広島市議会を取り巻く最新の動向 | 碓井法明オフィシャルブログ「本物をやろう!!」Powered by Ameba

広島市議会を取り巻く最新の動向

 この6月には国の地方制度調査会が「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申」が出されており、議会のチェック機能が問われている。いよいよ広島市議会の「議会改革検討委員会」が議長の諮問委員会ということで始まった。この7月下旬から来年の3月で広島市の市議会の改革について議論される。その主な内容は、


(1)議会基本条例について
(2)予算・決算等委員会運営のあり方
(3)その他
となっている。この度で第6回となるが、これまで議会基本条例については、


1.議会の基本理念や市民福祉の向上及び政策立案等市勢の発展に寄与することを目的とする
2.分権時代を先導する議会を目指して住民自治の観点から市民の意向の把握等真の地方自治の実現に取り組む
3.議員活動の公正性及び透明性を確保し、市民への説明責任を果たすこと
4.事務の執行の監視及び評価、市民の意向の把握、情報提供、調査研究
5.議会の機能強化、議会事務局の機能強化を議論する等。

▼(2)の委員会運営のあり方については特に予算特別委員会の審査方法について議論され、代表質疑や所管別質疑、締め括り総括質疑、会派の持ち時間制、又市長以下の理事者の出席について議論がされている。(3)その他については予算・決算等特別委員会においてインターネットの生中継、又陳情等のあり方について議論がされている。

▼これらの議会改革についてはこれまでも広島市議会において議員定数の削減、費用弁償の改革、本会議生中継の実施など様々の議会改革がなされてきましたが、この度の新政府によると、地方分権改革を推進するため、


①「地域主権戦略会議(議長鳩山首相)」を設置
②年内をめどに地方側と共同で総合的な分権改革の工程表を策定
③分権委の第3次勧告を踏まえ年内に策定する「地方分権改革推進計画」見直し案を盛り込み、来年の通常国会に関連法案を提出
④国と地方の協議の場の法制化
⑤国直轄事業の地方負担金制度の見直し。


平成11年度から「一括交付金制度の導入、国の出先機関の原則廃止など、矢継ぎ早に地域主権改革をいっている。地方の広島市又は広島市議会はこれらの政治改革をどのようにするのか。これまでのように国任せではすまない。議会基本条例の制定やその他の議会改革はすぐにでもやらなければならない。他の地方議会では約500市町村議会が既に数々の議会改革をやっている。広島市議会改革の目的は、


1.今後の地方分権や道州制への移行に伴う政策の受け皿として、地方政府として機能するには「地方議会の政策立案能力」を高めること
2.地方議会の不要論を自らの問題として受け止め、二元代表制の一翼を担う議会の存在感を高め、住民に対する地方議会の信頼を回復すること
3.新政権は「国主導ではなく、地方主体性を言っており、広島市議会がこの中四国地域での政策推進のトップランナーになること
4.市の「世界のモデル都市」もいいが、来るべき道州制時代に「州都」を担うべき都市であり、広島市議会が中四国の政治的リーダーシップがとれる
5.これまでの広島市民への議会改革アンケートにもあるように市民の意見を聞く会を必ず議会サイドで用意する。
6.来年3月の答申は遅きに逸する。改革は時間との競争であり、大阪府の行政改革、この度の国の方針などスピード感に負けない広島市議会であり、善政競争でもある。グローバルな世界や地域にあっていち早く勝ち抜く地域がリーダーシップを担うのは当然の流れ。将に一般市民と議会との乖離をどうするのか、一刻も早く答えを出さねばならない。これが市民の市民による市民のための政治ではないか。2020年のオリンピック開催も大切だが、その前にやることがあるのでは。


広島市基本構想・基本計画特別委員会での質問と市の応答

平成21年10月7日(水)

 資料1.として市の基本構想案(9月16日記事参照)が、資料2として代替修正私案(10月6日記事参照)が、資料3として私どものアンケート調査結果の概要を配布し、質問を行いました。(別紙参照)今までにも本会議、特別委員会など意見をたびたび言っていますが、どうしても直してもらえないので、資料2の代替私案を独自に作成しました。

(1) そして、基本構想の素案の内容がアンケートの結果で80%の人がわからないと言っており、地方自治法(第二条第4項)に触れ無効ではないか、市民本位の構想になっているか確認したところ、 <市は>基本構想の策定に当たって法令に違反することはあり得ないと思います。広い意味での市民の声を集約した基本構想・基本計画になっていると思います。分かりづらいからこの法令に違反するという、だから無効ということには当たらないと思います、という答弁でした。

