懐中温泉です、
ご質問をいただきました。
「湯治は本当は3週間かけるものなのですか。」
もちろん、なにしろ忙しい現代社会です、3週間を
湯治に使うというのはなかなか困難に思えるかも
しれません。
もっとも、自宅のお風呂で、ふだんの入浴通りに
するところをもう少し意識してみるとか、そういう
のでもかまわないとも言えます。
それでも、湯治に3週間かけるとたいがいの病気は
治る、というのは古来からの経験則としてあるのは
確かなようです。
そのことは、必ずしも湯治というスタイルはとらない
でもやはり3週間というまとまった期間を休暇として
取り、休暇後は完全にリフレッシュして新たな日々を
始めるという欧州の休暇スタイルとも通じています。
完全にリフレッシュなので、心身が刷新される、という
ことにもなるでしょう。
そのプロセスもごくわかりやすい。
まず、最初の週が身体の疲労や損傷からの回復
次いで感情や気持ち・精神の癒やし
そして第3週目になると新たな着想であったり、なにか
新しいものが自分の中に湧き起こってきたりする
刷新
リフレッシュ
新たに創造がくりかえされる、文字どおりの
リクリエーション
このリクリエーションというカタカナ英語もずいぶん前
からあると思いますが、なんだかそうした再創造という
意味であるとはほとんど忘れてしまいました。
ちょっとした遊戯や催し物をするための時間や機会
というくらいの認識ではないかと思います。
とは言え、休暇もそれこそ休んで暇な状態、という
だけのことで、それをどう活かすかは人それぞれ
です。
また、何も休日だからといって無闇にアクティブに
活発に行動していく必要もないわけです。
ほんとうに何もしないという過ごし方もあるわけです。
それでも、おそらくその3週間を湯治という形でとる
のであれば、一見ほとんど何も積極的に活発に
動いているようには見えなくても、実は自己治癒を
している。
忘れがちですが、病気を治すのは自分です。
医者や薬は、自分が治るのをサポートすることは
できますが、それ以上はできない。
寝て治すしかないのです。
寝て治せない病気は、医者や薬も治せない。
動物も今でこそ、ペットとして動物のお医者さんに
かかりますが、基本、自分の病気は寝て治している。
巣にこもり、そこで身体を丸くしてじっと寝ている。
それで治す。
もちろん、治らない場合もあるでしょうが、たいていは
それで治っていくのではないでしょうか。
人間の歴史をいつからかぞえるか。
600万年前の最初の人類とされるアウストラロピテクス
彼らの中には医者がいたのかどうか。
いたかもしれないし、薬草のありかを知っている長老
などが存在した可能性もあります。
20万年くらい前、洞窟に集団で住んでいて、火なども
使っていたネアンデルタール人
呪術なども使っていたようですから、医者もいたでしょう。
が、やはり基本は寝て治したのだと思います。
それでも、温泉の効能は知られていた。
現代社会でも地域の温泉には、地元の猿などが入る
温泉があります。
長野県上田市丸子あたりの鹿教湯（かけゆ）温泉
または青森県八甲田の酸ヶ湯（すかゆ）温泉ももとは
鹿湯（しかゆ）として、鹿が入っていたのを人間が
見つけて入るようになったとも言われています。
そこに私が訪れたときも、先の3週間あれば湯治で
たいがいの病気は治る、と利用客が言っていたのを
聞きました。
湯治客は3週間で還る
この場合には、来て帰るばかりではなく、まさに
新たな自分に還る、というようにとらえればよい
と思います。
とくに人があらたな習慣を身につけるのは3週間
かかりますが、その3週間と一致させることで。
新たにリフレッシュし、刷新される自分を創るという
習慣です。
一見、何もしていなくて、ただ入湯し、部屋では寝て
いるだけのように見えますが、実はものすごい
創造活動をしている、ということになります。
蘇生をしている。
3週間で還るのです。
