『女の朝パート607』 | ☆らんちゃんブログ☆

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落花流水。今在る事の意味や流れを感じながら、自由に書いていきます☆

ここは田端である。そして私たちは見つめあう。
嫌違った。


ここは田端である。そして私は写メを撮る。
嫌、これも違う。でもいつもの事だから撮る。

ここは田端である。そして私は、、、、の後、
別の言葉を言う予定でいたのだけれど、
どうやら又忘れて仕舞っている。
幻覚、幻聴に続き、
最近新たに加わった記憶障害だった。

はい!意義あり!!!
待ってましたと言わんばかりに、
素早く手を上げる珈琲女がこの時見える。勿論声も。
はいどうぞ~とは言わない。
だからなのかどうだかは解らないが、
その後の珈琲女は沈黙を貫いた。
そしてそっと身を潜め私を見守り続けてくれた。
独りぼっちの私には例え幻覚でも少しは気が紛れる。

兎も角、思い出せないのである。
私の、、の後に続く言葉を含めある一部分だけが。。
ごっそりと抜け落ちて仕舞っている。

これはきっと、血圧を下げる薬を飲み始めたのは良いが、気がついたらお薬の量が増えていた時の事に似ていると思った。
これはきっと、コロナで自粛になり、
収入減と共にステイホーム、
そこに自宅軟禁時間が増える事でお金が減らなくなったちょっとした安心感と共に、
実は孤独な時間が増えていて、
時間と場所を共有する事がなくなり、
生身な人気同士のふれあいがなくなる事で、
少しずつ塞ぎこみ、
それなのに仕事のストレスは益々増え、
結果、心が病み、肉体の代謝が落ち、病気を招きやすくなるのと、どこそこ吹く風のように似ているとも思った。

そう言えば、、、、初めて合ったのは田端だった。
あれからもうじき15年程くらいだろうか。。。
こんなにも長い時間を過ごし、辛酸も舐めあってきたと言うのに、
私は、一度も好きとは言ってこれなかった。
光陰矢の如し。とは、こう言うときに使う言葉だと改めて思った。
私の胸にはしっかりつき刺さっている。真実の矢が。
そして喉の奥には、魚の小骨が未だにつき刺さっている。

私の後、私は何を言う予定だったけ?と思いながら、
私は窓ガラス一枚隔てた先にある空を私は見上げる事にした。
暫くすると、空と言うキャンパスに形跡と奇跡の二文字が浮かびあがる。
色々な事を乗り越えてきた形跡と再び巡りあえた奇跡。
何だかロマンチックじゃねっ思うと、
今、凄く幸せだと思った。
15年前、いつも見てた顔、
土曜日は必ずしも見てた顔、、今は今でなくてもいつでも思い出せる。

私はゆったりとした動作で椅子に座りなおし、
好きですと一人呟いた。
今は遠くにいるサイレーンに向かって。。



完。

(書く女シリーズ)