まちづくり研究会新春座談会  | 碓井法明オフィシャルブログ「本物をやろう!!」Powered by Ameba

まちづくり研究会新春座談会 

州都広島と牛田三学区21まちづくり

出席者;牛田地区社会福祉協議会会長.牛田商店街振興組合青年部長.牛田南二丁目町内会役員.牛田連合青年会顧問.体育協会常任理事.牛田新町地区社会福祉協議会会長.広島市風景づくり推進委員会委員.広島光明学園保育士.

ワーキンググループ/広島大学名誉教授.ワーキンググループ座長.広島修道大学教授.広島市文化協会理事.中国地方総合研究センター.まちづくりコンサルタント



【牛田に住んでみたい 住んでよかったと思われるまちづくり】



今日は州都広島に関連して牛田三学区のまちづくり新春座談会を行いたいと思います。

 昨年は「災い」の年でした。今年は酉年です。鳥のようにこつこつ働いている人たちを牛田ニュースでもとりあげていきたいとおもいます。そして牛田に住んでよかった。牛田に住みたいと思われるようにしていきたいと思います。

 州都広島ということですが広島県は八十六の市町村がこの三月で二十三になります。広島県知事の話では十年後には県はなくなるそうです。そのなかで道州制となった場合、中国州の場合州都をどうするか、州都を岡山ではなく広島にもってきたい。

 やはり広島が州都になるべきという考えが大勢を占めています。そんな中で、牛田三学区をこれからどのようにソフト、ハード両面で整備していけばよいか。

野村 今の広島市はどうなのかと考えたときに、なかなか明るい話題に欠けているのが現状だと思います。元気がないということはあちこちで言われていることです。

 三年前にアストラムラインを延伸するという話題で盛り上がりましたが、今ではその話もあまり聞かれなくなりました。現在では路面電車の活用が全国的にも盛り上がりをみせているようです。白島線を牛田まで延伸してはどうかという議論も聞かれます。

宮永 広島という地は文化に関しても熱しやすく冷めやすいというところがあります。

 今年十月に小澤征爾が広島で公演を行いますが、今回で小澤が広島に来るのが最後ではなかろうかと思います。



【広島の出発の地「牛田」】



四〇〇年前に広島の出発の地になったこの牛田が、もう一度四〇〇年の時をこえて広島再生の出発点となるのではないか、と期待しています。

 二十一世紀、広島の目覚めをこの牛田から、という期待と希望を持っています。

山下 今、牛田は広島出発の地です。見立山を見たときに、ふと、ああここで四〇〇年前に広島の都市計画を決定したんだなと、川の多い広島の地では昔は人の流れが盛んだったんだろうと考えていました。この牛田から新しい街づくりを考えて行きたいと思いました。

 一〇〇年〜五〇〇年の長いスパンで広島のまちを見ていくと、道路などよりも自然地形のなかで街づくりを考えると、広島の中心性なんかも出てくるんじゃないかと思いました。今年はそうした文化や自然地形などを考慮にいれて時間軸のなかでまちづくりを考えていかないといけないなと思っております。



【広島の活性化を牛田のまちづくりから】



それでは、州都広島のモデルとしての牛田三学区について。牛田は文化、歴史、教育、福祉など、充実しているほうではないかと、思うのですが。山下さんがおっしゃったように、広島のまちづくりをこの牛田から活性化させたいと思います。牛田には広島市で唯一の国宝不動院がありますし、温泉も出ます。スポーツセンターなどの施設もあります。バードウォッチングが出来るように、新町一丁目の河川敷の整備、あるいは川の駅を作る、JR社宅の跡地をヤングのまちに高齢者もすみ若者もすむまちにできたらいいのではないかと思います。

 また新町地区の不動院を中心としたまちづくりや、歴史の散歩道といったものも必要ではないかと思います。それから牛田商店街のコミュニティー道路化、終点のロータリーの活用策。牛田中山道路。循環道路を作ってはどうだろうかということもあります。

 あるいは南の第四小学校跡地をスポーツ公園にするなど検討していかなければいけません。

 教育については広島県は四十七都道府県のうち三十七番目だそうです。それに対して青少年の犯罪件数は全国でも一、二位を争う件数だそうです。この牛田はそのような面でどういう対策をするか。というのも課題になるとおもいます。

池田 若者がすむまちという点では、牛田の象徴となるような高層ビルがあれば若者が集まるのではないかと思います。そういった意味では旧いものばかりではなく新しいものをどんどん取り入れていくのも一つの方法だと思います。

 しかし近代化していっても、山に囲まれ川が流れている。そういった自然は残していきたいと思います。

古川 やはり州都の件では岡山には負けたくないですねそういう意味ではカープ、サンフレッチェが強くないと広島が注目されないと思います。また、学問の分野でも広大などがパンチの効いた発明をして欲しいですね。経済的にはマツダ級の企業がもう一つ欲しいところです。