2) ジャック・アタリ氏の話を受けて、こうした構想の内容で、21世紀、果たして広島は生き残れるのか。市長のNPTの問題と同じくらい大切です、と主張しました。

<市は>内容の訂正・撤回は制度的には可能ですが、議会の会議規則で議会の承認が必要だと定められています。審議会で議論のうえ答申をうけたものを議案として提出したものであり、この案で可決をお願いします。訂正・撤回は考えていません。議会の修正権がありますが、基本構想の理念に関する部分は修正できないという解説があります。「世界のモデル都市」とか「パートナーシップ」などは修正できないものです、と答えた。

(3) 市の広報は市民の基本構想等に対する意見はどのようにしたか、市民アンケート調査をしたのか聞くと。
<市は>経過はホームページで公開し、素案を作成した段階で市民と市政により広報しました。この素案に対する市民意見募集を行いました。ホームページでは素案の全文掲載本庁や各区役所や出張所に素案の本書を置き、閲覧できるものとした。市民の意見募集を行い、180件の意見がありました。よく分からないという意見もありましたが、提案の方が多かった。

(4) 独自に行ったアンケート調査の81%が分かり難い部分があったとし、大多数が分かりにくいと言っている。無効になるのでは、というのはここからきており、問題です。

 以下修正私案のポイントについて一式質疑応答を行いました。
 資料2の修正私案の提案ポイント
(5)  構想が平和都市に特化しており、都市像の中の国際都市と文化都市もいれてもらいたい。
(6) 文章を分かりやすくするために、一つは、二つは、三つは、4つはと分けて表現すると良い。
(7)  「パートナーシップ」という表現が10回も使用されており、「パートナーシップ・モデル」というのは分からない人が多い。「パラダイム」なども一般市民が分かるような表現にしてもらいたい。

(8) 「州都広島が実現できる都市づくりを進め」というこの項目は是非とも入れていただきたい。基本構想にも入れてもらうよう主張しました。
これに対し、<企画総務局長は>道州制については委員からの指摘もあり、基本構想にも道州制への適切な対応を図るという表現を盛り込みました。道州制については議論中で、「州都広島が実現できる都市づくりを進め」については何が州都の実質なのかという都市づくりの内容が具体的にイメージしづらいと思います。委員が言われたように、基本計画には広島市は州都を目指すと明言しています。素案でいいのではと思っており、あとは議会の判断になると思います、と答えました。
さらに<秋葉市長は>、我々はみんな同じ気持ちで、全然違いがない。広島が一つの都市の州あるいは大都市州という制度にならなければ、当然広島は州都にならなくてはいけない都市ですし、それだけの力があることは、みんな我々共通の理解事項だと思います。中でも大事なことは、州都ですから交通の拠点にならなくてはいけない。広島駅周辺のBブロック、Cブロック、二葉の里などの開発を当然行わなくてはいけない。そっちは削っておいて州都を入れると言うと、内容がやっぱり分からない。拠点整備も入れた結果として広島が州都にふさわしいまちになるという議論の運び方のほうが説得力があると思います、と補足しました。

 州都という言葉が出てきて全体の構成が問題なければよろしくお願いしたい。

(9) つぎに交通対策について質問しました。高速道路が1,000円時代になったら、フェリーがだめになり、大変なことになります。1,000円高速になったら岡山が有利になり、全部岡山に行きます。21世紀は岡山の時代になる。21世紀は戦略を考えると高速道路を早急にやっていただきたい、と要望しました。
これに対して
<秋葉市長は>、大変重要な指摘だと思います。民主党のマニフェストではただにするという。もっと状況が悪くなるということで、瀬戸内海を中心に発達してきた中国、四国地方として、海の交通を歴史的にも、地域の活性化のためにも大切にしていくことは重要な指摘だと思います。環境の面から温暖化防止から考えると、海上交通を重視していることは重要なことです。こういった視点から計画にどう盛り込めるのか、どういう表現が適切であるのか、等総合的に検討させていただきたい。

(10)最後にオバマジョリティの踊りのようなことは被爆者の心を踏みにじるもので、よくない、という指摘をしました。


(平成21年9月定例会での質疑応答
平成21年9月30日(水)

 平成21年第4回9月定例会の本会議で自由民主党新政クラブを代表して質問しました。
 最初に全体テーマとして「21世紀に果たして広島市は生き残れるのか」を問いかけをしたうえで、広島の3つの問題点として、「第一」にジャック・アタリ氏の言う、挑戦的な地域戦略の欠如、「第二」にアジアの交流が中四国地域における中枢都市広島としては役割が不足している、「第三」に優秀な人材となるべく高等教育やVI戦略に不備があるとの認識を述べました。
広島市で作成中の基本構想・基本計画は広島市の21世紀の広島の繁栄を決定づける重要なものです。
 総合計画の中で重要なポイントとして1.人口減少社会の対応、2.広島市の発展を握る経済発展戦略、3.として広島市が生き残るための行政改革、同時に議会改革が必要、の3つをあげました。
広島市は我が国の、あるいは中四国地域の中心となれるチャンスがあったが、アジア大会以降失速し、地方中枢都市の最下位が指定席となった。地域主権を発揮できる地方政府としての機能を行政、議会ともに整えていくことが重要です。鳩山総理の「友愛の精神」・大河ドラマ「天地人」の義と愛・ジャックアタリ氏の愛他主義を基本とする超民主主義が必要です。

