懐中温泉です、
ご質問をいただきました。
「小野小町は小野妹子の子孫なのですか。」
今から90年ほど前の1931年に編纂された
『日本系譜綜覧』の古代編で、小野氏は早い
方に登場し、その氏族の祖は敏達天皇となって
います。
その一員として小野妹子があり、また小野篁
（たかむら）、その孫に小野小町として出てきます。
小野篁は、平安時代に遣唐使の副使を務める
予定でしたが、嵯峨天皇の怒りを買い、
隠岐に流罪となりました。
そういえば、その祖先である小野妹子も、聖徳
太子の頃で遣隋使となり、これは帰ってくる
途中の百済で隋の煬帝からの返書をなくした
ため、一度は流罪になりかけました。
もっとも、妹子の場合には流罪を許され、さらに
翌年ふたたび遣隋使となっています。
それに対して、副使をつとめる予定だった遣唐使
でしたが、篁の場合には時の嵯峨天皇の怒りを
買ったというので隠岐に流されてしまっています。
隠岐流罪中の篁には、島内での自由な行動や、
地元女性との交流、さらには子をもうけたという
伝説もあります。
私も10年ほど前に隠岐に行き、この小野篁の
記事を書いた覚えがあります。
が、いずれにせよ、主に後世の物語や民間伝承
の域を出ないという内容です。
どうも伝説の多い一家と言わざるをえません。
そのため、小野小町については、父親が小野篁
とする伝承が福島県小野町などにあり、篁と地元
女性の間に小町が生まれたと語られています
ただし、これは小町の生誕地伝説の一つであり、
小町の実在や生涯自体が謎に包まれているこ
とが多いです。
隠岐に行ったときに私が強く感じたのは、隠岐が
実は日本のヘソではないか、というものでした。
隠岐の島（おきのしま）は、島根県の日本海沖に
位置する隠岐諸島の中で最大の島であり、
行政的には「隠岐の島町」として知られています。
隠岐諸島は本州の島根半島から北方約50～80
kmにあり、4つの有人島（島後・西ノ島・中ノ島・
知夫里島）と約180の無人島から構成されている、
というのは行って初めて認識しました。
あたかも前世紀の松本零士原作のアニメーション
『宇宙戦艦ヤマト』で、敵であるガミラス星と、地球を
救うイスカンダル星が二重星であった。
イスカンダル星は、ガミラスからの遊星爆弾による
攻撃で核汚染された大気を浄化するコスモクリーナー
を提供する使者を地球に派遣したのです。
そのコスモクリーナーの開発はイスカンダルが
ガミラスとの長年の交戦の中でなされたもので
女王スターシアと彼女が地球へ使者として
派遣した妹サーシアの2人が最後の生存者でした。
この連想から、行って初めて複数の島からなって
いる隠岐であるとわかり、感動を覚えたものです。
島後（どうご）と呼ばれる隠岐の島は、面積約242km²
で日本の島の中でも大きい部類に入ります。
島の中央やや東側には標高608mの大満寺山
がそびえ、豊かな自然と多様な生態系が広がって
います。
•
隠岐諸島全体は2013年にユネスコ世界ジオ
パークに認定されており、火山活動や日本海の
荒波によって作られた断崖絶壁や奇岩など、
地質学的にも貴重な景観が見られます。
その地で、小野篁の話を聞き、島のあちこちを
見て回り、小野小町の足取りはつかめないか
と努力しました。
が、もともとが古代からの流刑地としてある土地
で、流罪でやむなく流されてくる都の貴人が
かろうじて生存できる程度のインフラです。
今でこそ、開けており、問題なく文明生活ができ
ますが、平安時代の初期となるとかなり厳しい
環境であったことが想像できます。
とはいえ、ここも中国大陸から見ればかえって
近い位置にあり、その観点ですれば、遊芸集団
ミトコンドリアである小町座が大陸から移動してくる
際の中継地点であった。
そのように推測することはとくに無理がありません。
とくに竜宮ネットワークとの関係で言えば、隠岐にも
温泉はあり、つながりを考えることはむずかしく
ない。
小町の系譜はここからもたどれそうです。
