気がついたら何処の誰か解らない女と私は、
この写真をじ~っと見下ろしていた。
えっ私?
私は珈琲女とだけ言っておく。
兎も角、
この私に背を向け沈黙を貫き通す女は、
さっきから一体何を考え見つめているのだろう?
解らないけれどこれだけは言える。
女の背中は、
私がこれまで見てきた背中の中で一番美しくて強かだけれど同時に侘しげだと言う事。
同じ女として、嫉妬や羨望、不安と恐怖、尊敬と畏怖と言うまるで掴み所がない色んな感情が私のこな胸にごちゃ混ぜになって迫ってくるような勢いではないか。。
私でさえ近づき難いぞ。
しかしなんだかとてと辛そうだ、、、。ってのは全くの嘘で、
私は背中を見せ、黙りこむ女だけは生理的に受けつけない。
何故ならばと続くが、
この女もその辺にいる女らと然程変わりばえしないからだ。
どうせ直ぐに飽きられ又違う珈琲に手だすに決まっている。
奥深く滋味深い珈琲は魅力はこの私にしかしらない。だから私は信じてるの。と思った次の瞬間だった。
私が珈琲を飲んだらあなただってただの女だから。
と女がいきなり一人呟いたのだった。
それって私に言ってるの?
まさか?私の事が見える訳?
えっ復讐?それとも当て付け?それとも脅迫?
ダメよ。そんなのダメよ。絶対ダメよ!
私を何処にでもいるようなその辺の女と同じにしないで。
私と言う生き物、
何処からどうみても珈琲があってからこその女。
珈琲だってそれを見初めてくれたから、
私の頭に珈琲と言う名の冠が乗っかってる訳でないか?!等と反論するきにもならないのが私。
いつもの幻聴だった。
声の主は珈琲女である。
今この瞬間から私の夢は愛に変わりましたと言うセリフを持たせてあげ、私が作りだした幻の女だ。
兎に角愛が解らない私は珈琲を飲みながら、
今日も珈琲女との会話を楽しむが、
この時間ばかりはいつも私の頭に天使が舞い降りて来ない。
しかし愛とは何ぞや?と一人心の中で呟いた次の瞬間だった。
私は自分自身が、
さっきからずっと椅子に座っている事に気がつく。
もしかしたら、
愛とは椅子に座ってはいけない事なのかもしれないのかも、、、と、どこそこ吹く風のように思えたのだった。
しかしこのショットは凄い。
完
(書く女シリーズ)
(珈琲女シリーズ)