11月20日土曜日。
遥か長い道のりを経て東京は北区にある田端に1人やって来た。
あれからどれくらい経ったのだろうか?と、
スタバの椅子に1人座り、そして珈琲の写真を1人撮り、
後から見ることはないなぁ等と横縞な想いをひた隠しにしながら、

とりあえず一口珈琲を飲み、
さりげなく窓の外に視線を移すと、
末広がりばりに拡がっていた空に度肝を抜かれて仕舞った。
味わう間も無くも珈琲は胃の中へおちる。
何だか夢中だった事に今更ながら気がつく。
南、中、山が頭につく鉄道に乗り、
八方塞がりのような箱の中に身体を納める度に、
そうそう!
ユアマイソウソウ!いつも直ぐ側にあると、
嵐の歌を歌いながら身体を動かしたくて仕方なかった事を今更になって思い出す。
でも出来なかったししなかった。
行なりで、かなり道連れ感はあるけれど、
受験戦争や、就職活動等を経験した事がない私にとって、
そんな箱の中から飛び出し、抜けだす事は、
将来的な安定した幸せが約束されていると思っていた節があったからだった。
それが今はどうであろうか?
幾多の難関を突破してきたのにも関わらず、
私は又してもそんな箱の中に身体を納め、
独りぼっち身動き出来なくなって仕舞っている。
外ではゴーと言う音をたてながら、暗雲立ち込めたような風が不気味な笑みを浮かべながら手招きしている気さえする。
そろそろなのか、又してもなのか解らないけれど、
これを飲み終える前に私は立ち上がらなければならない気がした。
完
(書く女シリーズ)