「キャンディ・キャンディ」のDVD・・・全115話を見終わって感じた事・・・。


 心の中にポっと、温かな明かりが灯された気がしました・・・。


 富山敬さんのテリュース・G・グランチェスターは本当に良かったです。

 そして、戸谷公次さんのジョルジュも。


 ずっと離れ離れになったいた、懐かしい友人に再会した・・・そんな感じです。


 声がいつまでも残るのって、素晴らしい事です。

 私はファンといっても、コアなファンではないので、彼らが出演した全ての作品のソフトを持っている訳ではありません。

 けれど、会いたい時(聞きたい時)に、自分の手持ちのソフトを再生すれば、いつでも、懐かしい「声」が聞けるなんて嬉しいです。

 

 「キャンディ・キャンデぃ」の最終回は、原作とは大きく異なります。


 どうしてそうなったかと言うと、月刊連載のコミックスに、週一で放送していたアニメが追いついてしまった為です。

 その為、元々、オリジナルのエピソード満載のアニメの中で、ラストに続く話はかなり違うんですよね。

 アニメの最終回の放送後に、雑誌が発売になったんです。

 「なかよし」を買っていた私は、最終回は、漫画の方がいいな・・・って思ったのを今でも覚えています。


 なので、その時は、アニメよりも原作を支持していたのですが、改めてアニメを見て、アニメの良さも再認識しています。


 「声」が吹き込まれたことによって、単なる「絵」でしかなかったモノに、「命」が宿っている。


 「銀河英雄伝説」にしてもそうです。

 声が入る事によって、存在感が増したキャラが本当に沢山います。


 シュトライトなんて、本当にそうです。

 決して目立つキャラではないのだけど、声を聞いた瞬間に、いっぺんに好きになりました。

 戸谷さんの声が好きだった事を再認識したと言ってもいいです。


 同盟ではヤン提督が好きなのは、原作を読んでいた時から変わりませんが、声で好きなキャラがMAXになった気がします。


 不慮の事故で亡くなられた塩沢兼人さんの46歳と言う年齢は早すぎますが、意外にも、50代で亡くなる方が多いんです。

 皆さん、多忙で気づいた時には手遅れ・・・だったという話です。

 事務所には所属しても、サラリーマンとは違いますから、健康診断とか受けておられなかったり。


 富山さんも、病院に担ぎ込まれた時はがんの末期で、手の施しようがなかったそうです。

 そう・・・ヤンを演じられていた時、相当お悪かったんですよ。

 ヤンを演じ切られたその年・・・富山さんは亡くなられました。


 今、改めて銀河英雄伝説を見ると、第1期の頃のヤンと、第3期のヤン・・・かなり声が違う事に気付かされます。

 まず、声が小さい。

 微妙に掠れている。


 苦しかったんじゃないかな?

 本人は気が付かなかったにしても、あとになったら分かるって事、ありますもん。


 鈴置さんにしても、亡くなる2か月前に録音されたウェブ・ラジオを聞いていたのですが、話の途中で、微妙にカラ咳が出るんです。

 一瞬、風邪かしら??と思いました。

 夏風邪だとしたら大変だなぁ・・・なんて思いました。

 あとで、死因が肺がんだと聞いて、それで、あの咳だったのか!!と。

 それを考えたら、鈴置さんのお別れ会で、その音声が会場に流れた瞬間に、泣けて泣けて・・・。

 鈴置さん、風邪じゃなかったんだよ・・・って、心の中で叫んでいました。

 亡くなる1か月前に、検査入院されて、そのまま帰らぬ人になってしまうなんて、本当に悲しいです。


 曽我部さんだって、がんで亡くなられました。

 みんな、逝ってしまうのが早いよ・・・。T-T


 富山さん、59歳。

 戸谷さん、57歳。

 曽我部さん、58歳。

 鈴置さん、56歳。


 まだまだこれから・・・って感じの時にいなくなってしまって、悲しくて仕方がありません。


 でも、時々、懐かしい声に会いたくなったら、手持ちのDVDを再生してみよう。

 そこには、「銀河の歴史がまた1ページ」ならぬ、「(◎◎さんの声で育った)うさけの青春の1ページ」が、そこにあるのだから・・・。



 




  ハイネセンでは、公共の電車、バス・・・ありとあらゆる交通手段には、派手な広告が書かれている。

 特に電車内の広告の派手さは、帝国から来た人間には衝撃が大きかった。
 そして、時には、内部にとどまらず、電車の外側も派手な広告塔になる。
 普段は赤や黄色のラインが1本だけ入ったメタリックシルバーのシンプルな電車も、企業の広告だらけになると途端に派手になり、異様な雰囲気を醸し出す事もある。
 人気の高いアイドル歌手が主演する映画などは、キャンペーン用に映画のチラシをそのまま車体にプリントして走らせたり。

