文化の海をのろのろと進む

文化の海をのろのろと進む

本、映画、演劇、美術、音楽など、ジャンルを越えて扱う雑食文化系ブログです。更新はマイペースです。雑誌を読む様な気持ちで楽しんで頂ければ幸いです。

ご訪問ありがとうございます。

 

うしずのです。

 

私この間、安部公房先生の「燃えつきた地図」を再読しました。

 




去年、初めて読んだのですが、その時の感想は「面白かったけど何が面白かったのか分からない」でした。

自分が何を面白いと思ったのかを知りたくて最近になって再読しました。結果、今回も面白かったのですが、何が面白いのかはよく分かりませんでした。

それどころか、この小説は何を言わんとしているのかも分かりませんでした。

ドナルド・キーン先生が解説を書かれていて、読んだら何が面白かったのか分かるだろうかと思って読んでみました。

しかし、なるほど勉強になったとは思うもののキーン先生が書かれている、この小説の魅力と自分が面白いと思ったものが同じかどうか分かりませんでした。

この小説は「分かる」ための小説では無いのかも知れません。「問い続ける」ための小説なのかも知れません。または読者に何かをさせるために書かれた訳ではなく、言葉で形作られた一つの世界として、ただ在るだけの小説なのかも知れません。

少しだけ分かったかも知れない事もあります。一度目に読んだ時も思い、再読で思いを深くしたのが「小説って、こんなに自由でいいんだ」という事です。小説とはこういうものだという固定概念を壊して、新しい言語表現を創造するのが純文学の一つの役割なのかも知れません。

分からない事だらけだけど、とても惹かれる小説でした。たぶん間をおいて、また読みます。

 

 

 

 

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。