「あの薬、飲んでも飲まなくても、あんまり変わらないみたいね」
メネシットの内服が始まって2ヶ月。
やっぱりそうだよね
“ドパミンが少ないのだから、不足しているぶんを薬でガンガンドバドバ、補充すればいいじゃん!”
そう思ってしまうけれど。
そう、貧血の人が鉄剤を内服するように。
しかしそう簡単にいかないのが、神経系の病気の難しいところ
菜々子先生の再診の時にも、母は自分で「薬が効いてるのか、効いていないのかわからない」と話していました。
そんな気持ちの母に、菜々子先生は、薬の量を増やしても、体がクネクネと勝手に動いてしまったり、起立性低血圧など、副作用が出てしまうリスクがあることを説明してくれました。
さじ加減が難しいですよね。採血しても数値として現れないので、経験と勘によるところもありますしね
いよいよ本題。
「実は気がかりがありまして、、、」
「前の先生が、パーキンソン病としての症状がはっきりしないから、レビー小体も視野に入れてというようなことをおっしゃっていて、、、」
母の表情に緊張の色が見えます。
「今のところは、幻覚幻視もありませんし、夜中にうなされたり、つじつまのあわない話もないですし、長谷川式(認知の程度をはかる簡単な口頭テスト)も、ほぼ満点なので、大丈夫なのかなぁと思うのですが、、、」
話している私も、なんか緊張してドキドキ
「でもレビーなのかという不安もあり、母の心の中がモヤモヤ、さざ波だっておりまして、、、」
患者さんやご家族に病名告知や予後などの話をすることには、よく同席していましたが、それは医療者としての立場。
いざ自分が家族の側に立つと、感じることや見えてくるものが違ってきます。
「スージーママ(実際はこんなチャラい言い方はしてなくて、仮名として使ってます)は、パーキンソン病だと考えます。診察の時は、いつもしっかりと話していらっしゃるし、総合的にみてパーキンソンでしょう」
というわけで【パーキンソン病】と確定診断がつきました。
母もホッとしたようです
私も少しホッとしました。
とはいえ母は78歳。いつ認知力が衰えてもおかしくはありません。パーキンソン病でも次第に認知力が低下してくることもあるでしょうし
90歳の父のことも気になります。
考えすぎもいけませんが、考えなさすぎも苦しくなりますよね。あー、あんばいが難しい
判断指標が検査などのデータや数値で表せない病気に診断がつけることって、本当に難しいですね。
特に高齢者は、単に加齢に伴う変化かもしれない。
“生活の中で困ること、気がかりになっていることは何か?”
そしてもしあるならば、それを解決するためには、どうしたらいいのかな?と考える
つい、何か病気かな?という目線を持ってしまうのですが、高齢者に対しては、この視点を持つことが、ポイントの一つかなと思ったのでした。
でもこんなきれいごと、口で言うのは簡単だけど、実際は難しい、、、ですよね
🍀ダラダラと12回にわたって書きつづってきましたが、おつきあいくださってありがとうございました。これからは、パーキンソン病をかかえての高齢母の日常生活について、時々、書きたいなと思います。よろしくお願いします。