 季節毎に広告も変わる。

 春は花屋の宣伝、秋はビール会社、秋は・・・といった具合である。
 とにかく、電車の外部も内部も・・・いつも、広告だらけであった。
 ドアというドア、窓、天井から吊るされた広告やはめ込み式の物、座席、つり革にまで広告がびっしりなのだ。
 ここにいる人間はこれらの広告に目眩を起こさないのか・・・と思うが、市民達は誰も文句を言わない。
 混んでいると気が付きにくいが床にまで広告がある。


 帝国から来た人間は、空いている時間に乗るとつい目が行ってしまうらしく、帝国軍の兵士の中には広告を見ているうちに電車から降り忘れた・・・などという者までいたのである。


 電車の広告で更に驚くのはドアの真上にある電光掲示板である。
 これは2つあって、ドアが開く方にあるのが路線案内で、反対側にあるのが広告やニュースであった。
 路線案内の方は、「NEXT」の文字が点滅し、次の停車駅が書かれている。
 これで、乗客は次にどこに行くのかという事と、どちら側のドアが開くか、次の駅には何線があるのかを把握する事が出来る。
 更に、『電車内では携帯電話を切りましょう』とか、『お年寄りに席を譲りましょう』、『マナーを守って乗りましょう』だのと言ったマナーに関する言葉も、繰り返し点滅する。
 時には、お得な割引切符の宣伝なんかもしてしまう。
 そして、路線案内と反対の電光掲示板には、事件などを報じる『ニュース』、『今日の運勢』や『天気予報』、『株式市況』に『沿線での催し物の案内』など、あらゆる事柄が表示される。
 この電光掲示板では、立体テレビ<ソリヴィジョン>で良く目にする商品のCMも流れたりするのだ。
 このCMだが、視覚で訴えるものが多い。
 いや、CMだけではなく、その他の情報画面も、派手な色遣いで、目立つものが多い。
 けれど、無音でもない。
 ちゃんと、音声も流している。
 車内は音がうるさいから、音はいらないのでは・・・であるが、目が不自由な人には音声情報は欠かせないものだった。
 これは目の不自由な人と耳の不自由な人への配慮という事であったが、帝国の人間には“過剰広告”と思えたのである。


 秩序を重んじて整然とした感じのある帝国では、一般人が利用する路線バスの広告は、バス会社の物だけで、それも、後部の窓だけに限られていた。
 とにかく、帝国軍人達は、この派手さに慣れるにはかなりの時間を要したのであった・・・。



 とある日の夕方過ぎ・・・。


 美味しいワインやカクテルが気軽に飲める穴場の酒場をロイエンタールの副官のレッケンドルフがオフィス近くで見つけたらしい。
 その報告にさすがのロイエンタールも興味を持った。

 それで彼は、「これからレッケンドルフと飲みに行くのだが、これがかなりいい店らしい。休暇中悪いが、暇があったら卿も一緒にどうだ?それから、私服で行くから卿も私服で来る事」というメールを、自らベルゲングリューンに送った。
 1日休暇を取っていたベルゲングリューンであったが、用事は日中で片が付き、夜は特に予定もなかった。
 敬愛する上官の誘いであったので、ベルゲングリューンはすぐさまOKの返信を入れた。
 そして、出先から目的地へ行く為に、ふとした気まぐれで、滅多に乗らない電車に乗ってみたのだった。


 駅でプリベイドカードを取り出して、自動改札のカードリーダーにかざす。
 ハイネセンでは、コンビニエンスストアも含めて、ありとあらゆる商店でこのカードが使える。
 チャージさえしておけば、買い物はおろか、電車やバスにまで乗れて、小銭が必要ではない。
 帝国に存在していないこのカード・・・。

 合理的であまりにも便利だったので、赴任した将兵達は全員、このカードのお世話になっていた。
 ほんの1分足らずで銀行口座からカードへのチャージを済ませて、目的の電車に乗り込むベルゲングリューン。


 しかし、乗って早々に、乗った事を後悔しかけた。
 甲高い声の車掌のアナウンスは耳鳴りしそうだったし、目まぐるしく変わる電光掲示板に目がチカチカしそうで、ベルゲングリューンは大きな息を吐いた。
 オーディンにはなかったが、フェザーンにも、電車と地下鉄はある。
 だが、ここまで無秩序に広告は流さないし、とても静かなものだ。
 電光掲示板には血液型占いや、星占いなどの情報が流れている。
 電車の中で、こんな占いが必要だとも思えないのだが、周りをさり気なく見ると、皆の視線は占いを追っており、ベルゲングリューンは不思議な気分に陥った。


