立岡は、何か小西に自分の心を見透かされているような気がしていた。
「やっぱり、そうだったのですね。ほら、顔色が変わったもの、僕の思った通りだ。」
  小西は幼い頃から直感力には優れていたが、しかし人の心を見透かせる様になったのは最近の事だが、すぐに自分の心を見透かされて、詠まれてしまう立岡の方も異常と言えば異常かも知れない。
「杉田は今、何処にいるのですか。教えて下さい、お願いしますよ」
「しつこい奴やなぁ、そんなに卓の居場所が知りたいのんか。卓の居場所を知らなけりゃ死んでしまうとでも言うのんか」と、立岡は半ばヤケになって小西に言った。
  確かに小西が疑うほど、おぼろげではあるが、立岡は卓の居場所を知っていた。
「僕は、貴方を信じていますし、杉田も殺人事件をやれる様な男だとは思っていません。ただ、刑事としては業務上、やはり仕方なく捜査をしなければいけないんです。だから、自分が間違っていると思ったことでも調べなきゃいけない。たとえ結果的に過剰捜査であっても警察としては、やはり容疑者の逮捕に全力を尽くす事が一番大切ですから・・・」「ホンマですか?  ホンマにあんたは卓の事を信じてくれるんやな、信じてくれるのやったら卓の居場所を教えてやろう。俺もはっきりした事は知らんが、さっきの電話の様子では卓と藤本ひろみという女は、どうも広島におるらしいな」
  立岡は、ついに卓との約束を破り、小西に卓の居場所を教えてしまったのである。
「広島?やっぱり僕の思った通りだ。それじゃー、明日の朝一番で広島に行って来ます。僕も広島あたりに隠れているんじゃないかと思っていたんですよ。本当にご協力有難う
ございます、それじゃ、よばれ立ちで悪いですが失礼します。」