ぼくの毎日の出来事を淡々と綴るということ。 -13ページ目

 雨の日は読書がはかどる。いつも以上に紙上に広がる言葉の集合体の中に吸い込まれている感覚が強く強くある。ぼくは物語の世界に浸っていた。からだ丸ごとどっぷりと。ここではないどこか別の世界を生きていた。別の世界では僕は武器を持って人を殺すこともある。この世で一番の美貌を持つような女性に恋をして一つに結ばれもする。また最終的に自分自身が死んでしまうこともある。

 現実には起こりえなさそうだが全く可能性がなくはないような世界。
 そんな世界を生きれる幸せ。
 いわばもう一つの人生がそこには存在していた。

 ぼくは夢中になって本をむさぼるように読んでいた。雨が心地よいBGMで物語の世界へいざなってくれる。それはまるで夜の息遣いを聴きながら眠りの世界へ吸い込まれていくようなそんな感じに似ている。いや、それ以上の心地かもしれない。

僕はその時完全に外界をシャットアウトしていた。物語の中を生きていた。その世界を壊しにかかる敵はいなかった。ながいあいだそうだった。物語世界を中断させられるのは唯一睡眠だった。(睡眠にしたところで物語が眠り=夢の世界で引き続き続けられることには変わりないのだが)

 でもその日は違った。

 雨の降る日中。お昼にはなっていなかったけれども朝でもない時間帯。僕は18世紀の地面を進んでいた。いや馬上に乗って敵に攻め上がっていたから正確には18世紀の馬に腰かけていたのだが。敵は目の前の丘の陰からこちらに向かってきていた。声で分かった。馬が丘の斜面を蹴り上げる音をベースに、人間が野太い声で叫びあうのが聞こえてきたからだ。それはだんだんと大きくなってきていた。こちらの心臓も鼓動が少しずつ早くなってきていた。心臓の鼓動と敵の声。しかしそれだけではなかった。何かを強くたたく音がそこには混じっていた。それも何度も何度も執拗に。