 夕方のラッシュアワーにはまだ早い時間であったが、電車内はかなりの込み具合で座る事は出来なかった。
 仕方なく車両の中ほどで吊革につかまる彼の隣には、友人同士らしい2人の女学生が立っていた。
 2人ともおさげ髪であり、1人は白いリボンで、もう1人は青いリボンだった。
 どちらの陣営の女学生にも、この髪型は共通・・・という事を認識するベルゲングリューン。
 彼が吊革を握る手を強めた瞬間に白いリボンの女学生が電光掲示板の占いを見て突然声を上げた。

 急に大声を上げられたので、隣にいたベルゲングリューンは一瞬、身体をビクリとさせた。


 「わぁ、超ラッキー!私ってば明日の運勢もいいみたい。射手座のA型の女性のラッキーカラーは黄色なんだって!」
 「本当?じゃぁ、あのバッグにしたら?この間、一緒に買い物に行って買ったのがあるじゃない?」と、青いリボンの女学生。
 「あ、あのバッグか・・・。うん、そうね。じゃぁ、明日は黄色のバッグで学校に行こうっと!あ、ねえねえ、この際だから、ハンカチも黄色のにした方がいいかな?」
 「うん。いいんじゃない?じゃぁ、私はどうかな。うんとぉ~乙女座のO型女性は・・・と。わぁ、私も運勢はいいみたい。ラッキーカラーは水色。じゃぁ、明日はリボンは水色ね」
 「好きな色で良かったじゃない?・・・えっと、あなたのラッキーアイテムは髭ですって。前日にお髭の人と話すとなお運勢が良くなる・・・ですって!・・・あ!」
 「・・・お髭の人・・・発見ね!」
 青いリボンの女学生の視線は真っ直ぐにベルゲングリューンヘ。

 ラッキーアイテムにピッタリのお髭の人がいるのだから、彼女はにこやかな笑みをたたえていた。


 「あの・・・ステキなお髭ですね!なんのお仕事しているんですかぁ~?」
 能天気な女学生の問いに言葉に詰まる。
 「あ・・・いえ、仕事は今日は休みなんです。で・・・これから飲み行く途中で・・・」

 しどろもどろになってしまう。
 「あ、そうなんですかぁ。ふーん・・・」
 彼女の、遠慮もへったくれもない、値踏みをするかのような不躾な視線に面食らうベルゲングリューン。
 怒るよりも呆れて物が言えない状態だった。
 そして、ベルゲングリューンは、思わぬところで同盟の一般女性と口を利いている自分が不思議であった。
 「うふふ・・・話をしてくれてありがとう!これで明日の運が良くなるならもうけものよね!」
 彼女はベルゲングリューンに向かってVサインをして見せ、白いリボンの女学生の方も、「ホント、ホント!!私達・・・明日もきっと超ラッキーだよね~!」と楽しげに手を叩いた。
 お喋りに余念が無い2人は笑いあいながら次の駅で降りてゆき、ベルゲングリューンは溜め息を付いて、改めて車内の電光掲示板を見た。

 何の役にも立っていないように見えて、電車内の電光掲示板は、ハイネセンの市民達生活の一部にしっかりと溶け込んでいるらしい。


 そして、つい、天秤座のAB型男性の明日の運勢を読んでしまい、ラッキーカラーが「グレー」だと知って暫く考え込んだ。


 (なるほど、グレーか。それなら、明日の靴下は・・・グレーにしてみよう)


 今まで占いなど気にした事はないが、ラッキーカラーだと言われるとその気になるから不思議だ。

 こんな感情を今まで抱いた事はないので、自分でも本当に驚くベルゲングリューン。

 

 (そうだ・・・確か、閣下は蠍座のA型だったはずだ・・・)


 占いを読み進める内に明日のラッキーカラーが『ピンク』だというのを知った。


 そして、これを上官に伝えるべきか否か・・・根が生真面目なベルゲングリューンは、真剣に悩んたのだった・・・。





 Das Ende





 100のお題より、「電光掲示板」です。


 主人公は、ハンス・エドアルド・ベルゲングリューン。
 彼が主人公ですが、誰が主人公でも一緒か?
 イヤ・・・『お髭限定』ですからね。
 レッケンドルフとかだとダメですね。


