Q41. 食べ物で気をつけないといけないものってあるの?

→A41. 免疫抑制剤と相性の悪いグレープフルーツ類(フラノクマリン含有物)以外は基本的には問題ありません。ただ、食中毒の危険などを考慮して、生物(刺身、寿司など)は免疫抑制剤の量が少し減量されてくる一年くらいは控えた方が良いかな、と説明しています。また、最近流行のジビエ料理(シカ、猪など)はE型肝炎というウイルスが近年問題になってきているので、十分加熱して食べることをお勧めします。

 

Q42. 海外旅行には行けるの?

→A42. 国内、海外含め基本的には自由に旅行できます。ただ、これも移植後一年くらいは控えていただいて、きちんと継続的に内服する習慣を整えてから旅行して欲しい、と説明しています(旅行先ではどうしても楽しくて内服忘れしたりしやすいので)。後、海外に関しては、トラブル時に対応できるよう、英語の診断書などを持っていくことをお勧めします(かかりつけの医師に相談いただくと良いかと思います)。

 

Q43. 温泉に入っても大丈夫?

→A43. これもよく質問されます(笑)。構いませんが、旅行と同じ感覚ですね。一年程度経過してから、をお勧めしています。それから、循環式の温泉はレジオネラという細菌が繁殖することも多く、可能であれば掛け流しの温泉が望ましいかと考えます。

 

Q34. 海に入っても大丈夫?

→A44. これも1シーズンは様子を見て、次のシーズンからで、と説明しています。ただ、上の質問含め、一年控えてくれ、はなんの根拠もありません(笑)施設によっては全然気にしていないところもあるかもしれませんし、無視して怒られるものでもありません。ただ、海水浴を楽しんだあとはきちんとシャワーなどで洗って清潔にしていただくこと、ステロイドを内服していると日焼けが悪化しやすいので日焼けどめなどきちんとすることをお勧めします。

 

Q45. 移植すると性格って変わる?

→A45. 結構聞かれたりする質問です。ドナーさんの性格が移るのでは?などと言われますが、全く根拠はありません(笑)。強いて言えば、腎臓病の時は体がしんどくて元気がでないところが移植して腎臓の働きが良くなると元気になる、ということはあるかと思います。

 

Q46. 将来こどもが欲しいと思った時、できるの?

→A46. 抗がん剤治療などと異なり、基本的には免疫抑制剤を内服していて子供ができない、ということはありません。ただ、代謝拮抗薬と呼ばれる薬は妊娠前後に内服していると赤ちゃんに奇形が生じる恐れがあります。そのため、移植患者さん(特に女性)は計画的に妊娠するよう注意していただき、妊娠を計画された時点でアザチオプリンという代謝拮抗薬に変更します(アザチオプリンが代謝拮抗薬の中で唯一胎児への影響がないとされています)。

 

Q47. ドナーになってからもこどもってできるの?

→A47. これも、大丈夫です。実際にドナーさんとして腎提供されてからご出産されている方はたくさんいらっしゃいます。ドナーさんも一つ腎臓を提供してからも通常の日常生活を送ることができる、これが大前提の治療法です。

 

Q48. iPS細胞で腎臓って作れるの?

→A48. 腎臓の主要な機能となる組織は作ることが可能となっています。ただ、そこからできた尿を運ぶ尿管構造などがまだできておらず、腎臓という一連の働きを持った臓器を作るまでには至っていません。iPS細胞で腎臓そのものを作成することが可能となれば、いつかドナーさんが不要となる時代が来るかもしれません。そうなることを本当に望みます。

 

Q49. 移植って何回でも受けられるの?

→A49. 何回でも受けられます。ただ、免疫学上の危険度(拒絶反応の起こしやすさ)や、つなぐ血管の選択肢など、どんどん困難にはなります。なるべく1回の移植で長期間機能してくれるよう医療者も患者様もやれるべきことをやるしかないです。

 

Q50. 移植と透析って、どっちがいいの?

