佐賀のがばいばあちゃん / 島田洋七/著

先日ある経営者に、この本を読んだほうがいいと薦められた。その人は社員全員にこの本を配ったそうだ。その数日後にまた別の経営者にも同じ本を薦められた。こうも重なると、読まないわけにはいかない。漫才師だけあって内容は軽妙で面白い。たぶん経営者は、主人公であるおばあちゃんが貧しさであったり、困難な状況であったりをポジティブな考え方で切り抜けていくところを、仕事の上でも参考にして欲しいという考えだろう。もうひとつこの本を読んでいて感じるのは人の温かさである。毎年運動会の日に、さりげなく弁当を交換してくれる先生。豆腐をわざと崩して、安価で分けてくれる豆腐屋さん。この本に出てくる人全てが温かい。これは田舎だったからだろうか?昔だったからだろうか?当時よりずっと豊かになったはずの我々はなぜ、前よりも他人に優しくなくなったのだろうか。なぜ島田家(本名はちがうだろうが)に皆優しかったのか?それは、近隣の人々が、皆、彼の家が貧しいことを知っていたからだろう。小さい頃に、広島の親の元を離れ一人佐賀の田舎に預けられたことを知っていたからだろう。皆が近所の人それぞれの事情を知っていたから、お互い苦しくても助け合えたのだろう。無関心が人を冷淡にする。知らないから他人がどうなろうと興味がない。知らない人だから、簡単に騙そうとする。大事なのは自分のことだけで、家族のことですら関心がない。相互理解からしか優しさは生まれない。学生時代、異文化理解による世界平和の実現という戯言を掲げて活動する組織に所属していた。まさに学生のままごとみたいなもので、甘っちょろくて何事も成し遂げられてはいないが、その戯言の中に真実があるような気がする。相互理解でしか、この国は、そして世界は救えない。