神経質にならなくても、セダムは強い。わんさか育ってください。
お日様の光は好きだけど、高温・多湿が苦手で、水はけの良い土地がポイントみたいです。
蕾は付いていますが、未だ花が咲いたのはこれで2輪目。…うーん。
そのお花にとって適宜な気温、地質を知って、居心地良い環境を見つけてあげられたら、と思います。
暖かくなっても咲きそうになければ、赤玉土を入れて、植え替えしようかな。
気に入った植物を見かけた時、
「なんて名前だろう?」
と思った事はありませんか?
私の中学校乙女時代、とある先輩に恋をしていました。話した事も無く、完全に視聴覚のみでの恋でした。彼は、背が高くて、大きな瞳、浅黒い肌をしたスポーツマンタイプでした。私は彼とすれ違ったり、彼の声を耳にしたりするだけで、何故なのかわからないときめきに襲われていました。血気多感な、あの頃です。
しかし、彼の名前の漢字が読めなくて、明確な彼の名前はわかりませんでした。
昼休み、ぼーっと校庭を眺めていて、サッカーをしている男子の中に、彼の姿を探して目で追いかける、そんな日々でした。背の高さと肌の黒さとで、見つけやすかったのを覚えています。そしてとうとう、卒業式のシーズンがやってきました。
卒業式は滞りなく行われ幕を閉じ、中庭には先輩方が写真を撮ったりしながら、下校迄の時間を惜しんでいました。卒業証書が入った筒を手にした彼の制服のボタンは、全て無くなっていました。
『さようなら、先輩』
友人とはしゃぐ彼に、心の中でお別れをして、クラスに戻りました。
するとそこには、あらゆる男性の先輩からボタンを集めた、いけいけなデリカシーのない女子が居ました。
私は席に着いて暫く考えた後、その子に思い切って尋ねてみました。
「ねぇ…あの先輩のボタン、持ってる?」
「…誰の?」
私は、名前を知らないその先輩の特徴をしどろもどろに説明しました。
「バスケ部で、肌が黒くて、目がおっきい…」
その子は察してくれ、
「あ~、マサヤんと?あるばい」
流石、いけいけ女子。さらっと名前を言ってくれました。
漢字は確か〝匡哉〟。ヤが合っているので間違いない、と判断しました。
彼女は持っていたびんを横に倒して、中に入ってるボタンを机の上にばら撒きました。ボタンはカラカラと音を立てながら、机いっぱいに拡がりました。
一見、同じデザインのボタンしかないので、誰のものなのか見当がつかないと思えましたが、彼女はすぐに1つをピックアップすると
「これこれ、マサヤんと!」
と言いました。
と言いました。
にわかには、それがてきとうなのか本当なのか、私にはわかりませんでした。
しかし、私は彼女の言葉を信じる事にしました。もしかしたら本当に彼のものかもしれない、たとえ違っても彼のものだと信じて持っておきたい。私にとって、諦めていたボタンを手に入れる最後のチャンスでした。
友達にすきな人がばれてしまっても、欲しかった彼のボタン。目の前に置かれたボタンに触れる時の緊張感は、ピュアでえげつない、純真無垢な乙女心そのものでした。
「やる」
その友達は、数ある中のボタンの1つを私にくれました。
遠い記憶を遡ると、ボタンの裏に小さく〝マサヤ〟と書いてあったような気がしなくもありません。お金を払って買い取ったかどうかとかは、覚えていません。
友達は、びんの中のボタンをガシャガシャ言わせながら、去っていきました。
本来、卒業式の日の制服のボタンは、直接本人から貰うべきです。私は友達経由で、そのボタンを手に入れました。何故私が、ボタンを持っているのか不思議でした。身近な所にバイヤーは、潜んでいるのかもしれません。
長い名前も、できるだけ覚えてあげたいです。
『クリサンセマム ムルチコーレ』
『クリサンセマム ムルチコーレ』
学名:Coleostephus myconis(コレオステフス・ミコニ)
英名:Yellow daisy(イエローデージー)/Multicaule(ムルチコーレ)
クリサンセマムとは、キク属全体を表す名称。
属の学名〝コレオステフス〟は、〝さやのような王冠〟を意味します。
花言葉:〝高潔〟〝誠実〟〝誠実なあなたでいて〟
青春を謳歌する若者、かつての私にこの花言葉を贈ります。