そこで、<秋葉市長の政治姿勢について>以下の質問をしました。
1. 球場跡地利用に関して、2月議会で予算を否決したが、全国菓子博について地域住民や地元商店街などと話し合いをし、合意を得たのか。2月に否決された内容からどんなところが改善されましたか。
2. このたびの予算の再提出の本当のねらいは何ですか。計画に折り鶴施設が含まれていますか。折る鶴施設は市民アンケートでも50.4%の人が否定しています。菓子博の開催で広島市の経費負担はどの程度になりますか。
3. JALの経営危機に伴う広島西飛行場からの撤退問題について、道州制下における州都広島の実現や地方の空の拠点としてのコミューター空港は必要であり、市長も存続を訴えています。宮崎の東国原知事も広島-宮崎路線の存続を訴えていますが、どのように考えていますか。
4. 新政権が掲げる大幅な政策転換を受けて、市長はどのような対応が必要であると考えられますか。また、2010年度予算が政治主導で既成の枠組みを白紙に戻して検討が進められることに、どのように対応されますか。
5. 広島市が21世紀に中四国地方の中枢都市として生きられるかどう思いますか。広島市の果たすべきリーダーシップについてどのように対応されますか。
6. 被爆都市広島として「核兵器廃絶と核の傘」の相反する2面の立場の市長はどう考えられますか。
7. オバマジョリティを提唱される市長の一連の行動が軽薄な自らのためのパフォーマンスにならないよう、世界中から誤解されないよう、明解な説明を聞きたい。
8. 広島市の挑戦的な地域戦力について市長はどのような考えをお持ちですか。
次に<基本構想・基本計画について>
9. 基本構想は一体何を言っているのか非常に分かりづらいが、市民の誰でもわかる平易な表現にしてもらえますか。
10. 余りにも平和、核廃絶一辺倒な印象があるが、平和の実現には生活や経済的な支えが必要で、もっと市民の暮らしや経済をしっかり補強してもらえますか。
11. パートナーとかモデル都市など外国語が多く理解ができない。
広島市の人口減少社会の対応で人口減少の流れをどう食いとめ、地域経済の成長戦略に結びつけるのですか。
12. なぜ広島市のダム効果が低いと考えられますか。
13. 人口予測の方法についてお聞きします。
14. 広島市の経済発展戦略と人材育成について。この地域の経済活性化は広島市の平和精神と両輪をなすものであるが、中味が薄いと思うがどうですか。
15. エコ戦略で広島市が一時取り組もうとして挫折している水素エネルギーの開発プロジェクトは現在どうなっているのか。中四国エリア内での内需循環型経済システムの推進はどうなっているのですか。
16. 海・島博覧会や2つの世界遺産を有する好条件を備えている広島が広域観光のリーダーシップを発揮してもらいたい。松山坊ちゃん劇場の「鶴姫伝説」は愛媛、広島の連携交流促進事業としてすばらしい企画だった。成長戦略としての観光政策などどのように考えているのですか。
17. ジャック・アタリ氏は企画創造開発に携わる人材育成、獲得、流入戦略を図れといっていますが、広島市の考えはどうですか。
18. 地域主権に対応した議会改革について
地域主権を旗印とする地方分権が推進されると期待します。これは二元代表性の一翼を担う議会側も主体性を持って取り組むべき課題だと思います。議会基本条例などは本年度中に決定されるべきと考えます。行政と政治が車の両輪となり、市民のための本物の政治をしなければ21世紀に生き残れない。
  ジャック・アタリ氏の愛他主義や鳩山総理の友愛精神について、市長の信条を含めた見解はどうですか。

<秋葉市長及び理事者側の答弁要約>
これに対して<秋葉市長>は、国際的な影響力を持ち、アメリカの方針を左右するオバマ大統領が4月にプラハで核兵器を使った唯一の国として核兵器のない世界を実現するために努力する道義的責任があることを明言しました。これは歴史上画期的な出来事です。私たち核兵器廃絶を目指す世界の多数派の決意の声をあらわす言葉としてオバマジョリティという言葉をつくりました。核兵器廃絶を求める世界の大多数の市民の合言葉としてさまざまな活動を通じて広島から世界に発信していきたい。2020年の核兵器廃絶の実現に向け努力していきたい、と答えました。

