「サッカー本大賞2015」に選ばれた本。元々はブログに書いたJリーグ初観戦の経験が、予想以上に大きな反響を呼んだことから誕生したものだとのこと。
著者は中村慎太郎さんという方です。
2013年10月、たまたまチケットをもらったことで国立競技場(FC東京対鹿島)に行き、人生初のJリーグ観戦をしたという著者。1981年生まれとのことなので、この年に32歳ということになりますね。
それまで日本代表や海外サッカーをテレビ観戦するのは好きだったものの、休日をつぶし、お金を払ってまで観たいと思わなかったというJリーグ。
ではありましたが、試合そのものだけでなく各クラブのサポーターによる応援等の魅力という点から強く惹かれていく過程が記されています。
サッカーのサポーターに対して「近寄りがたい不気味な人達」といったイメージを抱いていた著者が、彼らは決してそんな存在ではなくクラブに深い愛情を持っているだけの普通のひとびとであることを、西へ東へとあちこちのスタジアムをめぐりながら、この本で解き明かしていくのです。
Jリーグに興味が湧かなかったのには、特に応援したいクラブが無かったという理由がひとつにあったらしい著者は、生まれ育った街のクラブとしてFC東京への思いを次第に強くしていきます。
時折いろんなスタジアムへ足を運んではいたものの特定のクラブを好きになることの無かった私自身も、40代になってから地元クラブを応援することの楽しさに気づき(ゴール裏へは行きませんが)、遅まきながらサポーターもどきになりました。
この本はそれまで特にサッカーが好きではなかったひと、サッカーに詳しくはないひと、そんなひとでも自分の愛するクラブと出会い、知らず知らず深みにはまって、いつしかサポーターと呼ばれる存在になり得る、そんな可能性を示してくれているようにも思いました。
余談ですがこの本の元になったブログ「はとのす」の方もちょっとのぞいてみました。するとそこには、執筆中だという本に載せる予定の試合がいくつか挙げられていたのです。
そのひとつに、「相模原VS町田 @ギオンス」とあったのが、私としては大いに気になるところですね。
2015・3・24