5月25日木曜日
余って仕舞った珈琲を魔法瓶に入れ東京は墨田の錦糸町に一人やってきた。
因みに珈琲はマンデリン。
これまで色々な珈琲を飲み、探したり、調べたりもしたけれど、
なんとなく目につき、手にとって飲んでみたマンデリンはこれまでとは違う魅力や香り、パンチや円やか等があり、一気に魅了されて仕舞った。
それからと言うものマンデリン一筋である。
そして他の豆には一切の興味がなくなって仕舞った。
全て豆に見えて仕舞う。
とりあえずこの珈琲が私に合い、一番である。
ある意味ならず者の私にとってこれは大きな収穫だった。
漸く落ち着けたみたいだ。
マンデリンは、
バッグパックのサイドポケットにそっと忍ばせた。
とりあえず、木曜日のこの山を乗り越えたら個人的に好きなワンツーフィニッシュはスムーズに決まる。
でもどれだけ目の前にゴールが見えても、
飲み干せなかったマンデリンをそのままにし、
好き勝手にフィニッシュを決める事はどうしても憚れた。
それはきっと物凄く汚いやり方として誤解も招く。
なので好きなマンデリンを、
魔法瓶の中に入れ、固く蓋も閉め、
一先ずここまで運んできたのだった。
そっちの方が山を越えた後の幸福感が絶対増すに決まってるからだ。
とりあえずパシャリ。
好きで好きでどうしようもなく好きなのだろう。
好きな事は守らなきゃと思うし、大事にしなきゃと思う。
頭では解っている。
しかしなんだかなぁ。
マンデリンを包み、囲っていると酷く心が安いで仕舞うんだ。
今朝金髪の短髪女が、空っぽだった僕に余ったマンデリンを注いでくれたんだったけ。
そいつに感謝。
とりあえず、
身体も心も何もかもが、
ピンク色に染まって仕舞いそうである。
でもかごの中の鳥みたいに、
第三者の手に寄って無理やり閉じ込められたマンデリンは、
もしかするととても困っているのかもしれない。
でもマンデリンはきっと解っているはず。
流れゆく者はいつだってそうだから。
あっちからこっち、そっちからあっち。
一向に落ち着かない。
ちょっと考え方を見直し改めなきゃいけないのかなぁ。
『女の朝パート1553.1554』シリーズ