 ハイネセンに来た事があるお髭さんで考えると、レンネンカンプでも良かったんだけど、彼には華が無いので却下です。←ゴメンよ、レンネン。


 ロイエンタールも出したいし・・・って事で、ここはベルゲンに頑張ってもらおうと・・・。(笑)
 ベルゲンの一連の行動から、血液型はAB型って事にしましたが・・・。
 私はね・・・ロイさんの死と同じくらいベルゲンの死もつらかった。

 キルヒアイスに続いて、ロイエンタールをも失う。

 敬愛する上官2人に死なれて、ラインハルトへの負の感情を吐露するシーン。
 上官の後を追って自殺しようとする彼を、必至に止めようとするビューローに向かって放たれたあのシーンは、何度聞いても泣けますって・・・。(T-T)


 あと、この小説の時期設定は夏頃って事で。
 ・・・って事は、そう。
 ハイネセン赴任直後って事ですね。


 しかし、部下の進言通りにピンクの何かを身に付けるロイエンタール・・・想像したくないです。(爆)


 それにしても、ベルゲングリューンが主人公って・・・やっぱり、マイナー全開です。

 「マルボロ」にしてもそう・・・せっかく、ロイエンタールを出したのに、レッケンドルフが出張っている為に、マイナー感が拭えない。

 でもね、それがいいのかもしれませんが。
 
 ベルゲングリューンの田中亮一さんと、同盟軍の技術大尉のエドをやっていた田中和実さんはご兄弟でしたが、2007年末に弟の和実さんが56歳で亡くなられました。
 毎日、「THE ワイド」でお声を聞いていた私は、物凄くショックでした。(この番組が終了してから3ヶ月後って・・・ううう) 
 

 どうか、お兄さんの亮一さんは・・・もっと長生きして下さい。
 亮一さんは、「デビルマン(不動明)」だから、本当に長生きしてほしいです・・・まだ60代だから大丈夫だろうけどね。











 かつては銀河帝国にもパイプや葉巻と言った煙草は細々と存在していたが、紙巻煙草については今では製造されていない。


 それに、パイプや葉巻も滅多に見る事はない。
 どちらかと言うと、煙草全体が敬遠されているからである。


 その理由は、サイオキシン麻薬が出回った頃、煙草に似せた麻薬が出回り、特に、パイプや葉巻を愛好する貴族の中に多数の患者が出た為だ。
 高級な葉巻に似せて作られたサイオキシン麻薬・・・。
 悪質極まりないこの葉巻風の麻薬は、それを知らずに使用して中毒を起こした多数の貴族の患者を出し、
その殆どは天上<ヴァルハラ>の門ではなく、地獄の門をくぐった。
 そして、その中には、門閥貴族に繋がる者がいたのである

 事が事だけに公にはされていないが、煙草を嗜好品とする貴族達には衝撃だったようだ。
 それ故に貴族社会からは、煙草自体が敬遠される形になった。
 皮肉な事に嗜好品としてごく一部の者だけにこっそりと愛好されるようになってしまった。
 結果、扱いも厳重になった為、更に希少価値が出て、一般庶民には手の届かない最高級の嗜好品となったのである。


 ロイエンタール自体は煙草を吸う習慣はなかったが、彼の幼い頃、父親が酒をあおりながら葉巻を吸っていた事をうっすらとだけ覚えている。
 地位は一介の帝国騎士<ライヒス・リッター>でしかなかった父だったが、資産だけは爵位のある貴族に負けないほど持っており、その有り余る資産で煙草に手を出していた。
 そして、希少性の高いワインやシャンパンなど、高級酒も毎夜のように浴びるように飲んでいた。
 どうやら父親はこの2つで身体を壊したらしい。
 父が好んでいた煙草は確か『ゲルベゾルデ』と言う名前で、使用人達が「部屋がヤニ臭くて掃除をするのが大変だ・・・」とぼやいていた記憶もある。



 ハイネセンに赴任して十日余り・・・。
 街の至る所に、コンビニエンスストアや自動販売機があり、アスファルト敷きの道路や、派手な広告だらけの電車にも慣れ出した頃・・・。


 ロインエンタールの副官のレッケンドルフは、敬愛する上官に決裁書類を手渡した後、自身のデスクの上で、何か小さな箱らしき物を紙袋から出し、にこにこしながらそれを眺め、また紙袋に戻していた。


