みなさま、こんにちは。

昨年4月に東京の病院から岡山の病院に復帰し、不定期に腎移植を希望する患者様からの相談を受けていました。

院内から2件、近隣の県から3件の相談をうけ、これまで計4件の生体腎移植並びに献腎移植を行うことができました。

岡山県内からの紹介だけだと小児は年1-2件程度であること、西日本で小さいお子さんや合併症を抱えてリスクの高いお子さんの腎移植を行う施設は少ないということで、中国四国や近畿・九州の一部の地域からのご紹介にも対応できるよう、今年の4月から週1日ですが、移植相談を受ける外来枠を設定しました(その後緊急事態宣言の発令などもあり、今のところご紹介ないのですが笑)。

普段腹膜透析管理いただいている小児腎臓科の先生方も、実際どのくらいの体格なら腎移植を受けられるのか、献腎移植の登録から移植まではどのような流れなのか、などなかなかイメージしづらいこともあるかと思います。

また、成人に関してはなるべく腎機能が保たれている(GFR:糸球体濾過量で言えば40くらい)時期から療法選択(透析にするか、移植を受けるかなど)のお話をするのが望ましいとされていますが、小児においても、GFR30くらいには透析を先行させるのか、腎移植を最初から希望するか、などのお話を受けられるのが理想かとは思います(赤ちゃんの時から透析せざるを得ない場合は別ですが)。

受けるまでに必要なことなど、複雑な話が多いので、当院では事前にご紹介いただいた場合に患者さんごとにパンフレットを作成し、パンフレットを用いた説明を行うようにしています。

透析中のお子様をお持ちの方や、そろそろ透析になりそうなお子様をお持ちのご家族でお話を聞いてみたい方は、担当の先生を通じてご紹介いただければと思います。

 

 

みなさま、こんにちは。

病気のある方で、今一番気になるのはやはりコロナウイルス感染症ではないでしょうか。

昨年から猛威を奮っているコロナウイルス感染症ですが、とうとう岡山県のような地方都市ですら緊急事態宣言を出さないといけない程度まで流行するようになりました。

ワクチンの普及もまだまだというところで、変異株の流行などなかなか治る気配がないまま今日に至っています。

肥満や高血圧など基礎疾患のある方はコロナウイルスの重症化リスクがある、と言われているように、腎臓病を基礎疾患に持つ場合も重症化や死亡率が高い、というデータが国立国際医療センター主導の国内データベースからも報告されています。

では、腎移植など臓器移植を受けている患者さんは重症化や死亡率はどうか、ということに関してははっきりとしたことが言えません。

アメリカの疾病コントロールセンター(CDC)からの報告でも、腎臓移植や肝臓移植など、固形臓器移植患者に関しては重症化や死亡率を高くする可能性があるが、はっきりしない(重度の腎臓病や透析患者はリスクが高いとはっきり示しているのに対し)、としています。

日本国内の移植患者さんのデータに関しては、日本移植学会がデータを集めており、一般の方も移植学会のホームページから見ることができます。

本年5月末の時点で感染者数は160名弱、亡くなられた方は8%弱なので一般の方と比べかかりやすいわけではないですが、感染すると死亡率は一般の方よりやや高い可能性はあります。

移植患者さんは免疫抑制剤を内服しているので、日頃から感染予防というのをしっかりされていることが感染者がそれほど多くない理由だとは思いますが、やはり感染には人一倍注意する必要があると思います。

初回の緊急事態宣言当時は全国的に臓器移植、特に心臓や肺など移植を行わないほうがリスクの高いものを除き、腎臓移植などはかなり控えられる傾向にありましたが、最近は少しずつ以前のように行われるようになってきています。

移植により免疫抑制剤を使用することによる重症化を恐れるか、腎臓病、透析状態でいることで重症化・死亡率が高くなることを問題とするか、これはどちらが良いか説明しにくいのでどうしても患者さんご自身でどちらを選択するか判断いただかないといけない、難しい問題です。

もっとも、お子様に関しては一般と同様腎臓病や移植といった条件でも重症化は少なく、死亡例も低年齢児はほぼないという意味で大人ほど心配しなくても良いようには思います(もちろん、感染対策は必須ですが)

この1年で膨大な数の論文も報告され、少し前に言われていたことと違うことが言われたり、ということもあるくらいですので、移植に関わる医療者として、日々情報をアップデートしていくことを心がけています。

みなさま、こんにちは。

腎代替療法の最後は腎臓移植に関してです。

腎臓移植は他の臓器移植の中でも歴史の古い治療法で、1950年代には最初の生体腎移植の報告がなされています。以後、70年の歴史の中で手術方法や治療薬(免疫抑制剤)の進歩があり、現在移植後10年生着率(移植した腎臓が10年後も機能している割合)が90%に届くところまで来ています。

腎臓移植の利点はなんと言ってもほぼ日常生活が支障なく行える、ということです。血液透析や腹膜透析などの透析治療の場合は、病院や家庭で透析、という作業を行わなければならないということがあります。当然旅行や社会生活にもある程度の支障が生じますが、腎移植を受けると、仕事や旅行も健康な人とほぼ変わらない生活を送ることができます。

腎臓の働きが悪いことで起こる問題も解消されることが多い(あえて多い、と書くのは高血圧や高脂血症などは結局薬の副作用などで必要になることもあります)ので、腎臓病の治療薬が減らせる/無くせる可能性があります。子供にとってはやはり成長(背が伸びたり、体重が増えたり)が期待できるということが大きいです。

もちろん、いいことばかりではありません。腎臓病の治療薬はなくせるかもしれませんが、その代わりに免疫抑制剤をほぼ一生内服する必要があります。免疫抑制剤は体の免疫機能(バイキンや異物を攻撃し、人体を守るための機能)をわざと低下させて、移植された腎臓を異物と認識しないようにする薬なので、内服しなければ移植された腎臓が免疫機能によって攻撃され、機能を失ってしまう(拒絶反応と言います)ことがあります。一生内服を続ける、というのは簡単なようで簡単ではありません。2-3種類の薬を飲み続けなければなりませんし、特に思春期には怠薬(たいやく)と言って、薬が大事だということがわかっていても飲むことを拒否してしまったり、ということも起こり得ます。

それから、移植、という医療は正常な働きをする臓器を提供する方(ドナー)が必要です。生体であれば日本の法律上は家族(詳しくはまた述べます)からのみ提供が可能ですし、脳死ドナーや心停止ドナーは欧米に比べ日本は圧倒的に少ない、という現状があります(これもまた述べます)

全ての腎代替療法には利点・欠点がありますので、患者様の生活環境、身体状況などを十分に考慮にいれ治療法を決定する必要があります。