続けられる日常 | 「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

潜在意識の働きで、あなたは「スーパーなあなた」になるのです。そのための素材・方法も実はあなたの手元にすでに多くあります。ここでは、あなたがそれを見出し、活用するお手伝いをいたします。胎児(あなた)は、胎児(あなた)の夢により進化します。

懐中温泉です、

 

有馬湯治第六日後半

 

 

坂の途中で、小さな売店の軒先に山椒の

苗木が並んでいるのを見つけました。

 

札には「有馬山椒の苗」と書かれています。

 

結はひとつ手に取り、

 

「これを家に持ち帰って育て、葉山椒を

湯治膳に少しずつ使うようにすれば、

伊香保→有馬のリズムを、

自宅で細く続けられるかもしれない」

 

と想像しました。

 

それは、二十一日間の有馬湯治の、

ささやかな「お土産のイメージ」として

心の中に置いておくことにしました。

 

昼食は、宿の膳に少しだけ手を加えた形

にしました。

 

米は控えめに一膳弱。

 

味噌汁は野菜多め、塩分は薄め。

 

おかずは、小さな煮物と焼き魚ひと切れ。

 

そこに、辛皮をほんの少量だけ添え、香りと

苦味を足します。

 

山椒の辛味と香りが、食欲を刺激しすぎ

ないよう、意識的に量を抑えました。

 

昼寝を短くとったあと、午後は銀泉へ

向かいました。

 

六日目の銀泉では、「五日目と同じ長さの

半身浴」を試すつもりでした。

 

増やすのではなく、「同じ型をもう一度

なぞる」ことで、身体にとっての標準値を

少しずつ固めていきたいと考えたのです。

 

銀泉の湯船の縁に腰をかけ、炭酸を

含んだ無色透明の湯に足を浸けます。

 

金泉の重みを知っている身体にとって、

銀泉は「調整役」のような存在になりつつ

ありました。

 

腰まで浸かり、肩にタオルをかけて、

静かに呼吸を整えます。

 

細かな泡が肌に触れ、数分もすると、

全身の血流がすっと整うような感覚が

ありました。

 

「もし自宅で、夜にぬるい湯にこうして

腰まで浸かる時間をつくれたら、

それだけでも“有馬の残り香”を

持ち帰ったことになるだろう。」


そんなことを考えながら、結は五日目と

ほぼ同じタイミングで湯から上がりました。

 

湯上がりには、ベンチに腰をかけて

水を少し飲み、外気にあたりすぎない

ように気をつけながら宿へ戻ります。

 

夕方、再び金の湯へ向かいました。

 

六日目の夕方は、「二回目の金泉を胸まで」

にとどめるつもりでした。

 

朝と夕の金泉を、あえて「肩まで」と「胸まで」

に分けることで、一日の中の強弱をつける

狙いがありました。

 

浴室に入り、あつ湯で短い足湯をしたあと、

ぬる湯のほうに入り、胸のあたりまで

浸かります。

 

湯の重さは、朝とほとんど変わりません。

 

十まで数えたところで、「ここから先は、

もう明日の自分にとっての“過剰”になる

かもしれない」と感じました。

 

肩までは沈めずにそのまま立ち上がり

ました。

 

宿への帰り道、結は自分の脚の軽さに

気づきました。

 

伊香保の六日目と比べても、有馬の六日目

は「湯の重さ」が上乗せされていますが、

そのぶん「引き算の感覚」も鋭くなっている

ように感じられました。

 

「入れるから入る」のではなく、「入らない

ことで守られる何か」を具体的に意識

できるようになってきたのです。

 

夕食は、前日とほぼ同じく、軽めに整え

ました。

 

小さなおにぎり一つに梅干しを入れ、

味噌汁を一椀。

 

そこに、辛皮を箸の先でほんの少し舐めて、

山椒の香りで口の中を締めくくります。

 

ちゃぶ台の上でノートを開き、結は六日目

の欄に、今日一日の湯と食と身体の状態を

書き込んでいきました。

 

「六日目。


朝:金泉ぬる湯肩まで一回。あつ湯足湯。

 

昼:ご飯控えめ、野菜多め。山椒と辛皮少量。


 

午後:銀泉半身浴(五日目と同程度)。


 

夕:金泉ぬる湯胸まで一回。あつ湯足湯。

 

脚のだるさは“よく歩ける重さ”で安定。

 

背中と肩のこわばりはほぼ消失。

 

胸の奥は静かで、呼吸は深く、頭も冴えすぎず

に落ち着いている。」

 

そして最後に、一行を書き添えました。

 

「六日目は、“増やさずに安定させる”

日だった。

 

四日目に一度減らし、五日目に半歩戻した

ぶんを、今日もう一度同じ型でなぞる。

 

これで、有馬での湯と食と歩きのリズムが、

ようやく“続けられる日常”として身体の

中に座り始めた気がする。」

 

 

ご精読ありがとうございました。

 

懐中温泉