週末の22日、23日の2日間、大手メディアのいくつかは東京都知事選の情勢調査を行いました。例えば朝日新聞は「小池氏先行、蓮舫氏追う、石丸氏苦戦」というような見出しを付けています。若干ニュアンスは違いますが、ほかの情勢調査も大筋で一致しています。まだ選挙戦が始まって3~4日の序盤ですから、大方の予想通りと言えばそうです。

 

日本のテレビを全く見ず、ネット界隈だけを歩いて見て回っている私のような高齢者はやや特殊でしょう。と言うより、海外に住んでいますから“圏外”ですね。そういう立ち位置から見ると、石丸人気はすごいと思えます。アンチも一定数いますが、幅広い年齢層から熱い支持を得ているように見えます。でも、大手メディアが調査すると「苦戦」です。

 

1週間余り前に自民党が行った情勢調査では、小池さんと蓮舫さんの差は10数ポイントありました。石丸さんは“圏外”の数字で、蓮舫さんに20ポイント以上遅れをとっていました。その差はだいぶ縮まってはいるようですが、常識的には追いつける数字ではありません。だから、もし追いついたとすれば、それは「奇跡」だと表現されるわけです。

 

石丸さんが伸び悩んでいる原因はいくつかあります。私自身もここ数日歯がゆく感じていることがあります。有権者の多くは「この人が知事になったら、何か私にいいことがあるの?」という基準で考えると思います。中には「東京の将来にとって、日本の将来にとって誰がいいかな?」と考える有権者も当然います。でも、それは少数派でしょう。「子育て支援」をそれなりに進めてきた小池都政でいいじゃないかと思う人が、とくに女性の30代で多いのは自然なことです。でも、その子供たちが大人になる頃の東京や日本の姿はどうなっているかと想像する人はあまりいないでしょう。そういう思考をすれば、目の前の“ニンジン”ではなく、もっと先の社会のために誰がいいかと考えるでしょう。

 

石丸さんは、youtubeでこういう発言をしているのを聞きました。「行政の細かい具体策については優秀な都庁の職員が考えます。知事はトップとして方向性をきちんと示せばいいのです。安芸高田市でもそうやってきました」・・・私はこのやり方がトップとしては正解だと思います。でも有権者の多くは、細かい具体策を選挙のときに示してほしいと思っています。だから、石丸さんの政治姿勢と有権者の欲求がミスマッチを起こしているのです。

 

序盤の石丸さんの選挙戦略はいまのところ成功していません。ムードはいいですが、それはネット界隈での熱気、そして街頭演説に集まる(都外の人を含めた)石丸ファンの熱気であって、一般の有権者にはまだまだ浸透していないということでしょう。なので、中盤にかけて石丸陣営は戦術を修正しなければ勝ち目はありません。いくら正論を吐いても、多くの有権者は付いて行けないでしょう。今政治の信頼が失われているのは政治屋が悪いのはもちろんですが、その政治屋を選んでいる有権者にも、おおいに問題があります。

 

アメリカのJ.Fケネディーの演説の中の、超有名なフレーズを思い出します。

 

「みなさん、国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。 あなたが国のために何ができるかを問うてほしい」

 

石丸さんが訴えているのはまさにこれです。その訴えが東京都民に、多くの日本人にどこまで通じるのか、つまり、利権政治、利益誘導政治(=自民党+α)に日本人の多数がどっぷりと浸かっているとしたら・・・石丸さんの訴えがほとんど通じない東京都民だったら、通じない日本人だったら、言いたくはないですが、日本の将来は惨めなものになりそうで怖いです。「良薬は口に苦し」と言う言葉も思い出した方が良さそうです。やさしそうな口調で甘言を弄する政治屋にはとくに要注意です。

 

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