君と一緒に♪12-16 | usatami♪タクミくんシリーズ二次創作小説♪

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タクミくんシリーズの二次創作です。
usatami のこうだったらいいのにな~♪を細々と綴っております(〃ω〃)
覗いていただけてら嬉しいです(’-’*)♪

後ろへと強く引かれバランスを崩した牧原の頬に鈍い音を立てて食い込むギイの拳。
その衝撃で牧原は弾き飛ばされた。

「っ、託生っ、大丈夫かっ?」
牧原の拘束から解放されて、託生は今まで押し付けられていた樹の幹に背を預けたままずるずるとへたり込んだ。
呼び掛けてくるギイの声に訳もわからずボロボロと大粒の涙が溢れ落ちて。
喉に何かが詰まったかのように言葉が出ない。

そんな託生の様子にギイは握りしめた拳を震わせた。
「・・・なにをした?」
地を這うような低い声がギイの噛み締めた歯の隙間から絞り出された。

殴られて赤く腫れた頬を撫でながら牧原は悪びれることなく、むしろ不敵に笑い返してくる。
「何って・・・ああ、美味しかったですよ。」
言い終わらぬ間に再び繰り出されたギイの拳を、だが、牧原は貌を逸らせて完璧に避け、その上手首を掴み上げてきた。
「二度も殴られる間抜けではないのでね。」
「ですが、これで形勢逆転ですね。その手を離していただきましょう。」
背後から気配を消して迫った岡田に羽交い締めにされて、牧原はギイを掴み上げていた手を存外あっさりと離した。

「やはり君はいい腕をしているね。・・・私の所で働かないか?」
「ご冗談を。全く笑えませんがね。」
「それは残念。」
言うと、ギリギリと絞めてくる岡田に一瞬の微妙なフェイント。
SPとして体術はかなりの域にある岡田故に、このフェイントに反応してしまう。
牧原は出来た隙を逃さず岡田の絞めから抜け出ると、逆に岡田の方腕を掴み背後へと回りこむ。
腕を背中で捻り上げられる形となった岡田は、チッと舌打ちした。
と、同時に背後の牧村に向けて回し蹴りを繰り出す。
掴んだ岡田の腕を離してそれを難なく避けた牧原だ。

「せっかく愉しんでるところ、非常に残念だが。迎えが来てしまったようだ。」
見れば少し離れた場所に黒服の男が立っている。
「御曹司まで出てきてくれたのだから。もっと遊んで貰いたかったのだがね。」
うちの秘書は融通が効かなくて困るよ、と愚痴る。

「ふ、ざけんなっ!」
ギイは憤りの声を叩きつけた。
「これだけの事を仕出かしておいて、何言ってる。このまま警察に突き出してやる。」
脅迫状も爆発物の設置も、ホールでのあの騒ぎも。
充分に犯罪だ。
だが、牧原はギイの言葉にくくっ、と可笑しそうに笑った。
「いや、失礼。それが私の仕業だと実証できたなら喜んで同行しよう。だけど、今頃“真犯人”が捕まっている頃なのじゃないかな。」
牧原の余裕の態度にギイと岡田は鋭く眼を見合わせた。
この余裕。
何か裏を仕組んでいたに違いない。
ヘタを打てば逆にこちらが名誉毀損ぐらいとられかねない。
いや、それを狙ってる。
ここは見逃すしか手はないか。
腹立たしいことこの上ないが!


去り際の牧原の言葉。
「葉山くん。さっき言ったこと・・・忘れないで。」
牧原の眼の、あの不穏な焔を見たくなくて、慌てて瞳を伏せる託生の眼の端に、だが、映ってしまったそれは。
託生の心を冷たく凍りつかせて、その躯を止めようが無いほどに震わせた。
そして、唐突に気付いたのだった。

――――僕は、あの眼を知っている。