→A50. これが腎代替療法の悩ましいところですね。子供に関しては、成長・日常生活への影響、血液透析が困難であることなどからも移植ができることが一番望ましいと思いますが、ドナーをどうするか、など悩みがあると思います。生活のスタイルなども関係がありますので、どの治療法が現在の生活スタイルにおいて一番無理がないか、ということを考えながら選択するしかないのかな、と思います。

 

現時点ではこれ以上考えることができません(笑)。

みなさま、こんにちは。

小児腎移植に関する100の質問、その4です。

 

Q31. 移植後の入院期間ってどのくらい?

→A31. 施設によって差があるとは思いますが、当院では生体腎移植で順調な経過をとっても1ヶ月くらい、献腎移植などで機能が戻るまで少し時間がかかる場合などは6-8週くらいかかると考えておいた方が良いと思います。免疫抑制剤の内服量の調節に時間がかかったりします。

 

Q32. 移植後すぐに学校や仕事など普通の生活に戻れるの?

→A32. 基本的に日常生活に戻って支障のないよう免疫抑制剤を調節して退院しますのですぐの復職、復学は問題ありません。日常生活になるべく速やかに復帰できるよう、入院中にリハビリ介入などもお願いするようにしています。

 

Q33. 体育はしばらく休んだ方が良いの?

→A33. 移植によって腎臓病から解放されると、元気も出やすく運動はぜひしていただきたいと考えます。ただ、腎臓の位置が下腹部の前よりにありますので、鉄棒や打撲しやすいスポーツ(ボクシング、空手、柔道などの格闘技)は控えていただくことが望ましいです(剣道は防具があるので大丈夫だと考えています)。何より重要なのは運動時の水分摂取です。脱水は移植腎の敵です。

 

Q34. 水分ってどのくらい摂るべきなの?

→A34. 幼児では1日800-1000ml、学童前半で1000-1500ml、学童後半から成人では1500-2000ml程度摂取すべきと考えます。ペットボトルで換算すると意外と大変かと思います。ただし、脱水でも移植腎がダメになってしまうケースもありますし、特に夏場は汗で水分を失われやすいのでより目標を高く摂取していただくことが望ましいです。

 

Q35. 夜、おねしょが治らないのですが・・・

→A35. これも学童期の移植患者さんのご家族からよく相談されます。どうしても学校で引水が進まず、帰宅後から寝るまでに目標の飲水量まで頑張って飲むため寝る直前の飲水量が多くなってしまい、その結果就寝中に尿がたくさんできてしまう、ということがあります。なるべく寝る2時間くらい前までに目標の飲水を終わらせられることが望ましいのですが、なかなかうまくいかないこともあるので、少し長い目でみていただくことが良いと説明しています(成長すると夜中覚醒できるようになったりもします)。

 

Q36. 風邪をひいたらどうすれば良いですか?

→A36. 鼻水や咳など、軽い風邪の症状であればかかりつけのお医者さんなどで通常の感冒薬を出してもらうことで良いと思います。熱が出るほどの風邪症状の時は、強めのウイルス感染で、免疫抑制剤により治りが悪いこともあるので少し免疫抑制剤を調節することもあります。ご不安な際は移植医にご相談いただくのが良いと思います。

 

Q37. 熱さましって使って大丈夫?

→A37. 小児患者によく処方される、アセトアミノフェンという解熱鎮痛薬であれば腎臓に負担は少ないので使用しても問題ありません。

 

Q38. 予防接種って受けられますか?

→A38. 低年齢で移植した場合、その後の年齢である定期接種をどうしたら良いか、という質問もあります。基本的に生ワクチン(水ぼうそう、はしか、風疹、おたふく)は免疫抑制剤内服中は接種禁忌(絶対ダメ、ということです)なので移植前に接種完了いただくことを勧めています。それ以外のワクチンは不活化ワクチンと呼ばれるもので、毒性そのものはないので接種は問題ありませんが、免疫抑制剤内服中は抗体ができにくいと言われています。毎年のインフルエンザは接種を勧めております。それ以外のワクチンは移植後の期間などを踏まえ相談になるかと思います(各施設での判断になるかと思います)。

 

Q39. コロナワクチンは接種した方がいいの?

