「愚者は体験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

今日読んだのは、塩野七生の「コンスタンティノープルの陥落」。東ローマ帝国の首都として1000年余りも栄えたコンスタンティノープルが、15世紀後半にオスマントルコ帝国に滅ぼされたときの歴史小説。ちなみに塩野七生といえば、「ローマ人の物語」も有名だけれどもこちらも是非興味がある人は読んで欲しい。超オススメ。

学生時代には、歴史って年代を覚えたり、人名を覚えたりするだけでほんとつまらない授業だと思っていたけれど、こうやって今の年になると、歴史ほど面白く学ぶものは無いということに気づく。

この本や前出の「ローマ人の物語」を読むと、キリスト教対イスラム教の反目の歴史が判って、今の社会情勢を読み解く参考にもなります。
昨今のイラク戦争について報道を見ていると、あまりにもこの歴史観をないがしろに単に今の事実関係だけを報道しているに過ぎないため、僕らはあまり現実感をもって今の状況を見ることが出来ないけれど、西洋史を紐解くと今の状況もより理解できます。

ローマ帝国の繁栄と今のアメリカ的資本主義の繁栄は驚くほど似ているし、ローマ帝国と反目していたイスラム国家のパルティアとイラクなんてほぼ同じ地域であるのはとても興味深い。

そして、このコンスタンティノープルを陥落させたオスマントルコ帝国皇帝マホメッド二世が、カエサルについて書かれた本をよく読んでいたというのは歴史の皮肉である。

さて、冒頭の言葉は、ドイツの鉄血宰相ビスマルクの言葉。

歴史に学ぶということは、先週の朝礼でも話したけれど、具体的には本を読むこと。読みながら、自分だったらどうするか、今の自分の状況に応用できることは何かということを常に考えて読むことで、先人たちの幾多の経験を疑似体験出来る。

特に人を率いる立場の人には、読書、その中でも歴史物を強く勧めたい。なぜならリーダーとなる人に最も要求される資質は、目の前の現象を客観的に詳細に分析する能力と、合理的に公平に対処する能力であり、この2つの能力を学ぶには経験と理論が必要だからです。。

 分析力がない人は、どうしても経験に基づいた直感に頼ってしまいがちで、見る幅が狭く、そのためにアバウトで偏った処理をしてしまう可能性が大きい。逆に経験にばかり頼るということは、新しいことへの挑戦を拒否してしまうことにもなる。

僕らの世代はどうしてもこの2つの能力を得るための絶対的な経験も理論も乏しい。だからこそ、これを過去の歴史から学ぶ必要がある。

そのためにも、本をもっと読もう。そしてそれを実践の中で活かしていこう。