本書の編集者は佐村河内氏に「あなたには、音楽以外にも伝えるべきものがある」と言ったという。
本書を読んでその言葉に納得した。読んでいて何度も目頭が熱くなった。
佐村河内氏の半生を言葉にするとしたら、壮絶という一言に尽きる。
彼は被爆二世として生まれ、高校時代からすさまじい偏頭痛に襲われ、
20代で聴覚異常を発症し、35歳のときに一切の聴覚を失い全聾になり、
現在も頭鳴症や耳鳴り神経症に苦しんでいる。
それでも彼が生き続けていられるのは、音楽だけは決して手放さなかったからだろう。
「人は闇に堕ちて初めて、小さな光に気づく」という彼の言葉は、
その表現自体は使い古されたものではあっても、
彼から発せられることにより、新たな命を吹き込まれたような気がする。