何の雑誌か忘れたが、対本氏のインタビュー記事が掲載されていて、私は目を奪われた。
対本氏の問題意識の高さ、そして実際、宗教家として管長・師家という高い地位にありながら、
その地位を投げ打って医学部に入り医療の道をも本格的に究めようとする姿勢に感銘を受けた。
対本氏は何故彼の言うところの僧医を目指そうとしたのか?
どうしてもそれが知りたいと思い、雑誌に紹介されていた本書を手に取ったのである。
読んで分かったのだが、本書は第二段であり、
私が一番知りたかったことは前作「禅僧が医師をめざす理由」に詳しいらしい。
そのため内容的には少し物足りなく感じた。
だが、もちろん本書にも気になる箇所はいくつかあり、
特に若い禅僧への講演の内容を収録した部分が素晴らしい内容であった。
これを読んでますます「禅僧が医師をめざす理由」を読みたくなった。
古人の教えを探求することはもちろん大切なことですし、必要なことでもありましょうが、
私たちはあくまでも現代に特有な(いま・ここ)という環境に生きているわけですから、
宗門人として経典祖録をベースにしつつも、やはり自分の目で見、耳で聞き、自分の頭で考えて、
自分の力で行動しなければなりません。
説くことはいくらでも説けますし、いかようにでも説けます。
書くことだっていかようにでも書ける。
しかし現実を変える力というものは、むろん説くことにも書くことにも役割はありますが、
やはり自ら現場に立ち、相手に交わって行動することから生まれます。