また、<企画総務局長>は、人間が生来持つ優しさや想像力がさまざまな場面で有効に発揮できるような社会経済システムの構築が必要です。新政権が掲げる政策転換を受けて、広島市にどのような影響があり、対応が必要か、動向を見きわめながら、適切に対応していきます。
第5次基本計画案では道州制に関して広島市は州都になるべき都市であることを明記しています。中四国地方の中枢都市としてさまざまな分野で交流、連携を推進するとしています。地域戦略としては、地球温暖化・エネルギー対策をこれまで以上に積極的に推進する。人口の減少や高齢化が進む地域においては豊かで魅力的な里ライフの創造を図る。子どもの未来の創造や、ICT先端都市の実現を掲げた。活力とにぎわいを生み出す都市づくりの推進や観光の振興など、千客万来の都市の実現を図る。基本構想は行政計画であり、なじみの薄い用語も使用せざるを得ないため、用語解説で補完。表現の修正を行うことは考えていません。広島市のダム効果は低いものではないと認識しています。
広島の中枢拠点性を高め、さまざまな都市機能を集積させ、都市の魅力を高めることも必要。高等教育機関の充実や産業を発展させて就労の機会を確保することも重要です、と答えました。

<市民局長>は、一貫して日本国政府に対し、非核武装の法制化や核兵器をつくらせず、持たせず、使わせないという新たな非核三原則の提唱を求め、国民的な議論で、核の傘に頼らない安全保障体制をつくり上げていく努力を続けるよう要望。APECジュニア会議は来年2月20日から24日までの5日間を予定しています、と回答。

<経済局長>は水素エネルギーの開発プロジェクトは今年は水素の製造、貯蔵、利用に関する基礎的な知識や技術を習得するための研修を実施。また、車に搭載して500キロメートル走行できる水素の貯蔵材料の研究開発に取り組んでいます。

<都市活性化局長>は、旧市民球場跡地利用について策定・公表している利用計画の具体化を進める必要がある。球場跡地を含む広島都心部については球場跡地を環境に優しい緑地空間として整備することにより、ヒートアイランド対策のモデル地区に選定された。また、平成25年、2013年に全国菓子大博覧会の広島誘致、開催に関する要望書が提出された。このような事情を踏まえ、速やかに事業を推進する必要があることから、具体化検討のための補正予算として計上しました。
球場跡地は緑豊かなオープンスペースを中心に、全体を環境に優しい緑地空間として整備します。中央部分の広場でにぎわいを創出したい。広場の周囲には劇場や休憩施設、折り鶴ホール等を整備する予定。折り鶴ホールは約200?の床面積で音楽などのアートを中心としたさまざまなイベントの実施や、折り鶴の展示などを通し、平和への思いや明るい未来を実感してもらう施設です。新たな人の流れが生まれ、都心部の回遊性の向上や都市としての魅力の向上に貢献するものと考えている。今後、イベントの支障とならないよう、位置や規模の見直しを柔軟に検討します。持続可能な市場経済を創出するため、ひろしまビジターズ・インダストリー戦略として、1.瀬戸内海の多島美や、歴史。文化等の観光資源を生かした事業に取り組みます。2.広島湾クルーズの利用を促進します。 3.国際的にも魅力のある観光ルートの形成を考えています。

<道路交通局長>は、広島西飛行場については、存続を望む市民の声もあることから、関係機関と引き続き協議をしていきたい。不定期チャーター便を含め、新たな路線の開設に今後とも努力します、と回答。

<市立大学事務局長>は、州立大学の創設については道州制への議論が深まり、それぞれの役割と責任を考える中で必要性が検討されることになります、と回答しました。

さらに、再質問として、1.菓子博と跡地利用について、本人に会って確認したのですか。
2.折り鶴施設について私は反対ですが、地元はどう言ってますか。このたびの予算措置はどうもおかしいと思う。JALの経営危機に伴う西飛行場の撤退問題は、存続運動をしっかりやって下さるのですか。3.政権交代を受けて、今までと同じような姿勢では困ります。単年度主義を見直して、財源を繰り越して複数年度予算にするとか。

<財政局長>は、今はどういった影響があるかは申し上げる状況にありません。

<都市活性化局長>は、中振連の望月理事長さんに協議窓口を商工会議所に任せ、一元化することになったことを確認しています。折り鶴は一部展示はありますが、それを通して平和への思いや明るい未来を実感してもらう施設です。折り鶴ホールの位置や規模の見直しについては柔軟に検討します、と答えました。

 市長他行政側の答弁は色々と問題もありますが、今後あらゆる議会活動を通じて「正論」を述べていきたいと思います。次回は平成20年度の決算委員会の状況を述べたいと思います。