政令市の福岡市や横浜市では2050年を見通した施策展開が図られているが、広島市には見当たらない。早期に政・官・財・学等が一致して生き残りをかけた対策を進め、広島に「明るい未来」を勝ち取りたい。そこで、2050年の広島を考えるため、広島の英知を結集し「2050中四国グローバル戦略検討会議」を立ち上げたい。そして北九州市に負けないS.C.W「広島Day」を開催する。
最後に2050広島のまちづくりへの提案を纏めておこう。

(その3)
未来に向けた3つの都市戦略
スマートシティ広島;広島はドイツのカールスルーエに負けない全国一の規模を誇るLRTのまちなので、更なる路線の改良や拡張、車両の高機能化によって、利便性、環境、エネルギー、上下水道、廃棄物など様々な社会インフラ、そして高齢化対策や教育、医療、ライフスタイルを含めた人の意識、行動力にまで広がる優れた全体的アプローチや新サービスを提供する都市につなげたい。
コンパクトシティー広島;郊外の住宅団地では高齢化や空洞化が進行しており、住民参加のもとで、基幹交通網に沿った機能集約等で、安心安全と経済性との両立を図り、歩いて暮らせる中心市街地の活性化と生活機能が近接した効率的で持続可能な都市づくりを推進する。
中四国・シティーリージョン広島;広島を中心に、中四国の都市連携を強化し、エリア全体で国際競争力を高めたい。そのためには連携軸=交通インフラ等の強化が不可欠となる。

(その4)
5つの政策提案
まずもって地域の自立;小異を捨てて中四国地域でまとまることだ。平和首都広島の確立。地域自立の基礎は住民自治の確立から。
広域連携の重視;「広島の発展=中四国地域の発展」を一心同体として政策する。広島松山ルートは必須。広島空港への軌道アクセスで国内外との交流促進。出島地区には国際物流拠点を。
産業構造の転換;製造業からサービス業へ、更に知的産業の充実、情報・文化産業にも力を入れたい。平和貢献と経済の両立化。瀬戸内観光を世界に売り出すこと。
教育・医療・福祉の充実;州立大学本部を司令塔に教育体制の高度化。新幹線口への放射線医療を含めた高次医療特区の導入。生涯現役制度の実現で全員が生き生きと輝く社会へ。
行政・議会の改革;道州制のもと広島・呉・東広島・岩国を特別州都圏として再編。外部から優秀な人材を受入れ、公務員改革を断行。地方議会への政策シンクタンク機能を強化する。