 「・・・それは何だ?」
 サインをする手を休めて、副官の方を見やるロイエンタール。
 「あ・・・申し訳ありません、閣下。これは煙草です。紙巻煙草は珍しいですし、この間、立体テレビ<ソリヴジョン>のCMでも見ましたので、お昼休みにちょっと買ってみたのです」
 「ほう、煙草か。紙巻とは・・・確かに珍しいな」
 ロイエンタールは静かに頷いた。
 「実は一昨日立ち寄った公園でご老人が吸っておられて・・・。小官は丁重にお断りしたのですが、『ほっと出来るぞ』と煙草を勧められたのです・・・」
 一気にまくしたてた副官に面食らうロインエタール。
 「待て。話が全く見えないんだが・・・」
 「あ・・・スミマセン。一昨日、帰宅した後に宿舎近くの公園に散歩に行ってみたのです。夜でも人通りが多い公園で、屋台なども出ていてにぎやかな公園なのです。私はラフな私服でしたから、私に声をかけて来たご老人は小官が帝国軍人だとは思っていないようで、『ヤン提督が亡くなったのが信じられん。あのお人は、わしらの星じゃったに・・・』とか言われまして・・・。それがあんまりしみじみしておりましたので、つい、付き合って小官も1本だけ煙草をもらって吸ってみたのです」
 「・・・ほう」
 目を眇めるロイエンタール。
 「この紙巻煙草は、地球時代からあるかなり古い銘柄だとか。そして、このハイネセンでは、一番人気が高い銘柄だそうです」
 レッケンドルフは、紙袋を開けて箱を取り出すと、ロイエンタールに手渡した。



 『Marlboro』



 「これは・・・マルボロ・・・と読むのか?」
 眉根を寄せるロイエンタール。
 銀河帝国と、旧自由惑星同盟とでは言語が違うせいか、読む事は出来ても、意味が全く分からない。
 「あ・・・はい。それと、これを吸っているとお金持ちになれると言うジンクスも存在しているようです」
 「金持ちだと?」
 「はい。老人の話では、大企業の社長の多くはがこれを愛用しているのだそうです。でも、ご老人に言わせれば、『そんな噂なんぞは、大方、この煙草を売る為に会社側が仕向けた与太話と決まっているわい」だそうです。ご老人は、豪快に笑っておられました」
 「なるほど、売り文句というやつだな。ふーん・・・それにしても変った名前だな」
 「は?」
 「いや・・・銘柄名だ。意味があるのか、この名前・・・」
 「あ、それもちゃんと聞いて来ました。『Man always remember love because of romance only』のそれぞれの単語の頭文字を繋げると“マルボロ”になるんだそうです。『人は本当の愛を見つける為に恋をする』という意味だとか。・・・たかが煙草ですのに、何だかロマンスを感じますよね」


 ちょっと夢みがちな表情の副官に、ロイエンタールは、「それで・・・自分でも吸ってみようと買って来たのか?」と、溜め息混じりに聞いた。
 「あ・・・はい。ですが、買ったのはこの1箱だけです」
 「そうか。吸ってもいいが、このオフィス内は禁煙だ。それから・・・卿が愛を見つけるのは一向に構わないが、吸い過ぎには注意した方がいい・・・。そいつは・・・肺をかなり痛めるという話だからな」
 ロイエンタールはそれだけ言うと、ペンを取り上げて、また黙々と書類にサインを始めたのだった・・・。



 上官を敬愛してやまないレッケンドルフは、ロイエンタールが自分の身体の事を気遣ってくれたのだと思い、(閣下は、何とお優しいのだろうか・・・感動だぁ!!)とジーン・・・として、ロイエンタールが決済書類にサインをし終えるまで、にこやかに微笑みながら待っていた。



Das Ende



 100のお題より、「マルボロ」です。
 私は嫌煙家なので、煙草の事はサッパリ分かりません。
 仕方なく、色々と調べて、情報の中から話を構築しました。


 帝国の煙草として登場させた『ゲルベゾルテ』ですが、本当にドイツにあるようです。
 ただ、その意味は『黄色人種』だそうで、差別用語なのかしらん!?な~んて思ってみたりなんかして・・・。(爆)


 ロイさんとレッケンドルフを書きたかっただけなんですが、さて、レッケン君は『愛』を見つけられたのかな!??


 あと、「マルボロ」に関しては由来の1つに、英雄マールボロ将軍から・・・というものもあります。
 米墨戦争(アメリカ・メキシコ戦争の事)に勝った事で、アメリカはテキサス南部からカリフォルニアへの領土・権限を得たのですが、戦いにおいての将軍の功績によって、現在の「自由の国アメリカ」の基盤が出来上がったと言ってもいいそうです。

 うーん・・・自由の国ですか。
 ↑
 登場人物はロイエンタールとレッケンドルフですが、舞台をハイネセンにしていて良かった・・・と心底思いました。


 何だかほのぼのムード全開です。


 ただ、ロイエンタールがアナゴさんに見えてしまいました・・・。←え???