懐中温泉です、
あなたと共に、渡りの舟に乗りたいと思います。
この場合の渡りの舟、とはいわゆる
渡りに舟
の舟のことで、もちろん象徴的な存在です。
同じような使い方としては、
「大船に乗った気でいてください。」
と言って、胸を叩いた
というように、安心してまかせているときの
心境を表すフレーズもあります。
もっとも、大船に乗った気、の大船はなかなかの
大型船舶で、確かにゆったりとした気分に
なれるでしょう。
見るからに頼もしい。
ところが、こちらの、渡りに舟、の場合は
必ずしも大きな船舶ではありません。
というか、小舟です。
あるいはもしかすると筏だったり、ボートかも
しれない。
下手をすると、プラスチック製の、空気ポンプで
ふくらます、子ども用プールだったりする。
とにかく、今、このとき、対岸に渡るためだけの
ものです。
舟の形をしていないと思えばいいでしょう。
また、大型船舶の出航の際には、紙テープが
色とりどりに張り伸ばされ、船と港の人々をつなぐ、
というイメージがありますが、もちろんそうした
光景もない。
さらに、音楽なども大型クルーズの出港のときには
ドジャーン
ガーン
まさに鳴り物入りで演奏されるのかもしれませんが、
こちらはそれも期待できない。
渡りに舟
その最大のポイントは、タイミングの良さという
ことになります。
あらかじめ予定されていない。
その時、その瞬間、舟の役割を果たし、しかも、
関係者も舟だとは気づかない。
そのくらいショボい。
貧相でありさえする。
だから、そもそも舟でなくても、形というものを
まとっていない可能性さえあります。
状況だったりする。
いかにもみすぼらしく見えるかもしれない。
そこまでマイナスでネガティブでなくとも、
さりげなく、という感じではありそうです。
あまりにもさりげないので、ずっと後になってから
気づくような。
とくに、今私たちが来てしまっている、近未来では。
近々来るだろうとはわかっていたが、未だ先のこと
と思っていた。
しかし、その予想よりも早く来てしまった。
そんな近未来社会です。
本当に不意に。
あまりにも突然に。
来てしまったものは仕方がない。
もう、昨日までの世界には戻れない。
もちろん、近未来社会なので、昨日までの世界
とは共通点も多く、似ている部分もたくさんある。
しかし、やはりここかしこで違っている。
ことにスピードが速い。
テクノロジーですとか、技術の集積というような
ところで。
ものの流行廃り(はやりすたり)もまた急速。
日進月歩です。
旧来の価値観をもってしては、とても追いついて
いかない。
自ずから崩壊せざるを得ない。
今、渡しの舟に乗っていきますが、置いていく必要が
あるものも多い。
どうしても必要なものは持っていきましょう。
また、本当に必要なら、再会もあるはずです。
近未来社会は別離も早いが、再会・帰還も早い。
今は、目の前に来ている渡し舟に乗りましょう。
行動していくことが、この五里霧中の近未来社会では
肝要です。
大きな船舶のようにはとても見えない、もしかすると
いささかショボいかもしれませんが、今は、これが
渡りの舟の役割を果たすのです。
さりげなく。
乗ってください。
動いてください。
渡りに舟でいってください。
