First and Only Love 7 | usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

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タクミくんシリーズの二次創作です。
usatami のこうだったらいいのにな~♪を細々と綴っております(〃ω〃)
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"またか"
章三にそう言われてしまうだろうと予想して、件の部分を敢えて話さずに遣り過ごそうとした託生である。
予想通りに放たれてしまった言葉。
"またか"

だが、章三のこの発言も不本意ながら頷けるものなのだ。
何故なら、それは託生自身も思っていたことだから。
相応の苦さと共に―――

「なんでいつもこうなるんだろう・・・。」

こう、とは。
つまり誰かしらに言い寄られてしまうこと。

今回のジョージの様に、いわゆる"プロポーズ"とキッパリと言い切られることこそ稀だが。
"援助"という名にかこつけた下心丸出しの申し出に何度も悩まされてきた。
相手は社会的地位のある世慣れた人たち。
そして、今後も何かしらの付き合いを続けていかなければならない人たち、だ。

本来、駆け引きめいた遣り取りは不得手とする託生なのだが。
そうも言っていられない。
角の立たないようやんわりと断ってきた結果、今ではそれなりのスキルを身に付けた。
しかし。

「僕、そんなに頼りなさそうに見えるのかな?」
確かに。
奏太が小さい頃は色々と大変だった。
けれども、章三や奈美子を始めとした友人たちの協力に助けられて乗り切ってきたのだ。
その奏太ももう17歳になった。
みんなのお陰で真っ直ぐに育ってくれたと思う。
だから今、奏太と二人での生活に不安はないし満足しているのに。

「―――頼りない、ね。」
隣で溜め息を吐きながらグラスに口をつける託生を横目に、章三は口中で呟いた。

バイオリニストとして活動を始めて十数年。
今、最も活躍を期待されているバイオリニストの一人として世間の注目を集めているという事実を本人は知ってか知らずか・・・・。
実際、ここ数年の託生はしなやかで伸びやかだ。
それはバイオリンの演奏だけに留まらない。
つい目を奪われてしまう色香なんてものを放ちだしたものだから。
しかも完全に無意識に、とくれば始末に悪いというものだ。
犠牲者たちも気の毒なことだ、と章三は思う。

どんなに果敢に挑んでも、託生のこの鈍さでは難しいだろう。
今回の"プロポーズ"には流石に動揺したようだが。
託生の心は動かないだろう。
きっと―――

「なあ、ギイに会って・・・どうだった?」
章三の質問に、託生は小さく笑った。
「どう、って・・・・相変わらず格好良かったよ?ちょっと渋くなってた。」
するり、と出てきた託生の言葉に章三は目を瞠った。
「おっ?そんなこと言えるようになったか。昔はちょっとからかったらすぐに真っ赤になって怒ってたくせに。」
「昔は、って。それ祠堂の頃でしょ。もう僕だっていい大人だよ。そんなことくらいじゃ赤くなりません。」
クスクス笑いながらそこまで言って。
きゅっと口を引き結ぶ。
「それに・・・こんなこと赤池くんぐらいにしか言えないし。・・・・いいじゃん。付き合ってくれても。」
小さく付け加えられたその一言に。
託生の本心が混じる。

精一杯強がって生きてきた託生を知っているから。
章三は次の質問を呑み込んだ。
代わりに、託生の頭をくしゃくしゃっ、と掻き乱してやる。
「わっ、もうっ。」
不意打ちに慌てて身をかわし、髪の毛を押さえる託生に笑った。
「いいさ。今夜はとことん付き合ってやるよ。」
章三は自分のグラスのふちを指先で摘まみ上げ、カツン、託生のグラスに音を立てて合わせた。