覇道を歩く者たち | 「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

潜在意識の働きで、あなたは「スーパーなあなた」になるのです。そのための素材・方法も実はあなたの手元にすでに多くあります。ここでは、あなたがそれを見出し、活用するお手伝いをいたします。胎児(あなた)は、胎児(あなた)の夢により進化します。

懐中温泉です、

 

歴史シミュレーションその30

 

 

厩橋・鉢形・松山の「役割」

 

次に、謙信は厩橋城へ向かった。

 

利根川のほとりにある厩橋は、


関東平野へ出ていく門である。

 

「厩橋は、関東支配の“扉”だ」

城主に向けて、謙信はそう告げた。

 

「ここを通るものは、
 

上杉からの書状、兵糧、兵、人々の噂

――
 すべてである。

 

 ゆえに、
 厩橋には、『書状を扱う役』と

『兵を扱う役』

を分けて置く必要がある」

 

謙信は、二人の名を挙げた。

 

一人には「文」の役。
一人には「兵」の役。

 

「文の役には、
 関東・北陸の情報を集め、


 春日山へ送り、
 また春日山からの命を

各城へ伝える務めを負わせる。

 

 兵の役には、
 城の守りと、
 

道を行く兵の宿営と補給を整える

務めを負わせる」

 

厩橋城主は、驚いたように目を見開いた。

 

「文と兵を分ける、ということで

ございますか」

 

「そうだ」

 

謙信は頷いた。

 

「越後では、文も兵も一人の家臣が

担うこともあったが、関東の覇道に

おいては、文と兵を分けねばならぬ。

 

 それだけ、この道を通るものが多く、
 

重くなるからだ」

 

鉢形城と松山城にも同様の役割が

与えられた。

 

鉢形は、武蔵北部の結節点として、


松山は、武蔵から下総・上総への

入口として。

 

それぞれの城に「文の役」と「兵の役」

が置かれ、四城連絡線全体が、


一つの「王道」として機能し始めた。

 

覇道を歩く者たち

 

関東の覇道が整えられつつある頃、


その道を歩く者たちも、少しずつ

変わっていった。

 

山村の商人が、三国峠を越えて

沼田・厩橋へ出るようになり、


厩橋の市では越後・北陸の品が並ぶ。

 

鉢形を通る旅人は、
武蔵の寺社と

上野の城を結ぶ祈祷の札を持ち歩き,

松山では、里見・佐竹

との交易の話が聞かれる。

 

「この道を歩けば、
 

『上杉の国』の端から端まで、
 

物も人も噂も繋がるようになってきた」

 

謙信は、沼田から厩橋への道を馬で

下りながら、道端の様子を眺めていた。

 

「戦で勝つだけなら、
 

手取川と九頭竜川で十分であった

かもしれぬ。

 

 しかし、『天下を争う』とは、
 

勝ち戦の跡に、こうして『道』と『国』を

作ることでもある」

 

覇道を歩む者たちの足音は、まだ少ない。

 


だが、その足音の一つ一つが、


関東・北陸・越後を「上杉の国」として

結び始めている。

 

謙信は、空を見上げた。

 

「信長は、
 近江・美濃・尾張・伊勢にて、
 

自らの『防衛的天下』を描き直しておる。

 

 我は、
 越後・北陸・関東にて、
 

『攻めるための国』を描き直す。

 

 その二つが、どこかで再び交わる日が

来る」

 

覇道の先にあるのは、ただの戦場ではなく、


再び「天下の形」を決める場である。

 

第十五話 甲斐の山、再び並ぶ旗

 

甲斐の山々は、夏を迎えてもなお、

どこか冷ややかな気配をまとっていた。

 


谷を渡る風は深く、斜面には濃い緑が

重なり合う。

 


その山の中腹に、一時のための陣が

敷かれていた。

 

上杉の旗と、武田の旗が、風に並んで

翻っている。

 

川中島の敵が、同じ席に座る

 

陣所の中央に簡素な座敷がしつらえて

ある。


敷かれた筵の上に、二人の男が

向かい合って座っていた。

 

一人は、上杉謙信。


 

もう一人は、甲斐武田勝頼。

 

川中島で幾度も刃を交えた両者が、


今はこうして同じ席に座している。

 

「久しきな」

 

謙信が口を開いた。

 

言葉は短く、声音は穏やかではないが、


険しさだけでもなかった。

 

「左様。

 


 川中島にては、互いに刃を交え、
 

その後、長篠にて我は大敗し、
 

殿(謙信)よりの書状を得て泣く

ほどにござった」

 

勝頼の言葉には、自嘲と、わずかな

感謝が混じっていた。

 

 

ご精読ありがとうございました。

 

懐中温泉