天下二分の意味 | 「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

潜在意識の働きで、あなたは「スーパーなあなた」になるのです。そのための素材・方法も実はあなたの手元にすでに多くあります。ここでは、あなたがそれを見出し、活用するお手伝いをいたします。胎児(あなた)は、胎児(あなた)の夢により進化します。

懐中温泉です、

 

歴史シミュレーションその40 

 

 

光佐は、短く言った。

 

「信長が寺を焼き、門徒を散らし、
 

本尊を壊すなら、そのたびに、
 

『それが新しき秩序の形か』と問う。

 

 上杉殿が仏法・正法を掲げるなら、
 

『その義が人の心に届いておるか』

と問う。

 

 毛利殿が寺と民を守るなら、
 

『守ることが他の地を傷つけては

おらぬか』と問う。

 

 その問いを続けることこそが、
 

石山本願寺の務めだ」

 

灯火がまた揺れた。

 

「信」が見る天下の線

 

石山の高みから見下ろす摂津の町には、


人々の日暮らしが続いている。

 

市には米や塩、布や仏具が並び、


寺の門前には子どもの声が響く。

 

「天下二分、と人は言う。

 

 しかし、この町の者にとって、
 

天下とは『今日米があるか』

『明日家が焼けぬか』ということでもある」

 

光佐は、門前を眺めながら、

静かに呟いた。

 

「信長が天下を握ろうとし、
 

上杉が天下を割ろうとし、
 

毛利が天下の一角を守ろうとしている。

 

 その線の上に、
 

石山とこの町がある」

 

灯火の光は弱い。


しかし、
この弱い光がある限り、


暗闇は完全には訪れない。

 

「いずれ、
 信長の火も、
 上杉の旗も、
 

毛利の守りも、どこかで形を変える。

 

 その時にも、『仏に向かう場』だけは

残さねばならぬ」

 

九頭竜川後の政治戦の中で、


本願寺は「天下を奪うための勢力」

ではなく、「天下を問い続ける勢力」

として立ち続けていた。

 

第二十二話 境界の線

 

九頭竜川の後、天下はただ「二つに

割れた」のではなかった。


割れ目のかたちは、思いのほか複雑

である。

 

北には上杉謙信。

 


越後を芯に、北陸を帯とし、関東を翼と

して広げている。

 


南には織田信長。

 


畿内を芯に、東海を背骨とし、京を

押さえている。

 

そして、その間に――甲斐・信濃・若狭・

越前・近江・美濃・伊勢といった、


どちらへも動きうる「境目の国々」が

横たわっていた。

 

境界は、線ではなく帯である

 

上杉の陣では、謙信が地図の前に

立っていた。


越後から関東へ向かう道。


北陸から越前へ下る道。


甲斐・信濃へ連なる山の道。

 

「天下二分とは、
 北と南を一本の線で断つことではない」

 

謙信は、指先で地図の上をなぞる。

 

「帯である。

 


 いくつもの国が、
 

上杉と織田の間で揺れ、
 

その揺れをどちらが整えるかで、
 

境が決まる」

 

家臣の一人が問う。

 

「では、境界はどこに引かれるべきと

お考えにございますか」

 

謙信は少し考え、答えた。

 

「北陸――越後・越中・能登・加賀・越前

までは、すでに上杉の“国”として整えねば

ならぬ。

 

 関東――沼田・厩橋・鉢形・松山を核として、
 

里見・佐竹・宇都宮・結城を含む地

もまた、上杉の“覇道”として通さねば

ならぬ。

 

 その先、甲斐・信濃は、
 武田との連携によって、
 

上杉寄りの帯に入る。

 

 それより南の甲斐の山を越えた先から、
 

ようやく織田の強い線が始まる」

 

「つまり、
 越前・若狭・近江の一部が、
 

もっとも揺れる境目にございますか」

 

「そうだ」

 

謙信は頷いた。

 

「越前は、九頭竜川の記憶を持つ。

 


 若狭は、京へ向かう海と陸の入口。


 近江は、安土を抱えた織田の芯で

ありながら、東西の道が必ず通る

結び目。

 

 この三つの地こそ、
 天下二分の『真の境界帯』

である」

 

 

ご精読ありがとうございました。

 

懐中温泉