葉脈という字面は気持ち悪い
葉がすこし大きくなっていて、つけねからとげみたいなものが出てきている。つるもほんの一ミリくらいだけれど伸びはじめていて、聞きしにまさる成長の早さだ。どこかの園芸サイトでは成長速度は育てる人間の愛情の量による、なんて書いてあったけど、いくら俗称があいの花だからって、それは眉唾というかこじつけでしかない気がする。
私があいの花の存在を知ったのはネットで見かけた一枚の写真がきっかけだった。もうそのサイトはなくなってしまったけれど、「宇宙からのおくりもの」という甘ったるいタイトルのついたそれは、緑の草原に一輪まっしろな花が咲いている情景を撮影したもので、いまにして思えばたぶん合成写真だったのだろうけれど、まるでなにかの目印のように茎がすっくりと伸びて花を支えているように見えた。かたちは芥子の花にすこし似ていて、お椀のように、たいせつなものを両手でつつみながら、それを掲げて日の光をあててやろうとでもするように、ふわりとひらいていた。そのときのイメージのせいでいまだにあいの花というと手のひらくらいの大きな花を連想してしまうのだけれど、実物はもちろん、とてもちいさい。植木鉢でかんたんに育てられるくらいに。
原産地では雑草あつかいらしいあいの花をはじめて墓地に植えたのはだれなのか、それとも種が風に飛ばされでもして墓場で芽吹いたのか、そのあたりのことはネットで検索してみても伝説めいたうそっぽい話ばかりがヒットするし、たぶんどうでもいいことなのだろう。とにかく何百年もまえの第二次大航海時代、まだ輸入植物の規制がそこまで厳しくなかったころにどこかの星から持ち帰られたきり、ほとんど顧みられもしなかった雑草を地球の土壌で育てようとしただれかがいて、それから何百年か経ってから、墓場に咲くあいの花がなぜかそこに眠っているひとによく似ていることに気づいただれかがいて、それを商売にすることを思いついただれかがいた。
似ているといってももちろん人のかたちをした花が咲くわけではないから、他人が見ればそれはただの花でしかない。そのひとを知っているひとだけが、花びらの開きぐあいやしろい花弁が光を受けてゆれるさまから、なぜかそのひとを思い出せる、ちいさなしろい花。どこが似ていると言えるわけではないのに、似ていることだけがわかる、そんな説明のつかない雑草を、いまではずいぶんたくさんの人が育てている。
「あいの花」というネーミングで売り出したのもよかったのだろう。これが「死人花」とか「面影花」とかだったらここまで受け入れられたかどうかあやしいものだと思う。どうやら寄生植物らしいことがわかっても人気が衰えるようすはない。そうして私もまんまとあいの花の生存戦略にひっかかったひとり、ということなのだろう。
バザーの件で浅川さんから電話、綿菓子の屋台に手伝いが足りないので出てほしいと言われてしまった。日曜日か‥‥きょうが木曜日だからあと三日。ま、たぶんだいじょうぶだろう。
私があいの花の存在を知ったのはネットで見かけた一枚の写真がきっかけだった。もうそのサイトはなくなってしまったけれど、「宇宙からのおくりもの」という甘ったるいタイトルのついたそれは、緑の草原に一輪まっしろな花が咲いている情景を撮影したもので、いまにして思えばたぶん合成写真だったのだろうけれど、まるでなにかの目印のように茎がすっくりと伸びて花を支えているように見えた。かたちは芥子の花にすこし似ていて、お椀のように、たいせつなものを両手でつつみながら、それを掲げて日の光をあててやろうとでもするように、ふわりとひらいていた。そのときのイメージのせいでいまだにあいの花というと手のひらくらいの大きな花を連想してしまうのだけれど、実物はもちろん、とてもちいさい。植木鉢でかんたんに育てられるくらいに。
原産地では雑草あつかいらしいあいの花をはじめて墓地に植えたのはだれなのか、それとも種が風に飛ばされでもして墓場で芽吹いたのか、そのあたりのことはネットで検索してみても伝説めいたうそっぽい話ばかりがヒットするし、たぶんどうでもいいことなのだろう。とにかく何百年もまえの第二次大航海時代、まだ輸入植物の規制がそこまで厳しくなかったころにどこかの星から持ち帰られたきり、ほとんど顧みられもしなかった雑草を地球の土壌で育てようとしただれかがいて、それから何百年か経ってから、墓場に咲くあいの花がなぜかそこに眠っているひとによく似ていることに気づいただれかがいて、それを商売にすることを思いついただれかがいた。
似ているといってももちろん人のかたちをした花が咲くわけではないから、他人が見ればそれはただの花でしかない。そのひとを知っているひとだけが、花びらの開きぐあいやしろい花弁が光を受けてゆれるさまから、なぜかそのひとを思い出せる、ちいさなしろい花。どこが似ていると言えるわけではないのに、似ていることだけがわかる、そんな説明のつかない雑草を、いまではずいぶんたくさんの人が育てている。
「あいの花」というネーミングで売り出したのもよかったのだろう。これが「死人花」とか「面影花」とかだったらここまで受け入れられたかどうかあやしいものだと思う。どうやら寄生植物らしいことがわかっても人気が衰えるようすはない。そうして私もまんまとあいの花の生存戦略にひっかかったひとり、ということなのだろう。
バザーの件で浅川さんから電話、綿菓子の屋台に手伝いが足りないので出てほしいと言われてしまった。日曜日か‥‥きょうが木曜日だからあと三日。ま、たぶんだいじょうぶだろう。