→A39. 現在対象年齢が12歳以上に引き下げられており、接種をどうするか、も悩みの種かと思います。移植学会のスタンスとしては、接種に伴うリスクより罹患(かかった)した場合のリスクを考慮し接種するのが望ましいとしています。昨年流行初期は小児はかかりにくいということが言われていましたが、変異株がどんどん出現し、状況が変わっていますので、私個人としても接種を基本的にはお勧めしています。

 

Q40. 学校で感染症が流行している場合、どうしたら良いの?

→A40. 流行している感染症の種類によるかと思います。麻疹(はしか)や水ぼうそう(水痘)は免疫抑制剤を内服している患者さんがかかると重症になることがあります。ワクチンなどで抗体を持っている場合は心配ないとは思いますが、クラスで流行している場合などは用心して治るまで欠席することもありかと思います。水ぼうそうに関しては抗ウイルス薬があるので、予防的に内服するという方法もあるので、担当の先生にご相談いただくのが良いかと思います。

 

何とか40までたどり着きました(笑)

50までやったら一旦休憩しようと思います(笑)。

みなさま、こんにちは。

小児腎移植に関する100の質問、その3です。もはや思いつくことができなくなってきましたが、なんとか50くらいはやりたいなと思います。

 

Q21. 献腎移植が当たった時、用事があったら断っても大丈夫?

→A21. 断っても大丈夫です。体調が悪い場合も辞退しなければなりませんし、学校行事など、どうしても外せない予定がある場合は辞退して何ら問題ありません。よく気にされるのが、断ると次回以降順番が後に回されるのでは、と心配されるご家族もいらっしゃいますが、提供の話があるたびに毎回候補者の選定を基準に基づき行いますので、以前断った人は順位が後ろになる、とかいうシステムではありません。

 

Q22. 腎臓移植ってどんな手術なの?

→A22. 腎臓移植では、通常の腎臓の位置(腰のあたり)ではなく、骨盤の中に腎臓を収めるようなイメージです。したがって、学童〜成人は足の血管(腸骨動脈)に移植腎動脈をつなぎます。小さい子供の場合、足の血管からの血液の流れでは移植腎を十分働かせることができないので、体の中で一番太い血管(大動脈)に移植腎動脈をつなぎます。腎静脈も同様に足から帰ってくる静脈(小さい子供では下大静脈という一番太い静脈)につなぎます。移植尿管は膀胱とつなぎます。

 

Q23. 自分の腎臓ってどうなるの?

→A23. 移植腎は自分の腎臓とは別の場所に収まるので、基本的に移植の際自分の腎臓を取ることは不要です。ただし、体格の小さな子供でお腹のスペースが小さい場合には移植する側(多くは右側です)の腎臓を摘出したり、膀胱から自分の腎臓に向かって逆流(膀胱尿管逆流)する場合は移植後の感染リスクを踏まえ摘出する、ということもあります。

 

Q24. 手術の合併症ってどんなものがあるの?

→A24. 腎臓移植の重要な部分はやはり血管(動脈・静脈)吻合(つなぐこと)、それから尿管膀胱吻合です。したがって、血管吻合の合併症、尿管吻合の合併症に注意が必要、となります。血管吻合の合併症には吻合部狭窄、と言って、人工的につないでいる移植腎動脈と体の動脈のつなぎ目が狭くなることです。吻合部狭窄になると、腎臓に十分な血液が流れ込むことができず腎機能が悪くなったり、腎臓に入る血液が少ないことを腎臓が感知して、血圧をあげるホルモンを出すことにより病的な高血圧になったり(腎血管性高血圧、といいます)します。また、腎静脈のつなぎ目が狭くなったりすると、静脈で血液が鬱滞(うったい、滞ることです)し、腎臓の中に血栓ができて腎臓がダメになってしまうこともあります。尿管の合併症としては、吻合不全と言ってつなぎ目がうまく接着せずに尿が漏れてしまったり、吻合部狭窄が起きて、尿が腎臓から膀胱に流れることができず腎臓の働きが悪くなったりします。いずれも数%程度の頻度で起こる合併症のため、注意しながら手術を行っています。

 

Q25. 手術の時間ってどのくらいかかるの?

