辺見氏が著書の中で、確定死刑囚に薦めた本として紹介した一冊。
バートルビーは代書の業務はきちんとこなすのだが、
それ以外の仕事になると写しの確認といった付帯業務までを含めて一切を拒否するのである。
雇い主が何度頼もうが、すべて「やらずにすめば助かるのですが」と拒絶するのである。
そして、その部屋に住み着き、最終的には何もしなくなってしまう。
結局、雇い主のほうが事務所を引越し(考えたらこれもおかしな話だが)、
それでも居座り続けたバートルビーは逮捕され拘置所に入れられてしまうのである。
なんとも狐につままれたような話なのである。
皆が考えるのは何故バートルビーは頑なに拒否し続けたのかということだろう。
最後に配達不能郵便というキーワードらしきものが出てくるが、
そこから導き出される答えは単なる憶測にすぎない。
バートルビーは社会常識さえないしょうもない人間なのだろうか?
しかし、拒否するまでもないような瑣末なことまでも穏便にではあっても、
確実に拒否するということは実は物凄いことなのではないのだろうか。
内面の自由はいかなることがあっても侵させないということ。
何から何まで事なかれ主義の現代日本人にこそ必読の一冊なのかもしれない。