 また県知事や市長が現場に出て行って現状を知るべきだと思います。

 牛田新町に関しては高齢者人口が多いので坂道が問題になると思います。ボランティアで車を巡回させている方がいるのですが、そういった方が増えていけばという思いはあります。



早稲田学区についてはどうですか。



広島市全体のことを考えています。どうしたら広島市が魅力のあるまちになるか、州都はやはり広島でなくては、と誰もが思うようなまちにしたいと思います。

 先ほども話に出ましたが、高齢化社会ということが言われています。ですが、年寄り扱いしすぎているんじゃないかと思います。これからの日本は高齢化社会がどんどん進んでいきます。

 若者が住む町というのもいいですが、老人が活躍できるまちというのも大切ではないかと思います。そのほうがより個性のあるまちになるのではと思います。



【継続的に情報発信するまちに】



この前三金会で田植えや稲刈りをさせていただいたのですが、毎年テレビや新聞などメディアに取材してもらっている。牛田の市街地住宅地の中に田んぼが残っている。水がきれいなことも含めて牛田の特徴の一つだと思う。こうした牛田の特徴を軸にして発信を継続的に行ってゆけばよい。



ではそういった点を、広島は国際平和文化都市ということもありますし改善していけたらいいですね。情報発信ができるまちにしたいですね。

 田植えや収穫祭はまさにソフト面の行動になると思うのですが、地元の三金会を中心に今後も考えていけたらいいと思います。

隠居 自然が一番大事だと思います。牛田のまちづくりには自然を基本にやっていったらいいんではないかと思います。若者なんかも意外と自然を好む傾向が強いと思います。

 碓井先生と昔商店街をどうしたらいいかという話をしたのですが、私はこのまちを八丁堀のようにはしたくない。かといって段原のようなまちにもしたくない。まず公園を作ってくださいという話をしたことがあります。極端な話ですが、牛田全体を公園にしてもいいと思います。

 自然を大切にして、若者にも支持されるまちにしたいと思います。

野村 確かに公園というのは必ずしもどんと大きな公園がある必要はなく、街並みの一部として小さな憩いの場がたくさんあってもいいのではないかと思います。山と川に囲まれた牛田にはそういう要素を備えていると思います。



【自然と共生した個性のある牛田のまちづくりを】

私は近代設備を整えて人口がどんどん増えていくのもいいことだと思いますが、そればかりがいいことだとは思いません。そういう意味では必ずしも州都になるという必要はないかもしれません。重要なのはいかに自然と共生した個性のある光り輝く牛田をつくっていくかであると思います。

主幹 州都実現ということを逆に利用してまちづくりをするということもいえるかもしれませんね。最終的に州都にならないとしても、その過程で牛田が、広島市がすばらしいまちになればいいじゃないかという考え方もできます。

宮本 牛田というのは広島市のなかでも高級住宅地のイメージを持たれています。おそらくそれは高いということではなくて、利便性がいいとか緑が多いとかそういう理由も大きいと思います。外の人達のそういうブランドイメージをもっともっと高めていけたらいいのではないかと思います。今おっしゃられた公園のようなまちづくりはすごくいいことだと思います。



昔ながらの住宅がなくなり高層マンションが建設されていくことについてはどう思われますか。



昔は世間体などを気にし土地の活用が行われていたように思いますが、今はそういったものが薄れている気がします。だから土地の所有者も経済合理的なものを建てる方向に向かっています。地域住民はそういうものに無言のプレッシャーを与えていかなければなりませんし、そういうコミュニティーを作っていかなければいけないと思います。

最近は成年会や子ども会の活動が伸び悩んでいる気がしますね。私も長い間成年会の活動をしてきましたが、十年前には各町にあったのに今では数が減ってきています。子ども会も同様ですね。祭りごとをするときに非常に困りますね。若いお父さんお母さんが成年会などに入ってくれるのを願っています。

主幹 その中で子ども会や青年会がいかに接していくか、それは大きなまちづくりの課題でありますね。そういったソフト面の対策も考えていかなければいけませんね。

藤沢 今、吉川さんがいったことと同じことなのですが、町内で運動会をしたりするときに人が集まらないですね。特に子どもが集まらないんです。地域のコミュニケーションをとる力が低下しています。そういうものを復活させることも考えていかなければいけないと思います。



【学生が牛田のまちにかかわりを】

主幹 牛田には大学が二校あるのですが、地域とのかかわりが薄いような気がするんです。その点がもっといいコミュニケーションの図り方があれば、もっと学生が牛田のまちにかかわりを持つように思うのですが。

池田 大学側にその意識が低いように思われます。地域のコミュニティー育成に関してもただ単に入ってくれというだけではこれからはいけないのではないかと思います。新しく越してきた人に町内会、老人会などに入るメリットを示さなければいけないと思いますね。



先ほど大学生とまちとの関わりが薄いという話が出たんですけど、例えば牛田のまちづくりを通じて女学院や比治山大学の学生に入ってもらい、まちのデザインなどをコンペティション方式で競ってもらうというのもいいのではないかと思います。具体的な活動を通じて自然と牛田のまちに入ってこれるのではないかと思います。

