昨夜帰ってきたのは、1時過ぎ。
行こうと思っていなかった二次会に連れて行かれ、酔っていた先輩から昔の暴露話をされて、挙句の果てには「そんな瞳で男を落としてきたんだろ!俺には効かんからな!俺の指を斬りたいのか?え?」と暴言を吐かれ、結婚指輪を見せられた。そんなつもりではなかったので、心外で腹が立った。酔っ払いの文言は、どこからどこまでなのかわからない。忘れたフリをしようと思ったが、やっぱりムカムカする。
家に着いて車から降りようとすると、開けたドアを押し潰すかのように風が吹き荒れていた。
私には雨風の中レインコートを着て、坂の下にあるコンビニ迄びしょびしょになりながら下りて行き、びちょびちょのまま店内に入り、ペットボトルのお茶かジュースを買って、びしゃびしゃになりながら帰っていく、、というのをやってみたい、という願望がある。
「今夜は雨は降らずに大風だけか、、。」そう思うと散歩したくてたまらなくなったが、夜中に女性はちょっと、という理性も働いてくれたので、大人しく帰ることにした。
今朝6:30頃声を掛けられて3回めで起きた。
職場まで母を車に乗せようとした時「あっ。」と気付いたのが、助手席の足元に転がっている空き缶とペットボトルのごみだった。
「ごめん、ごみがあるよ」
「あんたのね?」
「うぅん、昨日運動会の後、保育園の園庭に落ちていたから持って帰ってきた」
「保育園で捨てられなかったの?」
「うん。帰り掛けだったから」
母にとって、自宅にごみを持ち込まれるのは嫌なんかなと思い、
「じゃコンビニで捨てよ」
と私が言うと、
「そんな中途半端なことしちゃいけない。ごみの気持ちになりなさい」
と言って返された。
「あんたにさんざん付き合わされて、最後には外に捨てられるなんて」
要は自分で拾ったものは持ち帰りなさいという事だと思うが、母は珠にこんな不思議な事を口にする。妙に納得した私は、母を送った後、多少風のある朝を散歩して、車にあるごみを持ち帰り、捨てた。
散歩中、秋晴れの朝陽の中、風に揺れる稲穂が眩しかった。
朝起きた時、喉が痛くて緑茶と飲んだ葛根湯も効き始めている。
そういえば、昨夜の二次会の時に四十歳のことを“よんじゅう”と言わずに“しじゅう”と言うと貫禄がでるみたいな話を聞いて、私も四十をもし生きられたら『しじゅう』と渋めに言ったろーと思っている。