→A25. 麻酔も含めドナーが4-5時間、レシピエントが7-8時間くらいです。ドナーさんが先に手術を初めて、腎臓が摘出できるくらいのタイミングに合わせてレシピエントの移植腎を収めるスペースを作成できるように調節します。

 

Q26. 拒絶反応って移植してどのくらいで起こるの?

→A26. 拒絶反応は起こる時期によって4つに分類されます。移植後24時間以内に起こる拒絶反応を超急性拒絶反応と言い、多くは数分から数時間内に起こります。これが起こるとほぼ100%移植腎はダメになってしまいますが、幸い現在は移植前の検査の進歩、移植前から投与する免疫抑制療法の進歩により、ほとんど見ることはなくなっています。移植後24時間以降1週間以内に起こる拒絶反応を促進型急性拒絶反応と言います。これも近年ほとんど見ることはなくなっています。移植後1週間から多くは3ヶ月以内(3ヶ月以降に生じることもあります)に起こる拒絶反応を急性拒絶反応と言います。それ以降に腎機能障害や蛋白尿によって生じる拒絶反応を慢性拒絶反応と言います。

 

Q27. 拒絶反応ってどんな症状が出るの?

→A27. 急性拒絶反応が起きると、クレアチニンの上昇、移植腎の腫大(大きく腫れること)、移植腎の圧痛、発熱などを呈します。クレアチニンの上昇や発熱があった際には腎臓を触診し、腫れや圧痛がないかをチェックします。近年、こうした臨床症状を伴う拒絶反応の頻度は本当に少なくなり、代わりに症状は全くないけれど、定期的に検査目的で行う生検によって見つかる拒絶反応が主体となっています。

 

Q28. 免疫抑制剤ってどんな種類のものがあるの?

→A28. 手術前、術中・術後などに使用する注射製剤のものと、内服薬があります。移植後自宅で継続いただく内服薬は主に3-4種類です。代表的な免疫抑制剤は、カルシニューリン阻害剤(プログラフ、ネオーラル)、代謝拮抗薬(セルセプト、ブレディニン、イムラン)、ステロイド(メドロール、プレドニン)です。

 

Q29. 免疫抑制剤で注意することって、何?

→A29. やはり免疫力を意図的に落とす、という点において、感染症に注意が必要です。特に代謝拮抗薬のセルセプトはウイルス感染に弱くなります。今はコロナ時代でマスク、手洗いと行った感染予防はほぼ日常化していますが、移植患者さんは特に留意が必要です。ちなみに、移植患者はコロナウイルス感染しやすいかというと感染予防をきちんと行っていればそれほどでもないと考えます。移植学会のHPに日本の移植患者のコロナウイルス感染状況がアップされております(一般の方も閲覧可能です)ので、気になる方はご参考いただければと思います。

感染の他に注意するのは飲み忘れ、です。1回、2回の内服忘れがすぐに拒絶反応を起こすわけではありませんが、ま、いいか、という気持ちでいると忘れることが常態化し、怠薬(薬を怠ける、と書きますがたいやくと読みます)という状態になると慢性拒絶反応の危険が高くなります。怠薬を起こしやすいのが思春期です(多感な時期ですからね)。実際、思春期世代の移植患者の移植腎機能廃絶が高いというデータもあるので、うまく思春期を乗り越える必要があります。

 

Q30. 免疫抑制剤っていつまで飲まないといけないの?

→A30. 移植臓器によって様々なようですが、腎移植に関しては、少なくとも移植した腎臓が機能している限りは一生内服を継続する必要があります。もちろん、少しずつ薬の量は減りますし、場合により種類も減ることがあります。提供いただいた腎臓を守るためにも、頑張って継続していただくことが必要です。

 

まだ、30ですねえ。

頑張ります(笑)。