みなさま、こんにちは。
小児腎移植に関する100の質問、その2です。なるべくわかりやすい説明を心がけますが、用語などわかりにくいことがあればコメントいただければ噛み砕いて説明させていただきたいと思います。
Q11.脳死下の献腎移植と心停止下の献腎移植の違いは?
→A11.脳死下の提供の場合、2回目の脳死判定を持って法律上死となります。その時点で予定を立てて摘出となるので、連絡が来てから1−2日以内に提供に至ることがほとんどです。心停止は一般に皆様が考える死の3徴(呼吸停止・心停止・脳機能停止)をもって死となるので、ご家族が提供の承諾をしてから提供まで数日〜数週間かかる、ということもあります。
Q12.受診から腎移植を受けるまでの流れは?
→A12. かかりつけの先生からご紹介いただき、初診で移植に関する説明を行ったのち、移植を希望された場合まず行うのがHLA検査とクロスマッチ検査(生体腎移植の場合)です。HLAというのはご両親から一つずつ受け継ぐ名札のようなもので、移植免疫上4種類の項目をチェックします。それから、生体腎移植の場合、ドナーを決めたらドナーとのクロスマッチ検査を行います。ドナーのHLA(や他の抗原)に対する抗体をもっているとクロスマッチ陽性となり、移植時に拒絶反応のリスクが高いということになりますので、ドナーの変更などを考慮する必要があります。クロスマッチ検査までクリアするとドナー、レシピエントそれぞれの検査入院スケジュールを組みます。ドナーは4-5日(多くは1週間以内)、レシピエントは2週間程度検査入院を組んで、様々な検査を行います。ドナー・レシピエントとも検査の結果移植に支障ないと判断すると、具体的に移植のスケジュールを立てる、ということになります。献腎移植登録の際も原則は検査入院を組むようにしています。
Q13.移植前に必要な検査ってどんなのがあるの?
→A13.HLA検査、クロスマッチ検査の他に、レシピエントでは感染症のチェック、CTによる腹部内の評価(血管の太さ、解剖学的な位置など)、心電図や心エコーなど手術に耐えうるかの検査、膀胱造影検査(膀胱の大きさや自分の腎臓への逆流の有無などのチェック)などを行います。ドナーは感染症検査のほかにCT検査(左右の腎臓の大きさ、腎血管の長さ、数などの評価)、心電図や心エコーなど、アイソトープ検査(腎臓の働きの左右差を評価)などを行います。そのほかに必要と考える検査も適宜行います。
Q14.クロスマッチ検査とは?
→A14. ドナーとレシピエントの血液を混ぜ合わせて反応を見る検査です。ドナーのHLAに対する抗体がある場合、が主ですが、ドナー血液の中の血球にレシピエント血液の中にある抗体が反応すると凝集を起こします。この反応が起こる(陽性)ということは移植した際、移植腎に抗体が反応し拒絶反応を起こす原因になりますので、ドナーとして(絶対になれないとは言いきりませんが)適応が難しい、ということになります。
Q15.ドナーの検査・入院費用ってどうなるの?
→A15. ドナーは本来健康な方で、検査や手術を受ける必要がないため一連の検査・手術・入院費用は保険診療外(自費診療扱い)となります。ただ、提供いただく上に全額自己負担というわけにもいかないので、この費用はレシピエントの移植に関する検査・治療費と合わせて保険請求されます。ただ、レシピエントが高額な費用負担をするわけではなく、現実的には自立支援医療や小児慢性特定疾患の補助になります。ドナーの方の自己負担分は現実的には入院中の食事代などになるかと思います(有料個室を使う場合は自己負担となります)。
Q16.献腎移植の登録手続きって、どうすればいいの?
→A16. 献腎登録を希望された場合、外来でHLA検査を行います。それから、移植コーディネーターの方から登録に際する話(初回登録料が30000円、1年に1回の更新費用が5000円など費用の話など)を聞いていただいた上で、登録病院から登録用紙を臓器移植ネットワークに郵送、臓器移植ネットワークから登録者の自宅に振り込み用紙が届くので、振り込みをいただくと待機が始まります。
Q17.献腎移植って、何年くらい待機するものなの?
→A17. 腎臓移植の待機者は他臓器移植の待機者と比べて数が多いので、平均待機期間は約15年となっています。ただし、小児に限っては、優先ポイントという精度があり2016年の頃は約3年半くらいでした。2016年に小児ドナーからの小児優先提供の制度改定がなされ、その結果小児ドナーも増えたため2018年は16歳未満の平均待機日数は1年半くらいにまで短縮しています。
Q18.小児優先提供ってどんな制度?
→A18. 1997年に臓器移植法が成立してしばらくののち、小児腎臓病患者においては、成長の面や血液透析が難しいなど、様々な点において、成人より移植を優先されるべき、ということで、2001年にレシピエント選択基準の改定がなされ、小児の待機者は登録時に16ポイントが与えられることとなりました(待機1年ごとに1ポイント加算されるので、成人で16年待機した状態と同等、ということです)。さらに、2016年に20歳未満小児ドナーからの提供に関しては20歳未満の待機者が優先される、という小児優先提供の改定がなされました。それまでは小児ドナーであっても待機年数の長い高齢者に提供される、ということに関し、提供されたご家族の心情なども踏まえ改正されるに至りました。
Q19.移植前に透析をしている場合、移植後どのくらいで透析しなくて良くなるの?
→A19.生体腎移植の場合、腎臓の阻血(血が流れない)時間が短いため、移植後比較的すぐに腎機能が回復し尿が出ることが多く、術後に透析を必要としないことも多々あります。献腎移植の場合、阻血時間が長いことが多く、移植後数日〜場合により数週間腎機能が回復しないこともありますので、その場合は移植後もしばらく透析を必要とすることがあります。
Q20.献腎移植の提供者のご遺族に直接お会いしてお礼を述べることは可能?
→A20. プライバシー保護の観点などから、提供者のご家族と移植を受けた方が直接お会いしたり、名前や住所を知ることもできません。ただ、移植によって元気になれたことなど感謝の気持ちをサンクスレターという形でお渡しすることができます。臓器移植ネットワークを通じ、個人情報が伝わらないよう配慮される形で受け渡しがなされます。
