北の軍神 | 「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

潜在意識の働きで、あなたは「スーパーなあなた」になるのです。そのための素材・方法も実はあなたの手元にすでに多くあります。ここでは、あなたがそれを見出し、活用するお手伝いをいたします。胎児(あなた)は、胎児(あなた)の夢により進化します。

懐中温泉です、

 

歴史シミュレーションその37

 

 

隆景は、一枚の紙を取り出した。

 

「誓約を文にする。

 

 一、
 上杉・毛利・本願寺は、
 

信長に対する戦において、
 

互いに勝手な講和を結ばぬこと。

 

 二、
 いずれか一方が信長の大軍に

攻められたときには、他の二者は、

その背後から信長の領内に圧力を

加えること。

 

 三、
 戦の後、仏法・正法を中心とする

秩序を再び立てる際には、将軍家

(足利)をその座に置くこと。

 

 この三つを、
 三方の名前において認め合う」

 

謙信は、紙に目を通し、頷いた。

 

「一つ目は、
 

『信長に順々に切り崩されぬため』

の誓い。

 

 二つ目は、
 

『誰か一人が燃え尽きぬため』の誓い。

 

 三つ目は、
 

『戦が終わったあとに何を立てる

べきか』を忘れぬための誓い。

 

 いずれも、
 

今の天下に必要なものにございます」

 

本願寺の僧も、静かに頷いた。

 

「この誓約は、火と水の誓いと呼ぶべき

かもしれませぬ。

 

 火――信長の焼き討ちと、
 

我らの戦の炎。

 

 水――瀬戸内と北陸の水、
 

九頭竜川と大坂の川、
 

それらが流れを変え、
 

天下の形を洗い直す。

 

 その火と水の間に、
 

仏法・正法という『流れ』を保つことが、
 

我らの務めにございます」

 

三者は、順に紙へ名を記した。

 

上杉謙信

毛利輝元(隆景代理)

本願寺光佐(こうさ)

 

その三つの名が並んだ瞬間、


「反信長同盟」は、
ただの噂や理念ではなく、


具体的な約束として息を吹き込まれた。

 

それぞれの戦場へ

 

誓約が交わされたあと、


三者は、それぞれの戦場へ戻る準備を

始めた。

 

謙信は北陸と関東へ。


毛利は中国と山陽・山陰へ。


本願寺は摂津・石山へ。

 

「同じ敵を見ていながら、
 

戦う場はそれぞれ違う」

 

港を離れる船の上で、謙信はそう思った。

 

「だが、
 戦いの後に何を立てるべきか―

その一点だけは、
 

皆、今ここで同じものを見ている」

 

第十九話 中国の空から見た謙信

 

瀬戸内の海には、夏の光が濃く

落ちていた。


島々の影が水面に揺れ、帆を張った

船がゆっくりと行き交う。

 

その海を見下ろす山の上に、一つの陣

が敷かれていた。

 

毛利の旗。


そして、少し離れて、上杉の旗。

 

上杉謙信の姿はそこにはない。

 


しかし、謙信の旗は、ここ中国の戦場

にまで届いていた。

 

隆景の眼に映る「北の軍神」

 

小早川隆景は、陣の端に立ち、南と北

とを眺めていた。

 

南には瀬戸内の海。


北には中国山地の稜線。

 

「北陸にて上杉殿が信長を押し返す、か」

 

隆景はつぶやいた。

 

瀬戸内を渡る風が、北陸の話を

運んでくる。

 


九頭竜川にて上杉が織田を押し返し、


越前を足場として北陸支配を固め

つつあること。

 

「我らは、中国にて信長を押し返さん

としておる。

 


 しかし、北陸と中国の戦が、
 

ただ別々の火事として燃えておる

だけでは、信長の大軍には追いつかぬ」

 

隆景の目には、


「戦線のつながり」というものがはっきりと

見えていた。

 

「上杉殿は、
 

九頭竜川で『信長を一度退かせた』と聞く。

 

 それは、毛利にとって何を意味するか」

隆景は、自らに問いかけるように呟いた。

 

「一つ。
 

信長が北陸に兵を貼り付けざるを得なくなる。

 

 二つ。
 

畿内の兵を中国と摂津に割く余裕が減る。

 

 三つ。
 

天下の噂が、『信長無敗』から『信長一度

退く』へと変わる。

 

 この三つが、中国の空にも影を落としておる」

 

 

ご精読ありがとうございました。

 

懐中温泉