 それから高齢者のことなんですが、やはり年をとられても、何かを担うという地域がいいのではないかと思います。最近コミュニティービジネスという言葉がありますが、お年寄りが地域に根ざしてなにかの仕事をずっと続けていける仕組みをつくることも大切だと思います。

 先ほど隠居さんがおっしゃられた公園のようなまち。それを案内する高齢者のかた。そしてそれが州都広島においてもてなしのまち牛田。ということになれば理想だと思います。おもてなしの心を持った町というのは牛田ならできるんではないかなと思います。



牛田の子ども会や町内会に集まらないのはある意味でしかたがないことかもしれません。転勤者が多いので入れ替わりがはげしくそういったコミュニティーを形成する余地がないような気がします。特に私が住む早稲田三丁目は公務員宿舎がほとんどで転勤族がほとんどです。

宮永 中学高校は今学区を自由に選べるようになってます。ということはこの牛田学区、早稲田学区の中学校がどういう特色があるかということが重要になってくるとおもいます。牛田に住んでいるのに皆が他の学区の学校に行ってしまったらつまらないと思います。

主幹 幸い牛田中学はその点は心配ないかと思います。牛田中に入りたいということで倍率があがっているそうです。

牛田中は基礎学力は優秀だそうです。三十〜四十人くらいの定員オーバーになるそうですよ。



例えば京都は歴史的ないいものを残しつつまちづくりを行うためのルールがあります。牛田もこの研究会でルールをつくりまちづくりに方向性を与えるやり方がいいのではないかと思います。

主幹 例えば景観条例のようなものを牛田につくって、それをマンション業者などにも遵守させなければいけませんね。現状は法律の網をくぐりぬけて業者主導のマンション建設が行われています。彼らに如何にしてそういったものを守らせるかというのは、住民一人ひとりの意識にかかっているかもしれませんね。



【広島は州都であるべき】



私は州都の話に関しては広島が州都であって欲しいと思います。現在でも世界中で多くの核兵器がつくられています。そして唯一原子爆弾を落とされたのは世界でも広島、長崎だけです。広島はその経験、メッセージを世界中に発信しつづける必要があると思います。それが今私たちにできることだと思います。世界の中の広島。日本を代表するまち広島。そういう意味で広島は州都であるべきだと思います。

 牛田に関してですが、管理等大変だと思いますが、やはり田んぼを残していきたいです。子どもたちの為にも自然を残してあげたいです。今の時代は開発が進みすぎて、お金をかけて自然を再生しなくてはいけませんが、そこまでしてでも自然というものを残さないといけないと思います。



【リーダーシップの確立を】



日隈 まあ、こういうまちにしたい、ああいうまちにしたいという議論は果てしなく続くと思うのですが、やはり今の広島市に足りないのはリーダーシップだと思います。理念を先に示さなければ行動は起こせないと思います。牛田などは皆があこがれるまちです。

 その中心は二葉山だったのです。原爆が落ちるまで、広島の中心は二葉山、にぎつ神社でした。

 牛田に住んでいる方はそういう誇りを持って暮らしてもらいたいと思います。そして州都は広島しかないと思われるようなコミュニティーつくりをしていただきたいと思います。

主幹 高齢者の話がでましたが、昨日社会福祉審議会が行われました。広島市は現在も介護保険料が政令市一高額なのですが、これが来年からもっと値上げするという話でした。広島がますます住みづらいまちになってしまいます。

 これまでの街づくりというものは、悪いものを直すということをしてきましたが、これからはいいものを伸ばすまちづくりが重要だと思います。

野村 私は広島大好き人間でして、外にでますと広島の自慢ばかりしています。広島はいいところもたくさんあります。特にこの牛田などはそういういいまちにしやすい基盤がある程度整っているまちだと思います。

 意外と広島を知らない外の人は広島の人が思っているより広島のことをいいところだと思っています。だからそういった人達をがっかりさせないように、我々広島市民はいいところを伸ばしていく必要があると思います。



【地域通貨の取組み】



主幹 牛田は自然環境、高齢者の住みやすいまちなど様々な要件で日本一になる素質を持っています。宮本さんが言われたようにいいところをどんどんのばしていけたらいいですね。その結果州都にふさわしいまちになれればいいと思います。

 何年か前の座談会のときに宮本さんが地域通貨のことを話しておられました。

 地域活性化のためのソフトな手法の一つとして地域通貨があり、全国的にかなりの取り組みが行われています。

 この方法により、地域の交流が図られ、コミュニティーの再編へむけた動きの可能性をもっています。

主幹 人と人との信頼関係をより強固にしていく、住みやすい、安心したまちづくりをさらに推進するために「地域通貨(エコマネー)」の導入を検討していきたいと思います。

 今日の座談会は三月頃にだす冊子にも収録させて頂きたいと思います。今日はみなさん貴重なご意見を頂き本当にありがとうございました。