乳と卵

本作は好きか嫌いかでいえばあまり好みではないのだけれど、

最近の芥川賞作家の中では最も作家らしい作家だと思った。

それは、受賞のことばからも感じられるのだが、言葉への畏怖というか絶対的信頼のようなものを感じるからだ。川上さんの文には作家としての志が感じられ好感が持てる。

本作も、もちろん老いということが大きなテーマになっているのだが、

言葉というもの、もう少し詳しく言えば伝わらない言葉というものが大きなテーマになっているような気がする。

賞のためでなく、人間をそして言葉をより深く知るために小説を書くという彼女の次回作に期待したい。