目も眩むほどのまばゆいライトを浴びて。
ともすればぐらぐらと揺れてしまいそうな視界に焦りながらも、ホールを埋め尽くす客席に深く一礼する。
熱心で暖かな拍手に、凝り固まっていた肩の力は多少は解されたような気もするが。
考えてみれば。
こんな大きなステージで一般の聴衆を前にして演奏することなんて、今まで経験したことがない。
しかもソリストとして、である。
この演奏で自分の音を、音楽を、世界を、表現してみせなければならないのだ。
この耳の肥えた人たちに。
相当な重圧に潰されてしまいそうだ。
僕は目を閉じて深く深呼吸する。
吸って、吐いて。
バクバクと駆け足で刻まれる心臓の音を聴きながら深呼吸を繰り返して。
瞳を開けば、相変わらず眩しいライトが突き刺さってくるけど。
うん、大丈夫。
伴奏のピアノへと視線を向ければ、こちらの様子を伺う視線とぶつかった。
ピアノ科の彼女も、この短い準備期間で良く付き合ってくれたな、としみじみ思う。
もう無理だ~!とか。
ここはもっと!!とか。
思い返せば、とても楽しかったんだ。
本番のステージだけど、つい笑ってしまう。
そんな僕を見て、強張っていた彼女の顔にも笑顔が浮かぶ。
この演奏で最後だから。
やってきた全部を出し切ろう。
視線を絡めてのアインザッツから
飛び込む。
空気を震わせて響くこの音が、この声が。
届くかな?
ここにはいない君にも。
届くといいな。
僕の音はギイ、君から生まれて君へと還っていくのだから。